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刀を持った巫女装束の女性の背中が、全身の鱗の間に真っ赤な血を伝わせて淡い桃色に染まった白蛇を見据えながら、ポツンと1人立っていた。
「す、鈴ねぇ・・・?」
巫女服の女性がピクリと肩を震わせた。それに呼応するように、手に提げた鈴もチリンと一度鳴った。
「鈴ねぇ!」
ゆっくりと振り返る横顔が表す自分の良く知る人の顔は、心底驚いたように目を見張りながら緊張で顔を固めていた。
「翔ちゃん・・・?」
「鈴ねぇ!」
無意識のうちに彼女の元へ駆け寄っていた。
「翔ちゃん!」
持っていた刀の先を勢いよく山頂広間の畳に突き刺して、手すきになった両開きの腕が、自分の全身を包んで迎えてくれた。
背後で大蛇が小さく咳をしながら血を吐いたのを、真っ白な巫女装束の腋の隙間から一瞬見る事ができた。
「なんでここにいるの!」
「だって!鈴ねぇが心配で!それで鈴が案内してくれて。」
「鈴を持ってきたのね。優しい子・・・。」
「怪我はない!?」
「私は大丈夫よ。」
「・・・良かったぁ。」
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