第2話 幼馴染の魔法剣士エリシア

『にゅめょりと』は

勇者ゆうしゃパーティを追放ついほうされてから数日後


出身地であるグリーンフェルデ王国おうこく農村のうそんに戻っていた。




静かな村の居酒屋いざかや

彼は注文ちゅうもんしたミルクティーを前に

ただうつむいていた。




(何でこんなことに……)


手をつけることもなく

冷めていく飲物のみもの湯気ゆげ

彼の気持きもちかさなるようにうすれていく。




勇者ゆうしゃ称号しょうごう剥奪はくだつされるなんて……)


追放ついほうされたことが

こころに深いかげとしていた。




故郷こきょうに帰ってきたが、俺が追放ついほうされて

勇者ゆうしゃじゃなくなったなんて

ずかしくてみんなには言えないよ)


周囲しゅういのざわめきがとおく感じられ

自分だけがのこされたかのような孤独感こどくかんつつまれていた。




その時だった。




村のしずけさが一転し

外からさわがしいこえこえてきた。




「何だろう?」


『にゅめょりと』はかお

居酒屋いざかや窓越まどごしに村人たちが村の出口でぐち

集まっているのをた。




彼らは一人の少女しょうじょ見送みおくっていた。




少女しょうじょ金髪きんぱつのミディアムヘアにかがやうつくしい顔立かおだちを持ち

その背にはけん背負せおっていた。




彼女は魔法剣士まほうけんしであり

そのりんとした姿すがたは村の誰もが敬意けいいを払うにふさわしい存在そんざいだった。




『にゅめょりと』は村のさわがしさの中で

目の前に少女しょうじょをじっとつめた。




彼女は金色きんいろうつくしいかみらし

凛々りりしい姿すがたで村人たちに見送みおくられていた。




そのうつくしい顔立かおだちに

一瞬いきむ。




そうだ、彼女は――


『にゅめょりと』はづいた。




間違まちがいない……エリシアだ」


目の前の少女しょうじょ

幼馴染おさななじみのエリシアだった。




『にゅめょりと』と同じ17歳


8年ぶりに再会さいかいする彼女は

あまりにもうつくしく

そして可愛かわいらしく成長せいちょうしていた。




おさない頃の記憶きおくにある笑顔えがおとは別の

どこか大人おとなびた表情ひょうじょう

彼のこころを一瞬つかんだ。




心臓しんぞうドキどきっと高鳴たかなるのを感じ

『にゅめょりと』は視線しせんらすことができなかった。




かつて一緒にあそんでいたあのエリシアが

ここまでうつくしくなるとはゆめにも思わなかったからだ。




エリシアのくろのミニスカートと

あし保護ほごするため

ぴったりとしたニーハイソックスブーツをいていた。




それが彼女の脚線美きゃくせんびを一層てていた。




『にゅめょりと』は、エリシアのあしに思わず目をうばわれてしまった。




彼女のニーハイソックスブーツがてるうつくしい脚線美きゃくせんび

こころの中で


うつくしい……)


つぶやいてしまう。




しかし、すぐにそのかんがえをあらためようとした。




(いや、そんないやらしい目でエリシアをてはダメだ!)


と自分にかせ

あたま左右さゆうって意識いしきもどした。




こころけようと必死だった。




深呼吸しんこきゅうして

自らをかせると


『にゅめょりと』は

エリシアのさらなるすごさに気付きづかされる。




彼女がまと雰囲気ふんいき

ただのうつくしさだけでなく

つよさといさましさをも感じさせた。




魔法剣士まほうけんしとしてきたげられたその姿すがた

『にゅめょりと』は圧倒あっとうされながらも

どこか昔のやさしさがのこっているように感じた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る