痛み

 冷たい流水で手を洗っていると左手がピリリとか細く痛んだ。なんだろうと思い手のひらを上に向けてみると人差し指の関節の間に横一文字の切り傷ができている。親指の爪で下に押し広げてみると奥の白い肉の隙間からは新鮮な赤い血が滲み出して来て、傷を認識する前よりも痛みが酷くなった。どうして傷ついた時には気づかないのに、あとになって存在を知らしめるかのように痛み出して来るのだろう。いつ傷ついたかもわからないなら、あることさえわからずに勝手に治ってくれればいいのに。

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