第22章 一家のボス

暫く家から通いなのでS子も喜んでいた。

私もある程度ストレスから解放された。


ようやく義母と仲良くなれるチャンスだ。

義母は無類のビール好きで、毎晩ビールを飲んでいた。

お休みの日などは、午前中から飲んでいる。私もアルコールが好きなので時間があれば義母と飲もうと決めていた。


義母はテレビが大好きでチャンネルリモコンは、常に義母が握っている。


例え子供達が見たい番組があろうと自分の見たい番組だけしか見ない、見せない…


上座に自分専用の座椅子を置きドーンと陣取っていた。


勿論、それに対して私は何も思わない。マンションはS子の名義だか、購入する頭金などは義母が出しているし、そもそも私はマスオさん状態なのは十分承知の上で引っ越したからだ。


ある日曜日。朝から義母とS子は家の掃除を始めた。私はもう少し寝ていたかったが、結婚前に家事も手伝う約束だったので、渋々起きる事にした。


義母『あら、パパさん。ゆっくり寝てたら?』


私『大丈夫です。掃除機かけていない部屋は何処?』


S子『リビングお願い!』


私『がってん承知の助け!』


10時前には掃除洗濯が終わり、少し遅めの朝ごはん。子供達は早々と遊びに出掛けていたので3人で食べる事に。


プッシュ〜と義母がビールを開けた。


義母『あー!美味しいわー。』


私『じゃあパパも飲もうっと!お母さん乾杯!』


S子『ちょ、ちょっと〜パパダメよ!』


私『うん?何で?』


S子『だって、お出かけしようと思っていたのに。』


私『缶ビール一本だし、大丈夫だよ!車運転もしないし。』


S子『でも…何だか嫌!』


何とかS子の機嫌を取りお出かけの準備をした。


私『で?何処に行く?』


S子『梅田に行ってお買い物して、美味しい餃子屋さん見つけたからそこに行きたーい!』


私『それ良いね!』


と言う事で久しぶりに2人でのデートを満喫した。


考えてみれば結婚する前から2人で出かける事なんて殆んどなかった。


子供達も小学校低学年で母親に甘えていたい頃だったし、常に子供達も一緒に遊びに行っていたからだ。


それはそれで楽しかったが、2人でのデートは付き合い始めの恋人同士に戻った感じで凄く新鮮で楽しかった。


S子『来週はさ、京都に行かへん?』


私『そうだ京都へ行こう!』


S子『JRのCMかよ!』


2人『ハハハハハ〜』


さすが関西人。直ぐにツッコミを入れるとこも最高だ。


帰りの電車の中で彼女は、義母のことについて何か話そうとしていたが…


S子『ごめん。何でも無い。』


と言って話をやめた。私も深く聞こうとはしなかった。


その内話したくなったら話せば良いと思ったからだ。

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それでも私は生きている。それでも私は生きて行く。 エピソード2 天野 みろく @miroku-amano2025

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