俺の名前『にゅめょりと』が変だとして、勇者パーティーから追放された。魔王がすぐそこまで来てるんですが…?

宮富タマジ

第1話 追放

ガルディアスはってきて



「その名前なまえ変更へんこうできないのか?」




と言った。


『にゅめょりと』は


「できるわけないだろ。 そういうシステムなんだから」




王国おうこくのみんなは勇者ゆうしゃ名前なまえ

かっこいい方がいいと言っているんだよ」




「そ、そんなこと言われても……」




「だから、お前を追放ついほうする」




「ちょっと待ってくれ!

俺は勇者ゆうしゃなんだぞ

俺がけたらパーティに勇者ゆうしゃがいなくなってしまうじゃないか?」




「ふふ、心配しんぱいするな

勇者ゆうしゃなんていくらでもいるんだよ」




「そんなわけないだろ、勇者ゆうしゃなんて

そう簡単になれるものじゃないはず!」




じつはもうすでにいるんだよ。あたらしい勇者ゆうしゃがな」




「え?」




紹介しょうかいしよう。あたらしい勇者ゆうしゃ、バルトルス様だ」




「バルトルス?」




すると

一人のおとこ部屋へやはいってきた。



その男は『にゅめょりと』を見下みくだすように


「今、紹介しょうかいされたとおり、私があたらしい勇者ゆうしゃバルトルスだ」


と言った。



「……」




ガルディアスはほこったかお


「このとおり、あたらしい勇者様ゆうしゃさま誕生たんじょうしたのだ」




あやしいとおもった『にゅめょりと』はバルトルスをじっとた。


そして

ある重要じゅうようなことに気付きづいた。



「おい! そこのバルトルスってひと

よくると、レベル1じゃないか?」




するとガルディアスは余裕よゆうみをかべてった。


「今はそうだ。しかし

レベルなんてこれからげればいい


問題もんだいはそこじゃない!」




問題もんだいはそこだよ、しっかりしてくれ!

そのレベルをげるのがどれだけ大変たいへん

かっているのか!」




「ほう、勇者ゆうしゃはレベルが重要じゅうようだといたいのか?」




たりまえだろ!


レベル1の勇者ゆうしゃなんて

ただの勇者候補ゆうしゃこうほにすぎない


そんなのなかにいくらでもいるにまってる


必要ひつようなのは

レベルのたか即戦力そくせんりょく

勇者ゆうしゃなんだってことをいたいんだよ!」




「ふ~ん、それで?」




かんがなおしてほしいんだよ


俺はレベル999の勇者ゆうしゃなんだぞ

お前らみたいなレベル1や2とはちが


魔王まおうがすぐそこまでているんだ


自分じぶんうのもなんだけど

今こそ勇者ゆうしゃとしての俺のちから

必要ひつようときなんじゃないか!」




自惚うぬぼれも大概たいがいにせい」




自惚うぬぼれじゃない

俺はこのパーティで一番つよいのは事実じじつ

その俺がけたら

パーティは大変たいへんなことになるぞ!」




それをいたガルディアスは

嘲笑あざわらうようにった。


「お前がけたらパーティが大変たいへんなことになる? 何でだ?」




「バルトルスってレベル1じゃないか!

このひと勇者ゆうしゃにしたら魔王まおうてるわけないだろ?」




「レベルが問題もんだいじゃないとっているだろ?

俺はレベル2だけど

実際じっさいにドラゴンをたおしたんだからな」




「あのドラゴンは俺が1人でたおしたんだよ!

ガルディアスはドラゴンとたたかったとき

最初さいしょの一撃であっさりとんでたじゃないか!?

レベル2でてるわけないだろ」




「それは記憶違きおくちがいだな」



「だったら、何でお前は

レベル2のままなんだよ? ガルディアス


もしお前がドラゴンをたおしたのなら

経験値けいけんち大量たいりょうはいって一気にレベル6か7になるはずだろ?


戦闘せんとう終了しゅうりょうするまえんだから

経験値けいけんちはいらなかった


つまりガルディアスはドラゴンをたおしていないんだよ!」





ガルディアスはイラッとした表情ひょうじょう


「だったら、今、データを確認してみるよ」


パーティの戦闘履歴せんとうりれき確認かくにんした。



「ああ、そうしてくれ」



数分後



「今、確認できたよ

パーティの戦闘履歴せんとうりれきれば

やはり俺たち勇者パーティはドラゴンをたおしたことになっているぞ?」




『にゅめょりと』はあきれた表情ひょうじょう


「だから、そのドラゴンは俺が1人でたおしたんだよ

お前は戦闘開始直後せんとうかいしちょくごんでいるんだよ!」




ガルディアスはおこってかえした。

いい加減かげんにしろ!お前にそういう無礼ぶれいなことをわれるとはらが立つんだよ」




「俺は事実じじつってるだけだ!」




「もういい

王国おうこく

お前とうことはもう二度とないだろう」




ガルディアスは『にゅめょりと』にけて部屋へやていった。


「そ、そんな……」




愕然がくぜんとする『にゅめょりと』に

バルトルスが嘲笑あざわらうかのようにった。


け、へん名前なまえ元勇者もとゆうしゃ


お前はちかいうちに確実かくじつ

俺のかんがそうっている」




「なんだと?」




葬式そうしき準備じゅんびでもしておけ。ふふ」




(はあ? レベル1のくせによくもそんな台詞せりふを……)


『にゅめょりと』はいかりをおさえられなかった。


バルトルスはつづけて


今後こんご、私が正式せいしき勇者ゆうしゃ称号しょうごう


もし貴様きさま今後こんご勇者ゆうしゃかたれば

それはすなわち偽勇者にせゆうしゃなされる


それは詐欺罪さぎざいたるのだ」




(ま、まじか……)


それをいた『にゅめょりと』は

かなしい気持きもちになり

涙目なみだめになっていた。


こうして

『にゅめょりと』は勇者ゆうしゃパーティから追放ついほうされた。


その

『にゅめょりと』が王国おうこくるとき

まち人々ひとびとから


かっこわる名前なまえ

お前なんか勇者ゆうしゃじゃない」





二度にどかおせるな」




「なんで名前なまええないんだよ!」




というこえった。


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