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◆
「・・・。」
「・・・。」
気付けば茜色の西日が、南向きのガラス張り障子越しに昼よりもさらに急な角度で左向きに光線を射し込んで来ていた。
覚醒の瞬間に目が眩んだのは、きっと自分が西向きに顔を向けていたからだけれど、それだけが自分が目を覚ました理由じゃないと思った。
「僕の髪の毛で何してるの・・・。」
「・・・白髪みっけ。」
「それ、多分この3日でできたやつ。」
「ふふ。無事に助かってよかったねぇ。」
「そんな甘い声でニコニコ言われるような出来事じゃなかったと思うけど。」
「ふふ。」
「今朝の巫女服の鈴ねぇはすっごい凛々しくて強そうだったなぁ。俺ビックリしちゃった。」
「翔ちゃんはあの感じの方が好き?」
「どっちも。」
「あ、えらい!」
「へへ。」
「都会で女の子の機嫌の取り方を学んだのかな?」
「えぇ、そんな事ないと思うけどなぁ。」
「向こうで恋人いた?」
「・・・ううん。そういう感じの子はできなかったよ。」
「そっか。」
「なんでそんな事聞くの?」
「別に~。・・・あ、この白髪、私のヒゲみたいじゃない?」
「あぁ、たしかに。」
「ふふ。」
「あはは・・・。」
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