第6章 出逢い
生活が安定し、僅かながらお金に余裕が出来ると今度は寂しさが込み上げてくる。
私みたいな人間は結婚など出来ないと思っていたが、彼女は欲しいなと思っていた…
いつもの鉄板焼き屋に顔を出す。
私『まいど〜』
AちゃんBちゃん『らっしやっーい!』
Bちゃん『ビールかな?』
私『うん。ありがとう。』
Bちゃん『何だか今日は元気ないね。大丈夫?なんかあった?』
私『何も無いけど、なんかさ… 寂しくてな。彼女でも欲しいけど…出逢いがないからなぁ。』
Bちゃん『そっか。誰かいたら紹介してあげるね!』
私『ありがとう!Bちゃんビールご馳走するわ』
Bちゃん『そんな気使わんでええよ…ほな、頂きまーす!』
私『の、飲むんか〜い!』
ワハハ!
Aちゃん『えー子おったわ!』
私『ホンマに?』
Aちゃん『ホンマ。今度セッティングするな』
私『ありがとう!Aちやんもビール飲んで!ご馳走する!』
Aちゃん『うちはBちゃんみたいに図々しくないねん! ビールなんて…… ハイボール頂きまーす!』
私『飲むんかーい!』
ワハハハハ!
といつもの軽い会話が続いた後、程よく酔った私は家路についた。
途中、頭上を見上げると、澄んだ夜空に満月が光り輝いていた。
私『何だかいい事がありそうな感じがするな!』
ほろ酔い気分も手伝ってか、
『イッヤッホー!』
と、お大声をだしてジャンプしていた。
視線を感じる………
タクシーの運転手、帰宅途中のサラリーマンやOL達……
その冷ややかな視線に気がついた私は、恥ずかしさでダッシュで帰ったが、走りながらもニヤついていた。
周りのから見ると異様な光景だったに違いない。
数日後Aちゃんから電話があった。
週末19時必ずお店に来るようにと…
頭の中では、かなり期待している自分と冷静な自分との戦いが始まっていた。
当日……
私『じゃまするでー』
Aちゃん『邪魔すんのやったら帰って〜』
こけるBちゃん
新喜劇かー!と、軽い突っ込みを入れた後店内をみると…
私『なーんだ。誰もいないやん!』
Aちやん『あんたは気が付いていないと思うけどこの店な、VEPルームがあんねん。』
私『VIPやろ。笑』
お店の間取りと言うと、店内に入ると右側に5〜6人座れるカウンター、後ろ側に4人座れるデーブルが2席あるだけの小さなお店である。
私『もしかしてカーテンがある向こう 側?』
カウンターの奥にカーテンの仕切りがる。私は従業員の更衣室だと思っていた。
Aちゃん『せやねん。6人くらいで飲めるスペースがあるねん! あのカーテンの向こうにあんたの天使がおるかもなー』
Bちゃん『一目あったその日から、恋の花咲くこともある!見知らぬあなたと、見知らぬあなたにパンチでデート❤️』
と、言うとカーテンか開いた。
そこには小学校低学年の男の子と、その子の姉らしき女の子そして、見た目は若い母親らしき女性が恥ずかしそうに会釈した。
それが彼女との初めての出会いだった。
まさかの子、子連れ……
が不思議と嫌では無かった。むしろ自然に男の子も私の膝の上にちょこんと座った。
S子『す、すみません。うちの子が…Kちゃん、ダメよ、こっちいらっしゃい!』
K『嫌だ!おじさんと遊ぶ!』
私『大丈夫ですよ!Kちゃんて言うんだね。よし、おじさんが不思議な物を見せてあげね。』
私は趣味のマジックを披露した。
ウサギが増えたら減ったり、クライマックスは巨大なウサギになった所でKちゃんどころか、お店にいる全員から拍手をもらうこととなった。
私は照れながら、ありがとうと礼を言うと
Aちゃんが『今度はおばさんと遊ぼうね』
と言うとS子さんと2人きりにしてくれた。
初対面の私達だったが、話が弾んだ。私の幼い頃の話や、彼女の家族や両親が離婚して貧乏だったことなどお互いに共感出来る話しで盛り上がった。
何よりも彼女の笑顔に惹かれている私がいた。
S子『そろそろ子供達寝かす時間だから帰りますね。』
私『そ、そうだね。』
私 『あ、あのー』
S子 『あ、あのー』
私『す、すみません。どうぞ先に話して』
S子『こ、こちらこそ…すみません。良かったら今度居酒屋でもどうかと…』
私『勿論です!』
お互い連絡先を交換し、この日はお別れをした。
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