第4話「カウンセリングで睾丸スキルを分析!」

リョウとタマオの合コン大失敗から数日が経った。リョウは相変わらずタマオの突飛な行動に頭を抱えつつも、何とかして彼を現代社会に適応させようと奮闘していた。そんな中、あの合コンで出会った美沙から連絡が入った。


「リョウ、こんにちは。この前の合コンのことなんだけど……」美沙は電話越しに気まずそうに話を切り出す。「あの……タマオさん、もう少し自分を見つめ直す時間が必要かも。カウンセリングとか、試してみたらどうかな?」


リョウはハッとした。たしかにタマオには、冷静に自分を振り返る機会が必要だと感じていた。「カウンセリングか……確かに、それはいいかも。でも、タマオが受けてくれるかどうか……」


「ううん、大丈夫だと思う。私から話してみるから、ちょっと待っててね!」美沙はそう言うと、すぐにタマオに直接連絡を取った。



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その日の夕方、タマオはリョウの部屋でノートを開き、「睾丸スキル」の強化計画について黙々と書き込んでいた。そこに、美沙がやってきた。彼女はタマオに真剣な表情で話しかけた。


「タマオさん、少しお話しませんか?」美沙は柔らかい声で続ける。「この前の合コンで、あなたが一生懸命『睾丸スキル』について話していたこと、すごく印象に残ってます。でも……」彼女は少し言葉を選びながら続けた。「もしかしたら、自分を見つめ直す時間があったほうがいいかもしれないって思ったんです。カウンセリングっていう方法があるんですけど、どうでしょう?」


タマオは驚いた顔で美沙を見つめた。「見つめ直す……か。俺は睾丸スキルに全力を注いできたが、それを見直すというのか?」


美沙は優しく微笑んで、「そうです。カウンセリングは、自分の気持ちや考えを整理する場でもあります。だから、タマオさんにとっても何か得るものがあるかもしれません。」


タマオは腕を組んで考え込んだ。カウンセリングとは聞いたことのない言葉だが、どこか試練を感じさせる響きがある。「ふむ……わかった。俺はどんな試練にも立ち向かう男だ。ならば、そのカウンセリングとやらに挑戦してみよう!」


美沙はホッと胸を撫でおろし、「じゃあ、近くに信頼できるカウンセリングルームがあるので、予約を取っておきますね」と微笑んだ。(よかった……これで少しでも彼が落ち着いてくれたらいいんだけど)



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数日後、タマオはリョウに付き添われてカウンセリングルームを訪れた。部屋は落ち着いた色調でまとめられ、木製の家具や間接照明が心を和ませる雰囲気を作り出している。タマオは椅子に腰を下ろし、目の前に座るカウンセラーと向かい合った。


カウンセラーの女性は柔らかい笑顔で彼に挨拶した。「こんにちは、タマオさん。今日はお話を聞かせていただけると聞きました。どんなことでも構いませんので、リラックスしてお話ししてくださいね。」


タマオはうなずき、力強く自己紹介を始めた。「俺の名はタマオ。異世界からこの世界に転移してきた。そして、この世界で生き抜くために俺の『睾丸スキル』を発揮しているのだ!」


カウンセラーの表情が一瞬で固まり、目を大きく見開いた。「え、こ……睾丸!?え、えっと……ちょっと、どういう……?」と、思わず声を上げてしまう。(え、今、聞き間違いじゃないよね?今、この人、睾丸スキルって……!?)


タマオはカウンセラーの驚きに全く気づかず、続けて力説した。「そうだ!睾丸スキルとは、男の誇りであり、力の象徴だ。俺はこのスキルを駆使して、異世界では数々の困難を乗り越えてきた!」


カウンセラーは必死に平静を装い、職業的な冷静さを取り戻そうとした。「なるほど……タマオさんにとって、その『睾丸スキル』はとても大事なものなんですね。」(いやいや、どうやってこれを分析すればいいの!?でも、真剣に話してるから、どうにか聞いてあげないと……)


タマオはさらに身を乗り出して続けた。「この世界では、俺の睾丸スキルがまだ理解されていないようだ。先日の合コンでも、皆がその偉大さに圧倒されてしまった……!」


カウンセラーは、少し戸惑いながらも頷く。「そ、そうだったんですね……。確かに、初めて聞くとちょっと驚く方もいるかもしれませんね。」(ちょっとどころじゃないわよ!でも、プロとして冷静に対応しないと……)


「それで、合コンでの出来事についてもう少しお話ししてもらえますか?」カウンセラーは努めて穏やかに尋ねた。


「俺はまず、睾丸スキルの重要性を皆に伝えた。そして、肉を食べることで睾丸スキルが高まるという事実も共有した。しかし、なぜか皆、顔を赤らめたり、引いているように見えたのだ。」タマオはまるで自分の話に感銘を受けたかのように語り続ける。


(いや、そりゃ引くでしょ!肉で睾丸スキルがどうとか、合コンで言ったら……)カウンセラーは頭の中で必死にツッコミを入れながらも、何とか彼の話を理解しようと努めた。


「そうですね……タマオさん、まずはお話ししてくれてありがとうございます。」カウンセラーは口を開いた。「タマオさんにとって、睾丸スキルはとても重要なものなんですね。ただ……周りの人たちには、その言葉が少し衝撃的に映ることもあるかもしれません。」


