第25話 総攻撃 ―決戦の時

夕暮れが迫る箕作城。急峻な地形と大木に覆われた堅城を前に、織田軍はその進軍を阻まれていた。木下藤吉郎は城を見上げ、冷たい風に吹かれながら考え込んでいた。吉田出雲守が率いる六角家の守備は予想以上に強固で、織田軍は初めの攻撃で後退を余儀なくされていた。


織田信長から命じられたこの箕作城攻略は、織田家の未来を大きく左右する重要な戦いだった。藤吉郎にとっても、ここでの武功がさらなる昇進への鍵となる。彼の心には熱い闘志が燃え上がっていた。


「このままでは持久戦になり、兵たちの士気も下がる。ここで決断しなければ……。」


藤吉郎は思考を巡らせ、総攻撃のタイミングを図っていた。彼は、ただ待つだけでは時間が兵たちの士気を削ぎ、逆に守備側に有利に働くことを知っていた。ここで一気に勝負を仕掛けるしかない。


藤吉郎は、自らの部隊を集結させ、全員の顔を見渡した。疲れは見えるが、士気はまだ下がっていない。彼は兵たちの心に火をつけるため、声を上げた。


「皆の者! 今こそ時だ! 一気にこの箕作城を攻め落とすぞ!」


その声に、兵たちは静かに頷いた。彼らは藤吉郎の決断を信じ、その指揮に従って動き出した。急坂を登ることは容易ではないが、藤吉郎の下で訓練された兵たちは全力でその指示に従う覚悟を固めていた。


藤吉郎は側近の武将たちに命令を下した。


「各隊、準備を整えよ。松明を灯し、夜の闇を利用して城を覆い尽くすのだ。敵を圧倒し、その隙をついて一気に攻め込む!」


藤吉郎は数百本の松明を兵たちに持たせ、中腹までの50箇所に配置させた。それが合図となる。夜襲の準備は完璧に整えられていった。


松明が一斉に灯され、戦場が赤々と燃え上がったかのように照らし出された。藤吉郎はその光を見上げ、剣を抜いた。


「今だ! 全軍、突撃せよ!」


藤吉郎の号令が響くと同時に、織田軍の兵たちは一斉に箕作城へと突撃を開始した。急坂を駆け上がる兵士たちは、吉田出雲守率いる守備隊の弓矢や石つぶてに晒されながらも、その勢いを失わなかった。


「城を包囲し、敵を混乱させろ! 戦いを終わらせる時は今だ!」


藤吉郎は先頭に立ち、剣を振りかざして敵兵を次々に打ち倒していった。彼の剣はまるで閃光のように輝き、その攻撃は一撃一撃が的確だった。城兵たちは総攻撃に動揺し、守備が次第に崩れていく。


「突撃せよ! 我らが織田軍の力を見せよ!」


藤吉郎の勇猛果敢な姿に鼓舞された兵士たちは、士気をさらに高め、次々に箕作城の防御を突破していった。吉田出雲守もまた、その混乱の中で自ら槍を持ち、前線に出て戦ったが、圧倒的な織田軍の勢いに耐えきれなかった。


戦場の混乱が続く中、吉田出雲守は最後の抵抗を見せるため、自ら馬に乗り槍を持って突撃してきた。藤吉郎はその姿を見つけると、即座に戦意を固め、出雲守に向かって駆け寄った。


「出雲守、ここで決着をつける!」


藤吉郎は叫びながら、剣を振りかざし、敵の槍を受け止めた。両者の武器が激しくぶつかり合い、火花が散った。戦場の喧騒が消えたかのように、二人は互いに視線を交わし、次の一手を探っていた。


吉田出雲守はその巨体を活かし、力強く槍を振り下ろしてきたが、藤吉郎はその一撃をかわしながら反撃を試みた。剣と槍が交錯し、互いに一歩も譲らぬ攻防が続く。


「これで終わりだ!」


吉田出雲守は最後の力を振り絞り、藤吉郎に向かって再び突進してきた。その瞬間、藤吉郎は敵の動きを見切り、剣を素早く繰り出した。剣は的確に出雲守の鎧の隙間を貫き、致命的な一撃を与えた。


出雲守は苦しみながらも、藤吉郎を睨みつけた。


「見事だ……だが、これで終わりではない……六角家は滅びぬ……」


そう呟きながら、出雲守は力尽き、地面に崩れ落ちた。藤吉郎は深く息をつき、その場に立ち尽くした。彼の勝利は決定的となった。


吉田出雲守の死により、箕作城の守備兵たちは戦意を喪失し、一斉に降伏した。総攻撃から数時間後、ついに箕作城は完全に陥落した。藤吉郎はその戦果を見届けながら、疲れた兵士たちを労った。


箕作城の陥落は織田軍にとって大きな戦果であり、この勝利は藤吉郎にとっても大きな武功となった。


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戦が終わり、藤吉郎は信長の元へと戻った。彼は深々と頭を下げ、戦果を報告した。信長は満足げに彼を見つめ、その働きを称賛した。


「藤吉郎、見事な働きだ。箕作城を一夜で落とすとは、まさに我が軍の誇りだ。」


藤吉郎はその言葉に胸を張りながらも、感謝の意を示し、再び頭を下げた。信長の目には、次なる計画が見えていた。


「だが、これが終わりではない。さらなる戦いが待っている。次なる戦場でも武功を挙げてもらうぞ。」


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次回の選択肢


1.藤吉郎は箕作城の陥落後、信長の命を受けて次なる戦場へと向かう。

•藤吉郎は箕作城の勝利に満足せず、さらなる武功を挙げるために新たな戦場へと出陣する。戦国の荒波の中で、彼はますます頭角を現す。


2.藤吉郎は箕作城の守備を任され、次なる戦に備え内政を整える。

•藤吉郎は箕作城を織田軍の拠点とするため、守備と内政を整える役割を担う。内政に長けた藤吉郎の新たな手腕が試される。


応援コメントでの投票のお願い


読者の皆さん、藤吉郎の運命を決めるのはあなたです!

明日朝7時までに応援コメントで選択番号を記載してください。藤吉郎はさらなる戦場へ向かうべきか、それとも箕作城で内政を整えるべきか――あなたの選択が彼の未来を左右します!


次のシーンは、翌日17時に投稿されます。藤吉郎の運命がどのように展開するのか、ぜひご参加ください!


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読者の皆様へ


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