第26話 観音寺城攻略

箕作城の夜襲での勝利から数日が経過した。木下藤吉郎の名は織田軍の中でも一層広まり、その武勇は尾張全土に響き渡っていた。だが藤吉郎自身は、その名声に浮かれることなく、次なる戦に向けて心を研ぎ澄ませていた。彼には、まだまだ乗り越えるべき壁があると感じていたからだ。


本陣の中、織田信長は冷静な表情で戦局図を睨みつけていた。藤吉郎がやってくると、彼はその冷たい視線を一瞬だけ上げ、藤吉郎に目を向けた。


「藤吉郎、箕作城での働きは見事だった。六角家に対するこの勝利は、我らに大きな利をもたらした。しかし、これで終わりではない。次なる目標は観音寺城だ。」


信長の声はいつものように冷静だが、その奥には圧倒的な威圧感と期待があった。藤吉郎は深々と頭を下げた。


「ありがとうございます、信長様。しかし、この勝利は皆の力によるもの。私一人の手柄ではございません。」


信長はその言葉に少しの反応も見せず、淡々と話を続けた。


「次の戦は、六角義治の本拠である観音寺城を落とすことが目的だ。だが、今回もそなた一人で突撃するわけにはいかぬ。滝川一益、丹羽長秀と共に作戦を立て、確実に勝利を掴むのだ。」


藤吉郎は頭を下げ、再び立ち上がった。彼の中で、ただの戦闘ではなく、軍全体を動かすリーダーシップが求められていることを理解していた。だが、その重圧にも怯むことなく、藤吉郎の中に再び燃え上がる闘志が湧き上がる。


「必ずや、観音寺城を落とし、信長様の期待に応えてみせます。」


本陣を出た藤吉郎は、すぐに滝川一益、丹羽長秀と共に作戦を練り始めた。観音寺城は箕作城以上に守りが固い要塞であり、正面からの攻撃だけでは容易に落ちぬことは明白だった。城の地形や守備隊の動向を探るため、偵察隊を送り出し、各隊がどう攻めるかを議論していた。


滝川一益は、藤吉郎の焦りに気づいていたのか、冷静な目で彼を見つめていた。


「藤吉郎、この戦は焦るな。観音寺城の守りは固いが、隙がないわけではない。まずは敵の動きを確実に見極めてから動くべきだ。」


滝川の言葉に、藤吉郎は一瞬考え込んだ。彼は戦場での勢いと果敢さで幾度も武功を挙げてきたが、滝川の言う通り、今回はそれだけでは勝てない戦いだと感じていた。


「分かっている、滝川殿。だが、時間をかけすぎれば、敵もこちらの動きを読んでくる。今こそ勝負の時と見て、私は信長様の期待に応えたい。」


その言葉に滝川は微笑みを浮かべたが、どこか慎重さを崩さないままだった。


ついに織田軍は観音寺城への進撃を開始した。城の周囲には湿地帯が広がり、進軍は困難を極めたが、藤吉郎の指揮のもと、兵たちは士気を高く保ち続けた。だが、観音寺城の防御は予想以上に堅固で、攻撃隊は何度も撃退された。


藤吉郎は自ら前線に立ち、兵士たちを鼓舞しながら戦った。


「この城を落とすまで引き下がるな! 我々には信長様の期待がかかっているのだ!」


その言葉に兵士たちは再び奮い立ち、城門へと突撃した。しかし、観音寺城の守備兵たちは巧妙な防御陣を敷いており、攻撃はなかなか進展しなかった。


伏兵の登場と絶体絶命の危機


戦局が膠着状態に陥ったとき、藤吉郎はある異変に気づいた。突然、城内から現れた別動隊が、織田軍の背後を狙ってきたのだ。観音寺城の守将、六角家の猛将たちは待ち伏せしていたかのように、背後から襲い掛かってきた。


「敵の伏兵だ! 皆、警戒を怠るな!」


藤吉郎の指示にもかかわらず、兵士たちは一瞬の混乱に陥った。敵の奇襲により、織田軍は一時的に後退を余儀なくされた。


その時、藤吉郎の前に猛将・六角家の重臣が立ちはだかった。彼は鋭い槍を持ち、藤吉郎を睨みつけた。


「貴様が木下藤吉郎か。この城を落とせると思うなよ!」


藤吉郎はその挑戦に微笑を浮かべ、剣を握り直した。


「この城を落とすのは俺だ。お前を倒し、この城を手に入れてやる!」


六角家の猛将は槍を構え、藤吉郎に向かって突進してきた。藤吉郎はその動きを素早くかわし、反撃に出る。二人の武器が激しく交錯し、火花が散った。激しい攻防が続き、戦場の喧騒が一瞬止まったかのように感じられた。


「貴様のような小者に、この城は落とせぬ!」


猛将は再び力を込めて槍を振り下ろすが、藤吉郎は冷静にそれをかわし、決定的な反撃を試みた。


「俺を甘く見るな!」


藤吉郎は一瞬の隙を突き、敵の猛将の槍を弾き飛ばし、彼の体に深い一撃を与えた。猛将はその場に崩れ落ち、最後の力を振り絞って言葉を絞り出した。


「見事だ……だが、観音寺城はまだ落ちぬ……」


城の陥落はまだ遠く


猛将を倒した藤吉郎だったが、城の防衛線は依然として堅固だった。城門を攻め落とすには、さらなる戦術が必要であり、藤吉郎は一時的に兵たちを後退させることを決断した。敵の伏兵と猛将の抵抗により、観音寺城の陥落はまだ遠い。


戦が一時的に収束すると、藤吉郎は再び信長の元へ報告に向かった。信長はその報告を聞きながら、表情を崩すことなく淡々と聞いていた。


「藤吉郎、そなたの働きは十分に評価できる。だが、この戦はまだ終わっていない。次の手を考えるべきだ。」


信長の言葉には焦りがなかった。彼はこの戦いが長期戦になることを予測していたのだ。藤吉郎もまた、その覚悟を新たにし、次なる一手を模索し始めた。


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次回の選択肢


1.藤吉郎は、新たな戦術を練り、観音寺城への再攻撃を決断する。

•藤吉郎は滝川一益や丹羽長秀と共に、新たな戦術を練り直し、観音寺城への再攻撃を準備する。彼の策が次なる展開の鍵となる。


2.藤吉郎は、観音寺城を包囲し、持久戦に持ち込むことを決断する。

•藤吉郎は城の強固な防御に対抗するため、無理に攻めずに包囲戦に持ち込み、兵糧攻めを選択する。戦況が長期化する中での緊張感が高まる。


応援コメントでの投票のお願い


読者の皆さん、藤吉郎の運命を決めるのはあなたです!

明日朝7時までに応援コメントで選択番号を記載してください。観音寺城への再攻撃を選ぶか、持久戦に持ち込むか――あなたの選択が彼の未来を左右します!


次のシーンは、翌日17時に投稿されます。藤吉郎の運命がどのように展開するのか、ぜひご参加ください!


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読者の皆様へ


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