第17話 幼馴染の父の問いかけ
翌朝
『にゅめょりと』は目を覚ますと
風邪の症状がすっかり良くなっていることに気づいた。
体調は元に戻り
元気が湧いてきた。
「もう大丈夫そうだな……これなら
出発しても問題ない」
『にゅめょりと』はテントから出て
伸びをしながらエリシアに微笑みかけた。
エリシアも安心した様子で『にゅめょりと』を見つめ
2人は次の目的地に向かう準備を始めた。
以降も
『にゅめょりと』とエリシアはまるで
恋人同士のようにベッタリとくっつきながら
危険な『絶望の森』を進んでいった。
森の中には数々の脅威が潜んでいたが
2人にとっては何も問題ではなかった。
目指すは
故郷であるグリーンフェルデ王国。
途中
オークやゴブリンたちが襲いかかってくることもあったが
2人の実力からすれば
それらはまさに瞬殺だった。
時々、2人は美しい景色に心を奪われ
足を止めた。
澄んだ湖の水面が太陽の光を反射し
まるで鏡のように広がるその光景や
遠くにそびえる雄大な山々を眺めながら
2人はしばらく言葉もなく見惚れていた。
「綺麗だね……」
エリシアが静かに呟き
『にゅめょりと』も微笑んで頷いた。
危険な旅路の中でも
こんなひとときが2人の心をさらに
近づけていくのであった。
4日後
ついに2人は故郷であるグリーンフェルデ王国に到着した。
険しい『絶望の森』を越え
数々の危険を乗り越えた末
城壁が見えてきた瞬間
2人の顔には安堵の表情が浮かんだ。
「……帰ってきたね、ついに」
エリシアが感慨深げに言い
優しく微笑んだ。
『にゅめょりと』も静かに頷きながら
懐かしい故郷を目の前にし
胸が高鳴るのを感じていた。
『にゅめょりと』とエリシアは
エリシアの両親が住む家へと足を運んだ。
玄関に立つと
すぐに両親であるアーヴィンとレイナが出迎えた。
「『にゅめょりと』!久しぶりだな」
アーヴィンは嬉しそうに微笑みながら手を広げ
レイナも穏やかな笑顔を浮かべていた。
2人は『にゅめょりと』を温かく迎え入れ
家に招き入れた。
「懐かしいね……こうしてまたあなたと会えるなんて」
レイナの言葉に
『にゅめょりと』もほっとしたように笑顔を返し
胸に広がる懐かしさを感じた。
王国を離れてからの年月が蘇り
家族のように迎えてくれるこの場所に再び戻ってきたことが
『にゅめょりと』に安堵を与えていた。
『にゅめょりと』はエリシアの両親の温かい歓迎に少し照れくさそうに微笑み
丁寧に頭を下げて挨拶した。
「お久しぶりです
アーヴィンさん
レイナさん
こうしてまたお会いできて
とても嬉しいです
お二人ともお元気そうで何よりです」
『にゅめょりと』の言葉に
アーヴィンは力強く頷き
レイナも微笑みながら答えた。
「あなたも元気そうで安心したわ
さあ
ゆっくりしていってね」
『にゅめょりと』はこの懐かしい空気に包まれ
エリシアの家族との絆を再び感じながら
穏やかな気持ちになっていた。
アーヴィンは『にゅめょりと』と久しぶりに再会し
話をしている中で
『にゅめょりと』が勇者パーティを追放されたことを知った。
『にゅめょりと』の顔が一瞬真剣な表情に変わる
「『にゅめょりと』……君が勇者パーティを追放されたってことは
もう勇者ではなくなったんだよな?」
『にゅめょりと』は少し戸惑いながらも頷いた。
アーヴィンは一瞬考え込むようにしてから
さらに真剣な目で問い続けた。
「つまり
勇者としての規律に縛られず
一般の人……例えば
エリシアと結婚しても問題ないということなのか?」
アーヴィンの真剣な質問を受けた瞬間
『にゅめょりと』とエリシアは顔を真っ赤にし
お互いに視線を交わしつつも
すぐに目を逸らしてしまった。
「……え、えっと……」
『にゅめょりと』は突然の質問に戸惑いながらも
口ごもりつつ言葉を探した。
エリシアも恥ずかしさからか
頬を赤く染めて俯いていた。
「お父さん……急にそんなこと……」
エリシアが小さな声で抗議するように言ったが
アーヴィンはまるで気にしない様子で2人を見つめていた。
レイナはその様子を見て
少し微笑んでいたが
内心で何かを期待しているようだった。
レイナは微笑みながら
恥ずかしがる『にゅめょりと』とエリシアを見て
楽しそうにアーヴィンに言った。
「あなた
そんなこと言って
まだ結婚だなんて早いですよ
2人とも恥ずかしがっているじゃないの」
『にゅめょりと』女は軽く肩をすくめながら
和やかな空気を作ろうとした。
『にゅめょりと』とエリシアはさらに顔を赤くして
レイナの言葉に少しほっとしたように見えた。
アーヴィンもそれを聞いて
少し苦笑しながら頷いた。
(エリシアも同じこと、聞いてきた。やっぱり親子だな……)
「まあ、そうかもしれないが
ただ、『にゅめょりと』が一般の女性と結婚できるのかが
とても気になるんだよ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます