第3話 最強
さてさて、どうする?
キールの速度も上がり続けて俺の速度もあげだってるんだけど。うーん。刀使っちゃおうかなぁー。こいつマジで強いもんな。よし、使うか。
「闇は濃く。光を飲み込み影は黒く。黒く。黒く。黒く。ただ全てを飲み込み、切り裂け。」
数億年ぶりに詠唱を開始する。
「我が名はグレイ。我が呼びかけに答えよ。愛刀 『極夜』」
その瞬間、闇がこく、霧がでる。
妖刀と呼ばれたその刀が数億年ぶりに姿を表す。
ーー妖刀とは何か。
妖の力が宿った刀なのか。それとも妖が乗り移った刀なのか。否。妖刀とは、使用者か製作者の怨念や強い意思に反映してより強靭になった刀である。故に、最初の使用者の他の者が使おうとすると跳ね返されることが多く、使いにくい刀となっている。
ーーでは、『極夜』とは何なのか
それは、黒く。まだ地球が滅びる前に一人の吸血王によって作られ、何億、何京年と時間をかけ強固なものとされた妖刀と呼ぶにはあまりに禍々しく暗い呪いである。
ーーでは、呪いとはなにか
それは大昔に魔族が魔法を作るように人によって作られた力である。故に、『極夜』は最早刀ではなくグレイの一部である。
だからこそ。
キールは『極夜』を見た時に直感的に確信した。
今目の前にいるこの男は紛れもない現代最強なのだと。
「本当に俺は運がいいな。」
まだ表舞台に出る前に最強と出会えたのだから。これは最早戦いではなく、挑戦である。どれだけ通用するかではない。勝つか負けるかの下剋上である。故に、出し惜しみはしない。全力で叩き潰す。
「行くぜ最強。これが俺の全力だ!『
魔力が練り上げられ、体が極限状態まで引き上げられる。ここからは、真剣勝負である。
〜〜
「おお…!」
こいつさっきのが全力じゃなかったのか。いいね。すごくいい。伸び代もあってある程度の強さも身につけられてる。是非とも仲間に欲しい。
「負けるわけには行かないね。」
ただ。それでも。
お前は「最強」の本当の意味を知らない。例えキールが剣士の中で最強だったとしても魔族は魔法も剣術も技術も使ってくるから当然キールの方が弱い。魔王などもってのほか。魔王を打ち砕かんとする勇者にも劣っている。そして俺はそれらの化け物達をもはるかに超える強さを有している。だからこそ、グレイは笑う。そして言い放つ。
「教えてやるよ。『最強』を。『強化』、『加速』、『黒雷』解放。」
『極夜』の本領が発揮される。
〜〜
両者の刃がぶつかり合った。白と黒の激突。しかし、ダメージを入れられたのはキールだった。なぜか。それはグレイが『黒雷』を使っていたからである。
「ぐっ…、まだぁ、まだあ!」
再び攻防が繰り広げられる。しかし不利なのはキールであった。
(『全開放』がきれそうだ…。このままじゃやられんのも時間の問題だな…。)
そう考えたキールはグレイを突き飛ばして最高火力の技を放つ。それと同時にグレイも技を放つ。
「ぁぁぁぁあああああ!いくぞぉ!『
「死ぬんじゃねえぞ!『
強く光を放つ。その先で勝利を掴んだ者は…
「いやー、俺の負けだ。」
「ふっ、わかったか。これが最強だ。」
グレイだった。
◻︎〜◻︎
「だーはっはっはっはぁ!まさかキールが負けるとはなぁ!」
「うるせえよ年寄り。見ててわかっただろ?グレイに勝てる奴なんていねえよ。」
「ふっ、そうだな。俺は最強だからな!」
「すぐ調子になるな…」
「あ!試合前になんて言ってたっけ?「アンタの強さ次第」だっけ?んん?試されてたのはそっちなのにねぇ!」
「腹立つぅー!」
ここは酒場。キールの奢りで俺はたくさん酒を飲んでいる。
「いやぁそれにしてもグレイさんその力どこで手に入れたんだ?流石に努力でどうこうでから話じゃねえだろぉ。」
「いやぁ。それが俺だと出来ちゃうんだなぁ。」
何京年単位で努力すればね。
「じゃあその刀はどこで手に入れたんだ?」
「これ自作だよ。」
「は?」
「え」
「嘘だろ?」
この場にいるブルー、レッド、キールが驚く。いやこれが事実なんですなぁ。実はずっと鍛治に打ち込んでた時期があってその時の最高傑作が『極夜』とあともう一本の剣なんだなあ。
「あんたほんとに何者なんだ…?」
「下手なことは詮索しない方がいいよー。都合が悪いこと知られたら斬っちゃうかも。」
「可能なのがこえーって。」
「ハハハ。試してみる?」
「自然な流れで殺害予告すんのやめない?」
そんなこんなで夜は更けていった。
◇深夜◇
「グレイさん、ちょっといいか?」
「んー?」
宿に戻ろうとした時、ブルーとレッドが話しかけてきた。
「なに?」
「いや、今回の試合でキールが過去にめんどいことあったのわかるだろ?」
「そうだな。」
「そんでさ、俺らは悔しいけどいい言葉一つかけられなくてさ。虚しくて不甲斐なくて。だからあんたが助けてくれた時には本当に感謝したんだ。ありがとな。だから、あんたのことだから大丈夫だろうけどキールをよろしく頼む。」
「ああ、そう言うことね。まあその件は任せときなさい。」
「ほんとか!ありがとう!」
「うん、でもさ…」
「ああ。」
「結局俺は時間をやっただけでトラウマは解決したんだ。俺に感謝されちゃぁ困る。」
「それでも…」
「そして!それ以上にトラウマはあいつ自身が一人で超えたものなんだ。もうあいつはお前らが思ってる以上に強いぜ。」
「…っ……っ、、」
「安心しろって。いざという時は俺が守ってやるけどあいつは強い。だから、送り出す時今みたいに涙見せんじゃねえぞ。男だろ?」
「おう…」
「当たり前だ…!」
◆三日後◆
「んじゃ、運転手さん、お願いします。」
「はいはい、じゃあ出発しますね。」
俺らは旅に出る。それは、別れから始まって出会いをするもんだ。だから、キールが泣きそうな顔して故郷見つめてんのは仕方がない事だ。
「キール、ブルーとレッドに声かけとけば?」
「そうだな!」
目尻に溜まった涙を拭ってキールは叫ぶ。
「お前らーーーー!!!!!行ってくるーーー!!!!!」
「おーーーう!!!!」
「行ってこおおおおおい!!!」
「「愛してるゼェ!!!!」」
「…こーゆーときは泣いとけ。我慢してもいいことねえからな。」
「ッ…おう…!」
こうして俺らの冒険は始まった…!まだ仲間集めの途中だけど。
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今回ので気づいた人いるかもだけど実はグレイは吸血鬼の…。
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