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◆
『許さぬ。』
蛇はもう一度、さらに怨念を込めるように力強くそう呟いたや否や、その鯨を数珠繋ぎにでもしたような大きな巨体を猛烈な速度で居間に向かって突進してきた。
もう終わりだ。
どうすれば良かったんだ。
何もかも分からず仕舞いだ。
酷く疲れている。
もうどうにでもなりたい気分だ。
でも、このままではクロも一緒に死んでしまう。
それはダメだ。
それに、
折角再会できたのに、
家族とこんなお別れをするのは、申し訳ない。
それもダメだ。
それに、それに。
俺には、ちゃんと気持ちを伝えたい人がいる。
一か八かだ。
俺には、もうできる事はもうこれしかない。
◆
「鈴ねぇーー!!!」
今出せる一番大きな声を張り上げた。
蛇はもうすぐそこまで迫っていた。
―――その時だった。
チリン。
―――鈴の音が、聞こえた気がした。
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