ギルドで換金≠監禁
受付のおじさんはダンでお姉さんはエニスと名乗った。
ブランに手紙を託したのは良い判断だったと褒めてくれた後、討伐記録のためにギルドタグを出せって言われて。
ノー。何階まで行ったかとか記録残ってるんだってよ。
「十七階層って、単独でか?」
ダンがワナワナしてる。
「おー、ジェイル!なかなかやるなぁ!」
「良い酒でたかー」
はぅ!宝箱からはお酒出てないんだった。変わった酒欲しかったね。
「ドレイクー、酒は三十階層からじゃないっけ?」
「そうだったかー?」
三十階か。海ダンジョンは飽きたししばらくは良いかな。
エニスが一緒にギルドに向かって買い取りしたいとギルマスに交渉している。
ギルドにはギルドで買取受付いるし、来なくて良いってギルマスが言うと、
「このダンジョンの物は私が一番詳しいんです!」
って、言い切って許可をもぎ取ったよ。怖い。
ルカが舟着に固定を済ませてから、こっちにやってきた。
「・・・まだ帰らないの」
「いや帰りたいんだけど」
ギルマスたちが乗ってきた船にドットたちと麻袋詰め犯罪者二名、エニスが乗って、俺とブランがルカの舟に乗って戻ることに。
そうこうしてる間に、浅い層に潜っていた冒険者が戻ってきたりしてた。
「はぁー、思ったより疲れたー」
「一人で十七階層まで行ってその感想はやばいでやんす」
舟でぐったり座り込んだよ。
ブランはすぐにルカと打ち解けたようで、ルカに舟の漕ぎ方を教わったり、海の中を覗き込んで「あれはなんでやんす?」と聞いたり、賑やかだ。
あのダンジョンの空間でのぼっちは思いの外、ストレスだったんだなと感じる。
ま、苦手な多足が結構多かったしな。
ルカとブランの二人ののんびり加減が心地良い。
港に着いて、ルカに駄賃とお土産にマンゴーもどきとクッキーを渡した。漁する家族に魚介類あげてもなって思って。
ルカは「ありがとう」ってほんのり笑って帰って行った。妹の喜ぶ顔でも浮かんでるんだろう。仲良し家族だね。可愛いぞ。
先に着いてたギルマスたちにギルドに連行されて、ギルマスの部屋でエニスによる買取査定が始まった。なんでギルマス部屋でなんだ。
しかもドットたちも何採ってきたって興味津々で残ってる。暇なのか?
宝石やビー玉?はほとんど出して、宝飾品も出した。気性が荒ぶるピアスも高額だった。なんでだろうって思えば、人の足を引っ張りたい貴族が買うんだって。ダークなのな。
外殻なんかは各種でたくさんある。
強度によりけりでそこそこの値段になった。カニの甲羅(ドロップ品)はおしゃれな防具になるんだそうだ。おしゃれか?
果物なんかも結構高額だった。
ダンジョンでしか採れないのに、収穫時の危険度や荷物になるのでより高額なドロップ品を優先する都合で、持ち帰ってくる冒険者が少ないんだって。
「こんなにたくさんあると値崩れしちゃう」
なんてエニスが泣くので「じゃ売らずに取っておく」って言うと「全部買います!!」って、フシャーーー!!っと猫のような威嚇された。
って言っても自分で食べる分は避けてあるし、無限収納に入れとけば腐らないので全部売らなくても困らないからさ。
エニスの勢いにはギルマスは慣れてるようで我関せずの姿勢で、横で秘書っぽい人が買取品の品目と査定額を書き込んでる。
「ジェイルさん、よくこんなに回収できたでやんすね」
「んー?これでも結構海に落ちたぞ」
それを聞いてブランとドットたちが呆れた顔した。
「もったいねぇ」
「単独の弊害だねー」
パーティで行けば、戦闘と防衛と回収ってうまいことやれるのか。そりゃそっか。
そう言えば、ブランと行動してた時は楽だったかも。
でも高レベル魔物が出る階層までブラン連れて進むのは危険だもんな。
「まぁ今回はお試しで行ってみただけだし」
「お試しで十七階層はいかんぞ」
「そうか?」
初ダンジョンを三日でどこまで行けるかって挑戦だったわけなんだけど。
「この大剣士の剣ってなんだよー」
「こんな二十階層言ってないでも結構良い物でたんだなー」
ドレイクが剣を持ち上げて角度を変えてみてる。ドレイクはすでに剣豪の剣を持ってるから要らないでしょ。
剣や槍、装飾品、軟膏やポーション、ほとんど出した。
ローション(日焼けに良い)にはエニスがめっちゃ食いついた。滅多に出ないらしい。
・・・どんな物かわからず捨てられてるんじゃないか?
「肉は落ちなかったのー?」
「肉は売らないぞ」
シャートが聞いてきたのはダンジョン産の肉は高く売れるからだ。
高いってことは美味いんだよな。
ワニ肉、オーク肉、ドラゴン肉とかは取っておきたい。王都に行くまでなんだかんだ食料がいるだろう。
エビやカニも売らないぞ。
査定額で一番高かったのは、シーサーペントが落とした糞だった。解せぬ。
糞にはみんな爆笑だったけど、値段を知ってスンっとなったぞ。
強力な精力剤とか桃色なお薬になるのだそうだ。違法な禁止薬は法律と信仰上の戒律で作れないらしいので悪事に使われないなら良かったぞ。
ある程度の査定が終わったら、あらためてブランの仲間たちの話になって、夜も帰してもらえなかった。
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