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  ◆


 「・・・はぁ!結局撃たずに済んだ・・・!」

 畳に座り込んで、今まで無理をした分の呼吸が一気に荒くなったのを整える。一瞬杖のように使いそうになった親父の銃を見下ろして、まっすぐこちらに向いていた銃口の虚空に背筋が凍ってから、今は膝の上で寝かしている。

 「翔ちゃん・・・!」

 自分のよく知る声。自分が恋焦がれていた人の、本物の声。

 「鈴ねぇ。」

 見上げた先にある笑顔を、もう何年も前から待ち望んでいたような気がする。

 「翔ちゃん!帰ろ!」


 彼女の伸ばした手に、自分も重い手を重ねた。


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