海ダンジョン 12
鍋といってもカニ食べたいだけなので薄めの出汁に昆布一枚と白菜、結びこんにゃく、きのこ、ネギ入れてシンプル。
ポン酢とゴマだれを用意して。
炊きたてのご飯。
そして、焼酎のお湯割り。
カニをドーンと入れたらそそり立つ棒になっちゃうので殻から出して切ってあるので、見た目が高級カニカマだよ。
大味になるかと思ったけれど、めっちゃ美味しい。
母さんたちに贈ってやりたいよ。
追加で薄く切ったのタコ入れて。タコブツもうんまい。酒が進んじゃうよね。
俺の部屋は今は炬燵置いてないけど、炬燵置きたいかも。
あらかた食べて、たこ焼きを焼きながらちまちま焼酎を飲む。
スマホからピロピロンと音が。
メールがいっぱい。
大まかに抜粋すると。
たこ焼きと鍋セットくださいだって。
ほぼ全員だ。どんだけ俺のこと見張ってるんだ。
仕方ないので鍋の素のパックと切り分けたカニとタコ、ネギ、白菜、利尻昆布を鍋に入れたセットを作って。
たこ焼きは冷凍たこ焼きをポチッとしてまとめて送った。
たこ焼き人数分とか家庭用たこ焼き器でやってられないぞ。
温めるのくらいは出来るよな。さすがに。神なんだからお世話係いるよな。
さて大放出してしまったので、またボス部屋とエビ探しに行かないとなんだが。
次に進むより、戻った方が入手が確実なので攻略は中止だ。
数時間ばかり仮眠してから十七階層のボス部屋に再アタックした。
なんてこった。
カニじゃなくて大エビが出たぞ。
ハサミしか残せない!!
子ボスが三メートルくらいの手長エビで大ボスが、伊勢海老やオマール海老っぽいボディの十メートル弱だった。
丸々ゲットできたなら、テンション上がるのにな。
エビは毒の泡かケツアタックか、ハサミ攻撃なので動きさえわかっていれば楽勝なんだけど、子ボスの方はスピードがある。
が、天河の敵じゃなかった。
俺はただの付属品だ。
大エビのハサミをゲットしてから全部消滅させたら、普通サイズのオマール海老を山盛りと外殻、魔石とポーションを回収できた。
カニ脚に比べると若干物足りないんだが。
宝物箱はテテテテーン!
大剣士の剣ー!
レアなのかな?俺の天河と暁月のがカッコいいので売ろう。
他は珊瑚と真珠だった。
カニはボス部屋が一番大きいので、ボス部屋の復活を待って、再びチャレンジした。
エビの色違いとかふざけるなよ!!
四回アタックしてエビ続きの後、やっとカニが出た。
似たようなご褒美をゲットして、エビとカニ脚を山盛りゲットしたので十五階層に転移した。
ルカを待たせるよりはと、早めに出ることにした。
ゲートを使えば、一瞬でダンジョンの出口に出た。転移とはちょっと感覚が違った。なんでだろうか。
「おー、ジェイル!」
「戻ったかー」
なぜか〈新月の雷光〉が出待ちしていた。
「なんでいるん・・・ほぐぉ!!」
腰に物すっごい衝撃を受けて俺は尻餅をついた。戦場なら即死か?
俺の腰を攻撃したのはブランだった。
「また会えたでやんす!お帰りなさいぃぃ」
「お、まだ帰ってないったのか」
わんわん泣かれて困る。
「ジェイル、足腰鍛えないとダメだぞ」
ドットとクレイバーにブランごと持ち上げられた。
「いやー、ブランの仲間が犯罪者だから一応捜査になぁ」
ギルドからの依頼で〈屋根裏の小人〉の生死不問の調査にドットたち〈新月の雷光〉がダンジョンに入ったそうで、すでに調査を終えて戻ってきたらしい。
「生きてたの?」
八階層以降にそれっぽい連中はいなかったはず。
「あー、タグ二枚と重症者二名だな。八階層で二人死亡で七階層から出る方のセーフゾーンで二人倒れていた」
ほほう?悪運強いのかね。
「女が腕一本無くして、リーダーが足二本無くしてたからよく生きてたもんだ」
「あれさー。女の方が足無くしてたら置いてかれてたよなー」
ブランの後も仲間を囮にして逃げて、女がリーダーを引きずってセーフゾーンまで逃げたらしい。
そんなクソ野郎にも必死になって助けてくれる彼女がいるのかー。せつねー。
「んで治療したの?」
「血止めだけだな。ポーションも金も無いって騒いでてなー。死なない程度に回復させたが」
リーダーとやらが足の再生が出来るポーションをよこせとか言って騒いてるらしい。
「超級ポーション代なんか払えないくせにね」
超級なんだ。俺がここで得たのは中級までだし、超級はかなりのレア物だよな。
「でもブランが優しくてよぉ〜、下級ポーションかけてやったりしてるのに、役立たずとか騒いでてな」
なんだそのウンコ野郎は。
「どっちみち仲間を三人捨てて二人死亡させてるから処刑なんだがなー。ブランをほぼタダ働きさせていたのと死なせた二人の家族に慰謝料払わせないとだから、犯罪奴隷になるしか無いな」
「鉱山刑にしようにも働けないからねー、治験か変わった性癖の金持ちに売るくらいしか無いんだよ」
ひぇぇ、犯罪者の末路やばい。
ブランが辛そうだ。裏切られたと言っても田舎から一緒に出てきたんだもんな。
「おぉい、ブランのいる場所でそんな話はやめろ」
「あ、悪い」
受付の建物の中からギルマスと入場時に俺に生き急ぐなと言ったおじさんと、お姉さんが出てきた。
「ギルマスもいたのか」
「仲間殺しみてぇなダンジョン内での犯罪の放置は大問題だからな」
遺体が残らない事件は困るよなぁ。
ギルドタグが消えないので、死亡確認や事件の解明の手掛かりになるのは一般には知らせないんだって。
知ってたら、タグ奪って他の場所に捨てられたりしそうだもんな。
話し込んでたら、ルカの船が迎えにきてくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます