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  ◆


 「そんな・・・じゃあ俺が協力した事は・・・。青木さん一家は・・・。」

 「挫けるな佐藤君。そもそも『傾国の狐』など、人の手に負えるような存在じゃないんだ。ただ・・・。」

 「日ノ本の国の使者、天照大神の血が統べる国の末端として、我々はそうした存在を監視しなければならない。」

 「つまり、俺は。」

 「佐藤健成巡査。若くして成績優秀、特殊部隊志望で警視庁入庁後機動隊での精錬経験者。さらには都市部の地域警察官としても活躍できる豊かな人間性と職務能力を持ち、そればかりか趣味の登山から興味のあった山岳救助の講習まで受け、自ら地方の交番へと臨むバイタリティを持つ人材。・・・君の能力値と、今回のような人の”えにし”は、我々の部隊が欲する人材像によく合致した。」

 「おめでとう。と、言わせてもらおう。佐藤健成巡査。いや、今日付で佐藤健成警部補は、一般の警官として日常業務をこなす傍ら、我々「名前のない部隊」での任務に従事してもらう。・・・すまない。これは、”勅命”だ。今後はそこにいる田中信二警視の指示の下、作戦に取り組むようにしてくれ。」

 「は・・・?警視!?」

 「ま、実際の所は今まで通りの駐在所の駐在さんだよ。そこに少し、報告書の作成業務が加わり、有事の時にはそこの安倍さんの指示を遂行する。それだけだ。」

 「君には期待しているよ。我々の隊員の中でも、ここまで神の世界に触れる事ができた人材は少ない。今回の経験を今後によく活かすように。分かったかい?」

 「・・・は、はい・・・。頑張ります・・・。」


 「ハハハ!佐藤君!君、僕の階級を聞いた時が一番驚くじゃないか!なんだか誇らしいなぁ・・・!よし!じゃあ早速、今日の事件から報告書の書き方を説明するから、よく覚えるように!」


 「あぁ・・・!もうなにがなんだか・・・!」


 「ハハハハハ!」


 夜の駐在所に似合わない男たちの笑い声が響いた。

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