第5話 七月七日 フォースカタストロフィー

 翌日、大事件が起こる。それはこの天空都市群全てに刻まれる未曾有の大災害。

 名をという。

 大災害は朝の四時に開始された。

 まず最初に異変を観測したのが軍部である。人同士が争わないのに軍部があるのは、ルインダーが天空都市群には存在してしまうところにある。と言ってもその形は完全に人型。巨大な姿になるのは大災害からだ。

『北端部に高エネルギー反応を検知……偵察用ドローンを配備』

 AIが何よりも先に検知して、マルクト北端部の異常をモニターに映した。

『熱源の移動を感知。目標に向かってズームします』

 灰に飲まれる前まではマルクトの空は晴れ渡っていた。それは南部の軍部本部から北端部まで視認できるほどである。故に、危険はすぐに察知される。

『巨大ルインダーを検知。数測定……2万……4万……16万……256万……65536万……検知不可』

 マルクト北端部からさながら噴火のようにルインダーが噴き出していた。遠いために霧のようにも見えるが、全てが一つの施設レベルの大きさである。もはや流星群が降り注いでいるのと同義であった。そして異常は重なる。

『地獄の表象化を確認。北端から地獄が侵蝕してきています』

 のだ。地獄を形容することはあっても、存在を確認することはまずない。空想の中だけのもののはずだった。それが、今はもうすぐそこに存在している。

 あまりの異常に軍部は混乱を極めた。結局、全てAIによる指示によってこの後の対応がなされる。そもそも、こんなこと起こると想定されていなかったのだ。誰も責められるはずが無い。

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