第8話「街でボランティア!」

タマオが現代社会での新たな挑戦として目をつけたのは、街でのボランティア活動だった。リョウは、タマオが少しでも社会に溶け込むための手段として、彼にボランティア活動を提案したのだ。


「タマオ、今回はさすがに睾丸スキルを控えめにして、普通にやってくれよ。これは社会貢献のためなんだし、周りの人たちに迷惑をかけるなよ?」と、リョウは事前にしっかりと釘を刺した。


「わかった、リョウ!今回は睾丸スキルを心の奥に秘め、真のボランティア精神を発揮してみせる!」タマオは勢いよく拳を握りしめ、ボランティア活動への意気込みを見せた。(まあ、こう言ってる時点で不安しかないけど……)と、リョウは心の中で呟いた。



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その日、公園で落ち葉掃除のボランティア活動が行われていた。タマオは他のボランティアスタッフたちと一緒に熊手を手に取って掃除を始めた。最初のうちは無言で作業に取り組んでおり、周囲からも変な目で見られることはなかった。


「よし、順調だ。タマオも何とか普通にやってる……」と、リョウはほっと胸を撫で下ろしていたが、それは束の間の安堵だった。


しばらくして、公園の入り口から美沙が姿を現した。「リョウ、タマオさん、ボランティア活動に参加してるって聞いて見に来たわ!」と笑顔で駆け寄ってくる。


「お、美沙!来てくれたのか。」リョウが声をかけると、美沙は笑顔で頷いた。「ええ、せっかくなら手伝おうかと思って。タマオさんもちゃんと作業してるみたいだしね。」


その時、タマオが熊手を振りかざしながら突然叫び始めた。「睾丸スキルでこの街を美しくしてやる!」


周りのボランティアスタッフたちは一斉に固まり、彼を振り返った。(え、何て言った今……?睾丸って言ったよね?)(この人、何やってるの?街を美しくって、どういうこと?)


リョウは慌ててタマオに駆け寄り、彼の肩を叩いた。「おい、やめろって!ここはボランティア活動の場だぞ!睾丸スキルの話をするところじゃない!」と、必死に説得する。


しかし、タマオは自信に満ちた表情で答える。「いや、違うんだリョウ。このボランティア活動こそ、俺の睾丸スキルを発揮する絶好の場だ!この落ち葉を全て片付けることで、街に睾丸の力を注ぐのだ!」


その様子を見て、美沙は驚きのあまり目を見開いた。「え、ちょ、タマオさん、それ本気で言ってるの?」(ええ!?この人、またそんなこと言い出して……!)


さらに、近くにいた女性ボランティアが赤面しながらタマオに声をかけた。「あ、あの……睾丸って……あの……あの睾丸のことですか?」(まさか……本当にそんな話をここで!?)


タマオは、その質問に大いに喜び、胸を張って語り始めた。「そうだ!俺の睾丸とは、男の誇り!力の源だ!普通の男とは違う、特別な力が宿っているのだ!」


周囲のスタッフたちは唖然とし、固まったまま彼を見つめた。(え、マジで自分の睾丸について語り出した!?)(この人、何言ってるの……!?)


リョウは顔を引きつらせてタマオにしがみつき、「おい、やめろって!自分の睾丸の話なんて、ここでするなよ!」と、半ば必死に制止しようとする。


しかし、タマオは意に介さず、さらに熱く語り続ける。「俺の睾丸は、まるで握り拳のような力強さを持ち、困難に打ち勝つための勇気を与えてくれる!この落ち葉掃除も、睾丸スキルによって完璧に成し遂げるのだ!」


「いや、もう意味がわからない……」と、美沙は顔を手で覆いながら呟いた。(何でこうなるのよ……。周りの人たちもドン引きしてるじゃない……)


その時、子供たちがタマオの前に集まり、「おじさん、睾丸って何?」と好奇心旺盛に尋ねてきた。


リョウは目を見開いて、慌てて子供たちを止めようとする。「いや、聞いちゃダメだって!その話は……!」


しかし、タマオは子供たちの質問に満面の笑みを浮かべて答えた。「よくぞ聞いてくれた!睾丸とは、男の力の源!それがあれば、どんな困難にも立ち向かえるんだ!」


子供たちはポカンとした顔でタマオを見つめる。(えーっと……何の話?)(男の力……?よくわかんないけど、おじさん、楽しそうだな……)


周囲にいた女性スタッフたちも真っ赤になりながら、「いや、子供の前では……ちょっとやめてください!」と声をかけた。(恥ずかしすぎる……!何でこんなことを話してるの、この人!?)


リョウは頭を抱えながらタマオの腕を掴み、「もうダメだ!ほら、いいからこっち来い!」と強引にその場から引っ張り出した。



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タマオは不満げな顔をしている。「なぜだ、リョウ?俺はただ、睾丸スキルの素晴らしさを伝えようと……」


リョウはため息をつきながら、「お前なぁ……ボランティア活動っていうのは、街をきれいにするためのものなんだよ。自分の睾丸の話なんかじゃなくて、普通に掃除をして街のために貢献するのが目的なんだよ!」と必死に説得する。


美沙も眉をしかめながら、「そうよ、タマオさん。睾丸の話をする場面じゃないの。みんなを困惑させちゃってるんだから、もう少し空気を読んで……」と、言葉を添えた。(もう、この人には本当に参っちゃうわ……)


