第18章 擬音のジジイ

翌日。現場はとある施設内で一般の人は入れないセキュリティーのしっかりとした場所だ。


仕事内容でバレるかもしれないが、ロケット発射台の解体作業だ 。


発射台と言っても、ロケットが約50m以上ある為、発射台も約50mのコの字型の巨大建築物だ!

見た目は20階建マンションとほぼ変わらない。


その建物を最上階からガス切断で縦にスライスして解体する。

例えるなら、食パン1斤を縦に5当分するイメージである。


詳しく書くと専門的になってしまうので以下省略。


先ずは切断する為のガスホース(1本20m)

を3本両肩にかつぎ、階段で最上階目指し歩いて登る。


50m位の建物なのでエレベーターは付いているのだが、解体物の為電気関係は全て切られている。


階段を歩いて登るだけでも大変なのにガスホース3本担ぐのはかなり辛い。


K『おい!◯やん!』


私『な、何すか?』


K『最上階の北側からガスホース下ろしてくれ!』


私『了解!』


どうやら、北側の1階に酸素とガスをセットする様だ。


そして最上階の北側からホースを降ろし始める。


私『Kさん!ホース降ろすよー!』


K『えーぞ!◯やん!』


とその時、背後からKの祖父が現れた。


祖父『あー、ちゃう、ちゃう…おい、◯さんよ、ここから降ろしたら、あそこに、バーンと、ひっかかって、シャーンと切れてガス漏れるぞ!』


私『どう言う事?で、すか?』


祖父『だから、あそこに、バーンなるっちゅうとんねん!もっぺんホース引き上げろ!』


私『⁈わ、わかりました。』


K『おーい!◯やん!何で引き上げるんや!下せ!』


私『Kさーん!おじいちゃんが、ここからはあかんって言うてます!』


K『何でや?いいから降ろせ!』


私『バーンなって、シャーンなるって…言うてます〜』


私はいったい何を言っているんだろう?


祖父『◯さんよ、はよ上げんかい!』


このやりとり…


口の悪い祖父と、孫…私はキレる寸前だった。


とりあえず、祖父の言う事を聞くことに。

20mおろした物を引っ張り上げるのもかなり重労働だ。

汗をかきながらやっと引き上げた。


私『はぁ、はぁ…ど、何処から下ろせば良いんすか?』


祖父『東側から、下せ!』


K『おーい!◯やん!何をしてんねん!はよ、下ろせやー』


ギャンギャン下でKが騒いでいたが、無視をした。


そして東側から降ろし始めるが、何かに引っ掛かりなかなかスムーズに降りて行かない。


私『東は無理っぽいです。何かに引っ掛かります。』


祖父『?ワシが下に行って確認するからそのままや。』


私『わかりました。』


暫くすると、建物の中間地点まで降りた祖父は私を見上げてこう言った。


祖父『◯さんよ、ここは邪魔な物があるから引き上げろ!北側からや!』


私は耳を疑った。


私『もっかい上げるの〜?』


祖父『さっさと引き上げんかい!スンと上げて、北側からシャンと降ろしてセットしろ!』


K『おーい、おーい、◯やーん!何をしてんねん!早くしろ〜』


地獄や….


1人ずつ殴ってやろうかと思った瞬間だった。

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