タマオの睾丸スキル冒険譚〜異世界から現代への挑戦〜

第13話「街頭インタビューの反響と自己改革」

ネット上で話題になってから数日が経った。タマオの街頭インタビューは、「睾丸スキル男がまたも大暴れ！」というタイトルであっという間に拡散され、賛否両論を巻き起こしていた。ネットの掲示板やSNSには、タマオの行動を面白がる者、呆れる者、そして真剣に「睾丸スキルとは何か？」を考察する者まで現れる始末だった。

タマオはスマホでそれらの反応を見て、腕を組んでうなり声を上げた。「ふむ……やはり伝え方に問題があるのかもしれんな……」

リョウは隣でコーヒーを飲みながら、苦笑いを浮かべた。「いや、それ以前に問題が多すぎるだろ。でも、あれだけ話題になったのはすごいけどさ……」（ほんとにもう少し自覚してほしいんだけどな）

「だが！」とタマオは勢いよく立ち上がり、力強く拳を握った。「俺の睾丸スキルがまだ十分に伝わっていない。もっとわかりやすく、皆にその素晴らしさを理解させなければならない！」

「はあ……」リョウは呆れつつも、タマオの情熱に根負けしていた。「じゃあさ、今度は健康フェアみたいなイベントで話してみたらどうだ？ここならお前のスキルの健康的な面を強調できるかもしれないぞ」（まさかとは思うけど、やっぱりやらかすのかな……）

「おお、それは名案だ！」タマオは目を輝かせた。「よし、健康フェアで俺の睾丸スキルを広めるぞ！」

美沙もその話を聞き、「タマオくん、今度は健康に関するイベントだし、言葉の選び方を少し工夫してみるといいかもね」とアドバイスを送った。（また変なことをしないといいけど……）

「うむ、任せておけ、美沙！」タマオは胸を叩き、意気揚々と健康フェアに向かう準備を始めた。

---

そして当日。街の広場で開催される健康フェアは、運動器具や健康食品のブースが並び、フィットネスインストラクターのレクチャーなど、たくさんの人々で賑わっていた。

会場の一角に、掲示板でタマオの話題を見ていた青年がいた。彼は「睾丸スキル男って本当に実在するのかな……」と半信半疑でこの場に足を運んでいた。（まさか、あの男が来るわけないよな……）

しかし、青年の目に突然現れたのは、堂々とした歩き方で会場内を闊歩するタマオの姿だった。「タ……タマオだ！！」と思わず叫んでしまう。（うそだろ、本当に実在したのか！？）

周りの人々が彼の声に驚いて振り向くが、タマオはそんな視線をものともせず、会場内を見渡していた。「ここなら俺のスキルが存分に発揮できるに違いない！」と意気込むタマオ。リョウと美沙はそんなタマオを心配そうに見守っていた。（頼むから普通にしてくれよ……）リョウは心の中で祈る。

タマオが向かったのは、「健康な心と体を作ろう」というテーマのトークショー会場だった。前で話していた講師がちょうどトークを終え、参加者たちが拍手を送っている。

「今だ！」とタマオは壇上に突撃し、マイクを握りしめて叫んだ。「皆の健康に不可欠なもの、それは……俺の睾丸スキルだ！」

青年はその瞬間、思わず頭を抱えた。（や、やっぱりそういう感じなのか……！掲示板の言ってた通りだ！）

その場にいた他の参加者たちも一瞬凍りつき、ざわつき始める。「え、睾丸スキル？」「何言ってんだ、この人……」といった声が飛び交う。（何この状況！？）

リョウは「ああ、またやっちまったよ……」と頭を抱え、急いでタマオの元へ向かう。（お願いだから、もうこれ以上はやめてくれ……！）

しかし、タマオは続けた。「睾丸スキルとは、男のエネルギーの源！これを意識することで、心身ともに健康になり、人生の活力がみなぎるのだ！」と熱く語る。参加者たちはますます引いていく。（いやいや、こんなところで言う話じゃないでしょ……！）

壇上の講師も状況を掴めず、「え、ええと……」と戸惑いの表情を浮かべる。（健康フェアでこんな話をされるとは……どう反応すればいいのかしら？）

「俺のスキルの力はただ肉体を鍛えるだけではない！」とタマオはさらに続けた。「それは心の力！つまり自己肯定感を高め、ポジティブなエネルギーを引き出すのだ！」

青年は周囲の視線に気づき、ついにはスマホを取り出し、掲示板に書き込む。（今、あのタマオがここにいるぞ！健康フェアでまたやらかしてる！）と実況を始めるが、内心はドキドキしていた。（本当にこいつ……すごい勇気だな。でも、何か伝わってくるものもある……かも？）