タマオはしばらく考え込んでいたが、やがて頷いた。「うむ……確かに、ボランティアとは己のスキルを主張する場ではないのかもしれない。しかし、俺の睾丸スキルを街の美化に役立てたいという気持ちは変わらない!」


リョウは苦笑しながら肩をすくめ、「まあ、その気持ちはわかるよ。でもさ、今回は睾丸スキルを使わずに、普通に掃除をしてみないか?それでも十分に街のためになるんだぜ。」と提案する。


タマオは目を閉じて少し考えた後、静かに頷いた。「わかった……。この睾丸スキルを封印して、街のために純粋に掃除をすることに専念しよう。」


リョウと美沙はその言葉にホッとし、「そう、それでいいんだよ。まずは、普通にやってみよう。」とタマオに微笑んだ。(これで少しはまともに……なってくれればいいけど……)



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こうして、タマオは再び落ち葉掃除に戻った。今度は無言で作業に没頭している。周りのボランティアスタッフたちも再び作業に戻り、微妙な空気は少しずつ和らいでいった。


美沙も手伝いながら、タマオの様子をちらりと観察する。「あのタマオさんが黙って作業してるなんて……ちょっと感心しちゃうわね」とリョウに小声で話しかける。


「だろ?少しずつでも学んでくれればいいんだよ」とリョウは笑いながら答えた。(睾丸スキルの話をしなければ、案外ちゃんとできるんだよな……)


夕方になり、公園の掃除が終わると、ボランティアリーダーがスタッフたちに向かって声をかけた。「みなさん、お疲れさまでした!公園がきれいになりましたね。」


タマオは袋に詰められた落ち葉を見て、少し誇らしげな表情を浮かべた。「うむ……睾丸スキルを使わずとも、俺は街を美しくすることができた。これは新たな発見だ!」


美沙が彼に近づき、「そうよ、タマオさん。スキルのことばかりじゃなくても、あなたにはできることがたくさんあるのよ」と優しく言う。(ほら、普通にやればちゃんとできるじゃない……)


ボランティアリーダーもタマオに近づいてきた。「あなた、今日は本当に頑張ってくれてありがとう。街のために素晴らしい働きでしたね。もしよかったら、今後もボランティアに参加してもらえますか?」


「もちろんだ!」タマオは元気よく答えた。「睾丸スキルを封印してでも、俺はこの街の美化に尽力するつもりだ!」


ボランティアリーダーは一瞬固まり、目をぱちぱちと瞬かせた。「え、えっと……今、睾丸って……」(またその話……?何かの隠喩?いや、そんなわけないわよね……)


リョウはそのリーダーの反応に気付き、すかさずフォローを入れた。「あ、すみません!彼、ちょっと独特な考え方があって……気にしないでください!」


リーダーは少し困惑しながらも、「そ、そうですか……」と笑顔を作って答えた。(何だかわからないけど、まあ……彼なりに一生懸命なのは伝わってくるし……)



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その帰り道、タマオは満足げな顔をして歩いていた。「今日のボランティア活動で、俺は睾丸スキルだけが力ではないと学んだ。新たな力の発見だな!」


リョウは苦笑しながらタマオの背中を叩いた。「そうだ、それでいいんだよ。お前のスキルは睾丸だけじゃない。お前の中にはもっとたくさんの力があるんだ。」


美沙もタマオの横に歩きながら微笑んだ。「そうよ、タマオさん。周りにどう見られるかを気にしないあなたのその勇気、時々とんでもないことになるけど……今日は少し大人になった感じがしたわ。」


「うむ、そうか……!」タマオは美沙の言葉に感激し、両手を腰に当てて胸を張った。「俺は睾丸スキルを封じてもなお、強く生きていく覚悟だ!」


美沙はその言葉に苦笑しつつも、「でもね、タマオさん、これからも睾丸スキルの話をするときは気をつけてね。今日みたいに、みんながびっくりしちゃうから」と、やんわりと釘を刺す。


「なるほど……そうだな。俺のスキルを理解してもらうには、慎重さも必要か……」タマオはしばらく考えたあと、ゆっくりと頷いた。「わかった。これからは、睾丸スキルを内に秘めながら、新たな道を切り開いていく!」


リョウと美沙は顔を見合わせ、少しだけほっとしたように笑った。(少しずつでも成長してくれてるんだな……)



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その夜、リョウの部屋に戻ったタマオは、自分のノートを開いて何かを書き始めた。リョウがそっと覗くと、そこには「睾丸スキル封印計画」と書かれていた。


「睾丸スキル封印計画?」リョウは思わず尋ねた。


タマオは頷き、真剣な顔で言った。「うむ。俺は今日、スキルを封じながらも、街のために尽力する道を見つけた。だが、完全に封印するのではなく、慎重に解放する方法を考える必要があると悟ったのだ。」


リョウは肩をすくめ、「まあ、それでいいんじゃないか。少しずつ、現代社会に合わせていけばいいんだよ。」と答えた。(また何か余計なことを考え出しそうだけど、今はこの調子でいいか……)


タマオは頷き、「睾丸スキルを持つ男として、俺はこれからも新たな冒険を続ける!」と力強く宣言した。



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こうして、タマオは一歩前進した。睾丸スキルを封印することは彼にとって大きな試練だったが、少しずつ自分の力を新たな形で使う道を見つけていく。それでも、彼の睾丸スキルへのこだわりが消えるわけではない。


タマオの冒険は続く。果たして、彼の睾丸スキルが現代社会に認められる日はやってくるのか?




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