八時かも?全員集合!

 辺りが暗くなってきた。

 近くに細かい魔物が寄ってきたらみんなで交代で倒してくる。


 やっぱ血の匂いとか完全に消えてないから、野盗たちの残骸があったあたりが騒がしい。

 遺骸はドットたちが一応回収したはずなんだけど。


 俺的にはタバコが吸えるチャンスタイムなので率先して向かったよ。

 現場はポルドスの連中が改めて調査をするらしいので〈浄化〉はダメっぽい。


 誰も見てないのでスマホでコンビニコーヒー買って飲む。

 物産展はまだ九州だったので、焼き肉弁当と佐世保バーガーと山盛り買っておいた。

 角煮まんじゅうと豚骨ラーメン・・・無限収納に入れておけば腐らないし、麺が伸びないので買っておこう。

 日本酒飲み比べセット、まだ前回の飲んでないけどまた買っておこう。

 神様分もまとめてポチッと。


 倒したのはレッドスネークとちょっと大きいネズミ。

 完全におこぼれ狙いの小物だった。


 馬車に戻るとミシェルとメイが泣いてた。


「どうしたんだ?」

「わからん」

 

 シルスファンがミシェルを抱きしめ、メイがその隣で泣いてて、他の子供たちが貰い泣き?エグエグと泣くのを我慢している。


「暗くなってきたからじゃないか?」

「あー、あんまり明るく出来ないよー」

 一応焚き火はしてるけど、薄暗くなって来ている。

 森からは遠くからだが梟やオオカミの声も響く。


「ふぇぇ」

 俺とシャートでミシェルの顔を覗くと小さな手が俺の髪をむんずと掴む。

「あ・・・兄上に会いたいのかもしれない」

 シルスファンが言うには上の兄が金髪のロン毛で今の俺は白髪だけど煌めいてる感じが気になるんだろうって。

 仕方ないのでミシェルを預かって抱っこすると髪をハミハミされてた。

「すみません」

 シルスファンがよだれにまみれた俺の髪を拭おうとする。

「いーよ。あとで拭くし」

 ちなみにメイはシャートに甘えて落ち着いた。

 その様子を見ていた子供達もドットとヴァロによじ登ったりしつつ甘えた。みんな不安だんだな。

 一番大きくて身分が高いシルスファンは甘えられないようだから俺とドットで頭を撫でまくった。不敬罪?


  

 しばらくするとダッカダッカ聞こえて来て、ランガたちが到着した。


「おー!子供見つかってよかったな!」

「ジェイルでかしたー」

 ランガたちが馬車から降りてくる。


 御者が荷台を取り出して、四頭立て馬車を二頭立てに戻し、馬を繋げてるのを子供たちが微妙な顔をして見ている。


「あー、馬車乗りたくないかもね」

「そうだったな、でも歩きは無理だぞ」


 ここで夜明かしは危ないのでもう少し先の林業工場にある宿に向かうことになった。

 シャートが〈伝心鳥〉でポルドス側に伝える。


 子供たちに馬車に乗るよう促すとシャート、ヴァロ、ヤンが抱っこしてくれたら乗れると言うので「ご指名~」って一台に押し込んだ。


 俺は寝てくれたミシェルをシルスファンに渡して、ドレイクにシルスファンをシャートたちのところに乗せてもらって先に出発してもらった。


 馬車を見送って、ドットとランガと腑くんをどうするか相談。

 良い加減、絨毯から出さないと様子も確認できんし。


「んー、荷物の合間に置いて子供に見られんようにするか」

「こんな森が抜けられん連中が大した集まりとも思えんし情報持ってないかもな」

 それねー。

「いや、ブラックオーガだ。つえーやつだったぞ」

「なんだって?なんでそんな奴が出てくるんだ」

 普段この辺りには出て来ないらしい。

「単体だったからなぁ。近辺には何も問題がなかったから奥に何かあるのか」

 後日ポルドスの冒険者ギルドが調査に来るだろうって。

 ランガたち〈鋼鉄の拳〉も呼ばれる可能性があるけど、カナンが手薄になるからどうだろうって話だ。


 調査することが決まってるなら俺たちはこのままポルドスまで行っても問題ないだろうってことなので今夜の宿まで進むことに。


 ちょうどポルドス側の冒険者たちも宿に着いていた。


「久しぶりだな」

「おう」


 ポルドス側の冒険者たちが〈海の渦潮〉と〈水平線の彼方〉と名乗った。

 もう少しカッコいい名前は思いつかなかったのか?って思ったが、カッコいい名前って考える俺が厨二病なんだな。


 女冒険者がいたので子供たちに安心感があるとホッとした。

 したんだが、〈海の渦潮〉のミンミとイルナはなんて言うか元気があればなんでも出来るって感じのタイプで。


「「ぎゃーーー」」


 ミンミとイルナが厨房で肉を焼こうとして焦がしたり、スープが爆発したので。


 安らぎはなかった。


 なぜ率先して厨房に行ったんだ。


 ヴァロとヤンが俺にそっとお願いポーズをしたので諦めて俺が料理をすることに。

 

 ドットたちが今後の相談をするらしいし、ヤンたちが子供の世話をしてくれるので、


「厨房を絶対覗くなよ?邪魔をするな!」

って、つるの恩返し的フラグを立てて籠った。


 別に覗いても良いけどさ。

 〈海の渦潮〉と〈水平線の彼方〉の分まで追加って。

 この世界の連中どんだけ料理出来んのだ。



_________________


〈新月の雷光〉

 ドット 

 ドレイク 

 クレイバー 

 シャート 

 〈鋼鉄の拳〉

 ランガ

 ヤン

 ヴァロ


〈海の渦潮〉

〈水平線の彼方〉


保護した子

メイ ディエゴ ジャン ユング


シルスァン・ラシャドル

ミシェル・ラシャドル

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