講師はその言葉に反応し、「えっと、つまり……ポジティブな思考や自己肯定感の大切さを伝えたいということですか？」と話を繋げようとする。（話の方向性をなんとか軌道修正しないと……）

「そうだ！」とタマオは興奮して答える。「俺の睾丸スキルとは、まさにその通りだ！睾丸の力を意識し、毎日を前向きに生きる。それが本当の健康だ！」

会場の雰囲気は一瞬静まり返るが、次第にクスクスと笑いが広がっていく。「なんだか変なこと言ってるけど……ちょっと面白いわね」と誰かが呟き、参加者たちから笑い声と拍手が起こった。（この人、変だけどちょっと元気をもらえる……？）

リョウは焦りつつも、「お前、言いたいことは分かるけど、睾丸って連呼しすぎだろ……」と小声でたしなめる。（本当にどうしてこうなっちゃうんだよ……）

美沙も「ああもう、タマオくんらしいわ……」と苦笑いを浮かべるが、どこか彼の純粋さに感心していた。（なんだかんだで、まっすぐすぎるところがタマオくんの魅力よね）

---

トークショーを終えたタマオは、会場からの反応に満足気だ。「やはり、俺のスキルは健康に欠かせないと皆に伝わったに違いない！」（ほら、やっぱり俺の睾丸スキルはみんなに必要なんだ！）

青年はスマホを握りしめながら、少しだけタマオの言葉に勇気をもらった気がした。（いや、馬鹿げてるけど……ちょっとだけ元気が出たな）

リョウは「いや、まあ……伝わったと言えば伝わったかもな」と肩をすくめる。（どう伝わったかは別として……

美沙は微笑みながら、「タマオくん、伝える相手に合わせた言葉の選び方も大事だよ。今日の反応を見て、少しずつ変えていけるといいね」と優しく声をかけた。（本当に難しいけど、タマオくんならきっと……）

「なるほど……」とタマオは少し考え込む。「だが、俺の睾丸スキルの本質を変えるわけにはいかない。だが伝え方を工夫するのは良いかもしれん……」（でも俺のスキルをあまりにも薄めるのは本意じゃないんだ……）

リョウは「まあ、少しずつでいいからさ」と励まし、「その情熱を保ちつつ、言葉を選ぶのもスキルだぞ」と付け加えた。（頼むから次こそはうまくいってくれ……！）

タマオは深くうなずき、拳を握りしめて宣言した。「よし！俺はもっと上手く伝えられるよう、自己改革に努めるぞ！そして、いつかこの世界に俺の睾丸スキルを広めてみせる！」

その様子を見ていた青年は、内心驚きを隠せなかった。（本気だ……この人、めちゃくちゃだけど本気で自分のことを伝えようとしているんだ）

タマオが壇上から降りてきたとき、青年は勇気を振り絞って声をかけた。「あ、あの……タマオさん！」

タマオは振り返り、青年に向かって笑顔を見せた。「おう、なんだ！君も俺の睾丸スキルに興味を持ったのか？」

青年は一瞬ためらったが、覚悟を決めて頷いた。「いや、その……掲示板であなたのことを見て、正直最初はおかしな人だと思ってました。でも、今話を聞いて少しだけ……少しだけ勇気をもらえた気がして……」

その言葉を聞いたタマオは、青年の肩を力強く叩き、満面の笑みを浮かべた。「そうか！それでいいんだ！俺の睾丸スキルは、人々に勇気と元気を与えるためにある！」

青年は驚きつつも、その力強い言葉に感化されていた。（すごい……この人、やっぱりただの変な人じゃないんだ。何か、熱いものがある……！）

美沙はそんな光景を見て、「タマオくん、やっぱりあなたはすごいね」と微笑んだ。（不器用だけど、彼の情熱がこうやって誰かに伝わっていく……それがタマオくんの力なんだ）

夕日がフェア会場を照らす中、タマオの決意が新たに固まった瞬間だった。彼の前途はまだまだ険しいが、その情熱と前向きなエネルギーは、少しずつ周りの人々に影響を与え始めていた。

青年はスマホを握りしめ、心の中で決意を固めた。（よし、掲示板に書き込もう。「タマオさんはただの変な人じゃない。彼には人を元気にする力がある！」と）

---

その後、掲示板には新たなスレッドが立ち上がり、「睾丸スキル男、実際に会ってみた結果」と題された投稿が拡散される。そして、その投稿をきっかけにタマオの行動はますます注目を集めていくことになる。