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  ◆


 山道の入口にも2つ懐中電灯の光があった。

 警官の制服を来た二人は、走ってくる自分を見るなり大きく手を振ってくれた。


 「翔太くん!大丈夫だったかい。」

 田中巡査部長がまず心配の声をかけてくれた。

 「はい、自分はどこも問題ないです。」

 「そうか良かった。」

 「・・・昨日は、お騒がせしました。」

 「いいんだいいんだ。仕方ないだろう。あの時の君は明らかにおかしかった。昨日の終わりに君のお父様から鏡を割ったという知らせは受けてる。」

 「ありがとうございます。」

 「翔太さん。」

 巡査部長の後ろに立っていた佐藤巡査が声を飛ばして来た。

 「佐藤さん、その後お身体は。」

 「私は大丈夫です。お父様から聞いているかもしれませんが、あなたのお姉さんが治してくれたんです。」

 「聞きました。」

 「私も一緒に行かせてください。あなたのお姉さんに恩返しがしたいんです。」

 「・・・とても危険かもしれない。」

 「構いません。身体の丈夫さが取り柄なんです!心配しないで。」

 「・・・分かりました。行きましょう!」

 「うむ!翔太くん、佐藤くん。絶対に無事に帰ってきなさい。今回は特別だ。翔太くんの担いでるそれにも目を瞑ろう。」

 「あっ。」

 焦りと緊張で、今更自分が銃を担ぎながら警官と話していたことに気付いた。

 「すいません!ありがとうございます。」

 「うん!よし!行ってこい!」


 「「はい!!」」

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