「衝撃的?」タマオは首をかしげる。「俺は真実を語っているだけなのに、なぜ皆は驚くのだ?」


カウンセラーは少し考え込んだ後、慎重に言葉を選んで答えた。「タマオさんの思いはとても大事です。でも、周りの人とコミュニケーションを取るときには、相手の感覚や価値観に合わせて話すことも重要なんです。たとえば、初対面の人とはまず趣味や日常の話から始めて、徐々に自分のことを伝えていくというのはどうでしょうか?」


タマオは腕を組み、じっくりと考え込んだ。「なるほど……つまり、俺の睾丸スキルをすぐに全て伝えるのではなく、少しずつ理解してもらうということか?」


「そうです。」カウンセラーはほっと息をつき、笑顔を見せた。「そうすれば、きっとタマオさんの大切な思いが伝わりやすくなると思いますよ。」


タマオは力強くうなずき、表情に新たな決意が浮かんだ。「わかった!俺はこれから、まず普通の会話を心がけることにする。そして、徐々に俺の睾丸スキルの偉大さを伝えていくのだな!」


カウンセラーは微笑みを浮かべながらうなずいた。「そうです。それがきっと、周りの人たちにもタマオさんのことを理解してもらえる第一歩になると思いますよ。」


リョウはそのやりとりを横で聞きながら、(よかった……少しは理解してくれたのか?)と一抹の安堵を覚えた。タマオの壮絶な「睾丸スキル」トークに巻き込まれているカウンセラーの表情には疲れが滲んでいたものの、さすがはプロ、冷静さを崩さずに対応してくれたようだ。


「ありがとう、カウンセラー!」タマオは椅子から立ち上がり、力強く拳を握りしめた。「俺はこれからも、自分の睾丸スキルに誇りを持ちつつ、この世界でのマナーも学んでいく!」


カウンセラーはほっと息をつき、タマオに向けて微笑んだ。「はい、それがきっと良い方向へ進む一歩になると思います。タマオさんのように自分に正直でいることも大事ですから、その気持ちを忘れずにいてくださいね。」


タマオはまるで戦士が新たなクエストに挑むかのような表情で、頭を大きくうなずいた。「もちろんだ!俺はこの世界で生き抜くために、睾丸スキルの本質を追求し続ける!」


カウンセラーは(うーん、結局まだ睾丸スキルにこだわってるのね……でも、少しずつ理解していくのが大事だし……)と内心でため息をつきつつも、「またお話ししたくなったら、いつでもいらしてくださいね」と言って、タマオを送り出した。



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カウンセリングルームを出たタマオとリョウ。外に出ると、心地よい風が二人の頬を撫でた。


「どうだタマオ、少しは何か掴めたか?」リョウはタマオの表情を伺いながら尋ねた。


「うむ!」タマオは自信満々にうなずいた。「カウンセラーの話を聞いて、俺は少しずつ睾丸スキルを広めていくことの重要性を理解した!まずは一般的な会話をし、相手が油断した瞬間に徐々に俺のスキルを伝えていくのだ!」


リョウはその言葉に頭を抱えた。「違う!そうじゃない!『油断した瞬間に』ってなんだよ!普通の会話が大事って言われたんだろ!」


「そうとも言えるな!」タマオは真顔で頷いた。「俺がすぐに睾丸スキルを伝えようとしすぎていたことが間違いだったということだ。まずは相手の心を開き、徐々に本題に入るのが、この世界のやり方なのだな!」


リョウはもはやツッコむ気力を失い、呆然と空を見上げた。(結局、こいつは睾丸スキルのことしか頭にないんだな……)


「でも、少しは前進したのかもな」と、リョウは小さくつぶやいた。タマオの意識にほんの少しでも変化があれば、今後の展開も変わるかもしれない。そう信じることにしたのだ。



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その夜、リョウとタマオはカウンセリングの成果を祝うように、居間でジュースの缶を開けた。リョウは心配そうにタマオを見つめながら言った。「なあタマオ、とりあえず明日からは、普通の会話に集中してみようぜ?」


タマオは笑顔でうなずき、缶を掲げた。「もちろんだ!まずは日常の話から始め、少しずつ相手に俺の偉大さを感じさせていく。これが、新たなる睾丸スキルの伝え方というものだな!」


「だから、睾丸スキルの話は置いといて……」リョウはため息をつきつつも、缶を掲げてタマオと乾杯した。(まあ、これで少しはマシになるだろうか……)


「リョウ、今日は俺をカウンセリングに連れて行ってくれて感謝する!」タマオは感謝の意を込めて、リョウに語りかけた。「この経験を通じて、俺はまた一歩成長した気がする!」


「そ、そうか……なら良かったよ……」リョウは苦笑しながら答えた。(ほんとに成長したかどうかはわからないけど、まあ、今は見守るしかないか)


タマオは笑顔を浮かべながら、「よし、明日からも頑張っていこう!俺の睾丸スキルがこの世界に認められるその日まで、俺は戦い続けるぞ!」と拳を握りしめ、やる気に満ちていた。


リョウはその言葉を聞きながら、また長い戦いが始まる予感を感じていた。しかし、彼の中にも、どこかタマオの熱意に押されるような気持ちが少し芽生え始めていた。



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こうしてタマオのカウンセリング体験は幕を閉じた。少しだけ成長したかもしれないタマオ。彼の「睾丸スキル」への熱い思いは変わらずとも、その伝え方にわずかながらの進歩の兆しが見え始めた。


次回、タマオは新たにバイトを始める。「睾丸スキル」を封印……できるのか!?


彼の奇想天外な冒険はまだまだ続く――。




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