清潔
削り取るように撫でる。かたいボディタオルの網目が肌に浮いた茶色い薄膜をポロポロと破りながら少しずつ絡め取って、私の肌をより白く美しくしていく気がする。フレッシュフローラルのやわらかい泡を巻き込んで通り過ぎた胸元や腹にはいつもヒリヒリとした爽やかな痛みが残り、最後は私の体臭のように香り立った。この痛みが私を清潔にしてくれていると思う。痛みなしに清潔になることは、きっとできない。不潔は、『不潔』という順番がやって来た私の体の一部だからだ。あおい湯船の熱に圧迫されて痛むこの肌も不潔になる時がやっぱり来る。そういう時はこうして細かく削り取ってやって、湯船に浸かり、痛みを思い出させる。そうすると清潔になれてると思えて安心する。
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