料理・・・?


 ルカとアンは〈水平線の彼方〉と〈海の渦潮〉と顔見知りらしく、ミンミとイルナは二人のそばに座ってルカが焼いた料理を取ってやったり、貝を処理して渡したりしていた。

 世話される方かよって突っ込むのはナンセンス?


 おっさんどもは酒が嬉しくて仕方ないようだが、肉も魚も「うめぇ」ってガツガツ。

 貝に酒使ってるの気付かないようだ。


「ジェイルは何作ってもうめぇなぁ」

 バーベキューってほぼ調味料振って焼くだけだから腕関係ないぞ。


 って思ったら、焼くだけで焦がしちゃうミンミとイルナが鉄板をファイアさせてるぅ!!

「なんで!?」

 消化活動する前にツッコんじゃうよ!


「ギャァー」

「肉を置いただけなのにぃ」

 置いただけで炎上しないぞ。


「・・・」

「お姉ちゃん、魔法使ったですっ」

 

 大きめなブロック肉を早く焼きたいと火魔法を放ったらしい。


「・・・一気に温度上げたって美味しくは焼けねぇよ」

 イラチってヤツだ。短気でチマチマしたことが嫌いなんだな。

 何度も焦がしてるらしいのに何故チャレンジしたんだ。ルカとアンが出来てるからか?

 やろうと思った行動は褒めたい。


「料理は一気に火を入れたって美味しくならん。じっくり火加減を調整してやるんだ」

「えー、火が通れば良いじゃん」

 ・・・ならば生でも炭でも食えば良いじゃん。


「とりあえず火に触れるのやめろ」

 料理のセンス以前の問題は俺にはどうにもできそうにない。


 せっかくのお肉が真っ黒だよ。中は無事だろうか?

 切り裂いてみたら生の部分が残っていた。無事なとこだけ救出。

 捨てるのは勿体無いお化けが出るぞ。


「ほら、強火で周りが焼けたって中まで火が通ってないだろ」

「・・・」

 時間かかるのが嫌なら薄切りにしてサッと焼け。


「ルカとアンがちゃんと焼いてくれるからお前らはお任せしとけ」

「「えー」」

 やってみたい気持ちはあるんだろうなぁ。


「イルナー、ミンミー、俺は腹痛を起こさない休暇を望んでいる」

 アッシュとサントスが酒を片手に混ざってきた。


「お前らが覚えたら良いんじゃないか」

 全員料理ができないとか困るじゃないか。

「ん?俺に料理をさせたら器具が壊れるぜ」

「俺、料理したいけど、不味い」

「俺はミンミと同じレベルだ」

 マジかよ。力加減とかがダメなの?


「料理なんかなぁ。天が与えたもう特殊スキルだ」

 え、食堂のコックやや家庭の奥さんたちって料理する人、めっちゃいると思うんだけど、特殊スキル持ち多過ぎねぇか。


「変な嘘を教えるな!お前らは大雑把過ぎるんだよ」

 あ、嘘だった。

「ギルマスだって出来ないだろう!」

「俺は肉も焼けるし、湯も沸かせるんだよ!」


 どんだけー。


 焼くか蒸すか煮込むか・・・、以前に火加減で躓くとかあるんだ。

 分量とか臭み取りとか考えたことがないとみた。


 この世界レシピ本とかないだろうし、親や友人に教わるにしても、塩を一振りって聞いて手掴み一振りとか大雑把なんだろうか?


「普段は飯屋に行くから良いんだよ」

 うん、マネーの力で乗り切れるならそれで良いと思う。

 あんな消し炭食べたら身体に悪いし。


「味付けに自信ないなら後から塩を指で摘んでかけろよ」

 ゴンザレスは味付けが不味いらしいから、焼くだけ料理ならそれが一番安全だろう。


 味が単調になっても食えるものにはなる。

「分かった」

 それか、ソースやドレッシングみたいなかけるだけのものが売ってれば良いんだけどな。日持ちという難題が立ち塞がる。


 焼くことも苦手なら飲み食いだけに集中してて欲しいと手を振ってみんなを散らした。


「ルカ、アン、手伝わせて悪いな。」

 おっさんどもは戦力外だった。


「良いですよっ!お呼ばれ、お手伝い当たり前でっす」

 良い子やな。うちの姉と妹に見習って欲しい。俺は中間子で兄姉妹の奴隷だ。


「可愛い子にはサービスだ」

 シルスファンたちにも出したブ○ボンのクッキーをあげよう。

 オッさん、飴でもケーキでも貢ぎたいけど、我慢だぞ。


「うわぁ!お菓子ですっ?」

「おい、そんな良いもの・・・」

 お高くはないんだが。


「あー、それ!!美味しいヤツ」

 ヴァロたちが目敏く交ざってくる。

「・・・」

 これはお駄賃だ。お肉が焼けないやつには無いぞ。


「いーなー」

「酒飲んでろよ」


 俺はルカ達の手土産のカラスミもどきを切って炙ってみた。

 これは美味い。良いツマミだ。

 ルカもアンも「炙るの!?」って驚いていたけど真似して食べた。


「おいし〜ですぅ♡」

「うま・・・」

 将来、飲兵衛になるな。


「あー、僕も食べるー」

「俺も」

「アーシも好きなやつー」


 カラスミはあっという間に消えて、酔っ払いたちがまた酒樽を賭けた競争を再開した。


 飲んで走ったら危ねぇぞ。


「ルカとアンは小瓶あげるから参加するな。危ないぞ」

「樽あげたかったですぅ」

 ぐぅ。


 子供たちは帰る時間になったので、ルカに明日のダンジョンへの船をお願いした。

「良いよ」

 ってことだったので、焼いた肉や魚と貝を包んで持たせて、カラスミのお礼と言って酒瓶を二本渡した。


「・・・多いよ」

「いーよ。アイツら多分ずっと飲むし、それくらいの量はすぐ消えるんだよ」

 送って行こうかって言えば、近いからって断られた。


「お兄ちゃん、ありがとうですっ」

「・・・おやすみ」


 可愛い兄妹、萌えるなぁ。



________________


〈新月の雷光〉

 ドット 

 ドレイク 

 クレイバー 

 シャート 

〈鋼鉄の拳〉

 ランガ

 ヤン

 ヴァロ


〈海の渦潮〉

 アッシュ

 サントス

 ゴンザレス

 ミンミ

 イルナ


〈水平線の彼方〉

 ルーカス

 アイアン

 ロゴス

 ギャレット



ギルマス アントス


船頭 ルカ 妹アン

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る