子供は無垢・・・


 泣いちゃった子供はヴァロが良い感じに宥めてくれた。子守がうまい。


「ヴァロちゃん!このジュースおいちいの」

「これパンがぱんじゃないんだぞ」


 シャートは「あんなに頑張ったのにぃ」とヴァロの人気にショックを受けた。


 とりあえずドットもヴァロも腹が減ってるというので子供たち用に買ったサンドイッチの残りを出したら、子供たちもまた食べるーっと言うので、追加が必要になってしまった。


 スマホ出すのはまだだよなぁってことで、残っていたチャーシューとワイン煮込みを出してから、タバコって言って離れた。


 少し離れて〈隠者〉の指輪を使った。

「ふぃー」

 シガリロの味をしっかり口の中に転がしてストレスを和らげる。


 あと一日二日と子供連れなら料理もめんどくさいし、スマホも見れないから多めにお買い物だ。

 買い置きの肉弁当とか出すと米の説明もいるだろうから面倒なので、またサンドイッチやハンバーガーとかパン系のをポチポチ。

 ジュース類、酒、シガリロと買い込み。

 子供はお菓子喜ぶだろうけど、菓子類はヤバいよなぁ。果物はミカンとリンゴくらいなら出しても良いか?

 シンプルなクッキーくらいなら良いかもと思い付きポチッと。

 ついでにゲルマットとクッション、毛布を買い込んだ。ポルドスまでの馬車移動は子供たちには少ししんどいだろう。


 スマートウォッチから赤いランプが見えたので確認すると、ちょっと離れた場所に小さい反応。多分オオカミと同じくらいなのでスルーだ。まさか森の中歩いておいてオオカミ程度を倒せない冒険者もいないよな。

 この距離ならシャートにもわかるし、倒す必要があるなら動くだろう。


 〈隠者〉の指輪を解除して、シガリロもう一本吸ってから戻った。


「お前どこまで行ってたんだよ」

「ちょっと木陰で吸ってた」

 ドットが背中を叩いてくる。

 

 もしかして今回のグロ初体験を心配してたのかも。

 〈精神耐性〉が仕事してくれて平気だけど。


 みんなに食料を出すとドットたちがジッと見てきたけど、シャートが「全部終わったらだよー」っと流してくれた。


「ここで夜を越すわけには行かんから移動しようと思う」

 まぁそうだろうね。

 子供の足では酷なので俺たち四人で運んで行くわけで。

 子供たちがヴァロが良いって言うもんだからシャートがいじけた。


「あたしはシャートちゃんでもいいよ?」

 というのでシャートがメイとユング、ヴァロがディエゴとジャン、ドットがシルスファンとミシェル、俺が腑くんを少し離れて引っ張って行くことに。

 

 背中におんぶと胸で抱っこ。筋トレ状態だ。

 俺が子供を担当出来ないのは腑くんを子供に見せない配慮。

 

 子供たちは元気にはしているけど、まだ全快じゃないし、地味な痛みは続いてるはず。

 おんぶも抱っこも子供たちが嫌がったので、痛めている場所の配慮をしつつ、マントでスリングみたいに包ませたよ。


「ジェイル、こんな抱っこの仕方よく知ってたなー」

「・・・ちょっとな」

 まさか十歳前後の子供にスリング使うとかは想定してなかったけど、ドットたちが鍛えててえ良かったね。


 絨毯は使い捨てでも良いんだけどここに捨てていけないので回収した。

 

 

 さすがにハイスピードで走れないのでゆっくり森の中から脱出する。


 せっかく子供たちと距離が出来たので俺は遠慮なくタバコ咥えて、腑くんが死んでないかチェックしつつ進む。

 途中で子供達の体を反転させたついでに水分補給したりした。


 やっぱり蛇やオオカミがチラホラ近くにいたので、腑くんを少し放置してちょこちょこ処分。ドットたちたちは子供連れてるから俺がやるしかないよな。

 あんまり好みじゃないけど、蛇は食料になるので無限収納に解体してもらう。

 今夜の飯にしてやろう。


 腑くんがだいぶ元気無くなってきたのでポーションを飲ませてあげた。

 コイツに奢るのは嫌なんだけどね?

 死なれても困るから。


 子供を犠牲にしておいて自分は幸せに生き残るとかあり得ないから、引き摺られて文句とか許さないよ。

 ポルドスまで連れ帰って、子供たちの親の前に出さないとな。


 子供は苦手だけど、甥っ子姪っ子がこんな目にあってたら俺だって許さん。同じ目に合わせて子供が感じた恐怖を何倍でも上乗せさせて味合わせたい。

 

 街道にたどり着く前に、腑くんは子供に見せないために簀巻きならぬ絨毯巻きにした。


 絨毯は重いなぁ。

 

 俺がそうしたのを見てドットは近くまで来て良いと呼んだ。


 森を抜けて街道に出るとすでに夕方だ。

 子供たちもこれくらいの足場なら自力で動けるだろうと降ろされて。


「「休憩〜」」

「おすわりー」

と言って、絨毯巻きに座った。

 中身に気付いてないはずだよな??


「ジェイルちゃん〜おいしい果汁ちょうだい」

「俺もー」

 ナチュラルに絨毯に踵で打撃を加えているが、気付いてないんだよな??


「ジェイルちゃん、僕も気分良くなる赤い飲み物がほし〜」

「俺もそれが良いな」


 子供の真似しても可愛くねぇぞ。





_________________



現場直行、調査組

ドット シャート ヴァロ ジェイル


馬車組 御者二人

ランガ ヤン ドレイク クレイバー



保護した子

メイ ディエゴ ジャン ユング


シルスァン・ラシャドル

ミシェル・ラシャドル


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