海ダンジョン 11

 凸凹した岩場に藻やフジツボ、海藻の残骸まで、何となく荒れてる感じの場所だ。


 浜もあるので潮干狩りが出来そうな場所だけど、ここはダンジョンの中。

 飛び出るマテ貝やビチビチっと尻尾で叩いてくるムツゴロウもどきやナマコ、パカパカっと貝を開けて俺を捕食しようとするホタテまで出てくる。

 倒しても消えちゃう、全く美味しくない魚介類なので、逃げるが勝ちだ。

 あれだな。魔石でもポーションでも何が何でも金にしたいって言うガッツがないとつまらないんだ。ダンジョンって。


 レア、さらに上のウルトラレア狙いなので、札束ならぬチートを使ってハズレは拒否な状態。

 やっぱ食えるか食えないかはやる気が変わるんだ。


 遠目にリュウグウノツカイのような優美な姿の魚を見つけたんだけど、トドが凶暴になったようなヤツに食われてた。切ない。

 綺麗な方も魔物なんだろうけど。


 岩場がちょっと足に優しい平な岩場になってきたら、水風船みたいなのが大量に飛んできた。


 半透明のフグみたいな魚らしい。内臓なさげなのでスライムのようだけど、必殺・膨張でパンパンに膨らんで破裂する自滅系魔物。毒持ち。迷惑だな。


 水を被ると毒を貰っちゃうので考えた結果、酒を冷やすのに創造した〈急冷〉〈氷結〉魔法をドッキングさせて〈急氷結〉魔法を生み出した。命名がダサいのは気にしてはいけない。魔法は全てイメージなのさ。


 風船フグを一気に凍らせたら簡単に割れた。

 ドロップ品は、ローション??日焼けした肌に優しいらしい。

 少しだけ魔石と毒消しが落ちた。


 その次はシーサーペント(中)。

 コイツは肉と皮を落としてくれると嬉しいので張り切った。

 天河が張り切って?切ってくれたので簡単に輪切りになって消えた。

 肉一塊と糞がドロップ。

 糞て。鑑定によると錬金術素材で高価な品だったので回収した。


 再びゴツゴツした岩場に。

 ちょっと奥まった場所で大きなエビを発見。

 でも消えちゃうんだよなぁ。


 とりあえずハサミの攻撃とケツアタックに気をつけて、手足を切り分けると大きいハサミだけは残った。エビのハサミだけ、あるだけマシ?

 ドロップ品に外殻とオマール海老っぽいのが五匹っていうのが出た。


 よし、もっと出てこい!!!


 念入りにネチネチ歩いていたら、合計百匹分ゲットした。ハサミは二十弱。

 

 合間に羽のある魚に襲われたけれど、エビ優先だ。


 そこそこ満足したので、セーフゾーンに進んでから〈ルーム〉に入って、ゲットしたエビと収納から出したカニ脚を焼いて食べた。


 うんまーい。日本酒を出したよね。

 俺はエビもカニも生はあまり好きじゃない。

 ボイル・・・茹でたのが一番かなぁ。

 今は面倒なので焼いたけど、ダンジョンでたら色々作りたいね。時間があると良いな。


 さて、ボス部屋にチャレンジ。


 カニが出るかエビが出るか、どっちかなー?


「ゲェ・・・」


 水族館でさ、タカアシガニの展示って見たことある?脚なげーって見上げる感じ。


 扉開けたら、毛の生えた電信柱のような脚がズラーッと見えたわけよ。


「マジか」


 上を見上げたら、控えめボディの口からアワアワの涎が降ってきた。


 この中のどれがボスなのか?


 ぱっと見、三十匹くらいはいると思う。


 脚長すぎるのが集まってるからか動くと他の個体の脚に引っかかって、身動き取れない状態。


 アホなのか?


 カニ脚のアーチを遠慮なくぶった斬って頂いていたら、脚の狭間から、小さいサイズのカニが出てきた。


 どうやら脚は子分であっちがボスだ。


 ハサミから風魔法を放ってきた。

 子分のボディにもヒットした。

「脚が消えちゃうでしょうが!!」

 思わず天河をブンッと振っちゃうぞ。


 ボスをやっちゃったら子分ごと消えた。


「マジかー」


 デカいカニ脚二十匹分くらい確保したから良いかな。

 ドロップ品はレイピアだった。真珠も色合いバラバラで、楕円とか歪なのがたくさん入っていた。


 レイピアでカニ身をほぐせと言うのか?

 

 うーん。もう一回ボス行っとくか考えた結果、やめた。


 結構な量ゲットしたので、消費したらまた転移で来ればいいしな。


 エビに時間を取ったので、今日はもうやめておこうとセーフゾーンに出てから〈ルーム〉に入った。

 

 磯の匂いは〈洗浄〉で消したけど、ゆっくり風呂に浸かることにした。

 湯を出して、タイマー入れてから、キッチンでちょっと準備。


 鍋用の準備と米を炊飯器にセット。早炊きだ。

 棚からカセットコンロと、無限収納から魔道コンロを出した。


 鍋を食べながらたこ焼き作ろうかと。


 材料を準備してから風呂に入った。


 湯船はわりと広めだ。ジャグジーも付いてる。

 結婚を諦めていたから、マンション買った時は、家の中を充実させる方向だったのだ。

 

 ダンジョン内は俺の匂いんぞ気にする奴はいないので、香料気にせずシャンプーも使う。

 あ、魔法は解いて、髪はサラサラ状態だ。

 また〈メイクアップ〉で戻すけど。


 髪色とか、髪型に使う魔法の呪文が恥ずかしいのでどうにかしてほしい。


 ちょび髭のカットもして、眉も整えた。

 髭伸びるってことは髪も伸びるので、床屋はやっぱり探さないとだ。

 貴族はメイドさんとかがやってくれるのか?庶民はママカットだろうか?まさかの自分か。


 最悪〈メイクアップ〉で誤魔化せるけど、それなりにはしておきたい。


 

 さて、一人鍋を始めるぞー。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る