バーベキュー

 浜辺に着いて、ルカと妹のアンに合流。


「はじめまして、兄がお世話になってますっ」

 妹は、ルカのちょっとぶっきらぼうな感じと違って、めっちゃ愛嬌のある元気な子だ。十三歳だそう。可愛い兄妹だなぁ。

「これは母から・・・」

 手土産持参とはご丁寧な。

 鮭とば?なんか鮭みたいなのを干したやつと、半生のカラスミみたいなのを貰った。

 めっちゃ高級やん!と思えば、この辺りでは食べ切れない、売れない部分を干してオヤツにするんだって。エコ!


「あんた酒好きそうだったから」

「ありがとう!!」

 ちなみにルカ十五歳、酒が飲めるらしい。と言うか水代わりだから果汁の後は酒になるんだ。


「まずは何か焼けるまで果汁飲んどくか?」

「手伝う」

「手伝いますっ」

 かわええね。ほっこり。



 まずはみんなで焼き場を作った。

 全部ランガたちが張り切ってやってくれる。


 俺は素材を置いたり切り分けたりする場所を確保して、素材を出して行く。

 ドットたちも酒樽や一緒に買いに行った肉などを出して行く。


 〈海の渦潮〉と〈水平線の彼方〉の連中も持参した酒や魚をたっぷり出してくれた。


「どんだけ食べるんだ」

 並んだ食材と酒にドン引きだよ。


「ははは!仕事明けじゃ!朝まで行くぞー」

 アッシュとランガたちがなぜか浜辺をダッシュしてスピードを争う。

「一番を十回取ったら酒樽一個だぁ!!」

「うぇーーーい!!」

 まだ準備中なのに何か始まった。


 ルカとアンが参加しようとしてる。現役冒険者たちと張り合うの?


「俺たちは海で育ってるんだ。絶対勝てる!」

 君ら酒樽欲しいのかい??


「父さんと母さんが酒好きだ」

「お酒をお土産にして妹が欲しいっておねだりするのですっ」

 ほろり。良い子や。普通にお土産で持って帰ってもええんやで。

 って、妹は酒飲むと遠のくんでは?


 何かよくわからんが盛り上がってるのは置いておいて、仕込みをするよ。

 砂浜で全力疾走とかキツい遊びしない。


「お前らは酒良いのか?」

 シャート、ヴァロとゴンザレスとイルナが一緒に焼き場で作業してくれる。


「お酒は好きだけどー、体力お化けじゃないからー」

「普通に飲む方がいいじゃん」

「俺は腰にクる事はしない」

「私は食べる方優先だよ」


 ゴンザレスが一番酒好きそうだけど、腰弱いのか。めっちゃ筋トレしてそうだけど。


 肉も魚も焼いて塩だけが基本なのでみんな切った材料に塩を振っていく。

 俺はその後に塩を持ってるていで、こっそりマジックソルトをふりかける。

 

 貝類は鉄板に並べて、手作りバターに醤油のと、日本酒を一振りのを置く。


「ジェイル〜、それ何?」

「牧場で買ったミルクで作った」

「チーズ?」

「チーズじゃないよ」

 バターを一欠片、舐めてもらう。バター単品じゃ油と塩の味なんだが。

「んー?これ美味しいの?」

「料理に使うとコクが出るんだよ」

「へぇ」


 大エビはそのままで焼こうか。これも殻を剥いたらマジックソルト使おう。

 

 大雑把に準備を終えた。あとは途中食べながらで良いだろう。


「あいつら何やってんだ?」

 ギルマスが仕事を終えてやって来た。


「酒樽賭けて競争してるんだよー」

「何ィ!出遅れたか!」

 いや?おっさんよ。勝てる気満々なのか。まだ現役の冒険者なのか・・・。


 同年代らしいボルクさんやニコルソンも普通に勝ちそうな・・・イケるのか?


「普通にここの酒みんなで飲むんだから良くない?」

 一人一樽分は余裕であると思う。

「それはそれ!だろう」

 この世界の酒呑み、ヤバくないか?


「おーい、いい加減始めるぞー」

「「「うぉーーー」」」

 みんな一斉に戻って来た。

 準備が嫌で逃げたんじゃなかろうな。


「よーーし、みんなお疲れ様ーー」

「大仕事が落ち着いて良かったー」

「このメンバーで集まれたことに!!」

「「「「「「カンパーーーーイ!!!」」」」」」


 アンだけジュースだが、それぞれ樽から注いだ一杯を一気した。


「「「「ぷはぁー」」」」

 すぐさま二杯目を樽を選ぶ。

 俺が出した樽も、この世界仕様に容器変換されているからドットたちはどれが当たりかを考えてるらしい。

 サクサク選ぶヤツを一杯目で当たったと判断してみんな群がる。


 ポルドス組はよく分かってないのでびっくりしつつ、みんなが狙うのがいい酒だと判断して並ぶ。


「良いなぁ。私も選びたいですぅ」

「んー?果汁も三種類くらい用意したぞ」

 果汁入りの瓶を見せてあげると目をキラキラさせるアン。

「飲み物で腹一杯は困るだろう。先に肉とか食べれば?」

「そうだったですっ!!」

 

 魚は毎日食べるからまずはお肉からと言うのでお皿に乗せてあげた。


「んぅーーーまぁ!!」

 マジックソルトに驚いたらしい。

「これは塩じゃないのですか?」

「ハーブの葉っぱを混ぜてあるんだよ」

 胡椒とかもね・・・。

 アンが美味しそうに食べてるのを見て、おっさんたちも慌てて肉を狙う。


 バレちゃうことより美味しさが優先。

 覚えた贅沢が忘れられず、生活レベルを下げれないってあるじゃん。

 俺、やっぱ料理の味は今更、塩だけとか素材から出る出汁だけは無理だと思う。


 食材のレベルを下げても味付けはそこそこ必要だよ。って言うか無理。

 それで自分だけ美味しく食べるとか無理じゃん?




_________________


〈新月の雷光〉

 ドット 

 ドレイク 

 クレイバー 

 シャート 

〈鋼鉄の拳〉

 ランガ

 ヤン

 ヴァロ


〈海の渦潮〉

 アッシュ

 サントス

 ゴンザレス

 ミンミ

 イルナ


〈水平線の彼方〉

 ルーカス

 アイアン

 ロゴス

 ギャレット



ギルマス アントス


船頭 ルカ 妹アン


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る