#7 エゾシカさんにおとどけものです
これは小さな郵便屋さんの物語。
「エゾシカさーん!おにもつでーす!」
「ウチに荷物?何かありましたの?」
「おかあさまから、おせんべいだそうですよ!」
「うれしいわぁ。ウチ、これ大好きなんよ」
嬉しそうです!
「ウチな、これ自分でも作ってみたくて母に作り方聞いたんよ。けどな、全然同じ味にならんのよ。何がいかんのやろか」
むむ!難しいですねぇ。
「ぼくも、おりょうり、あんまりとくいじゃないので、おきもちはなんとなくわかりますねぇ」
「練習が足りひんのかなぁ」
「どうでしょうねぇ」
「こんど、コツ、をきいてみてはどうでしょう?なにかいいヒントになるかもしれないですよ!」
「それもそうやなぁ。それがええわ。今度きいてみるわ。ありがとうなぁ郵便屋さん」
「いえいえ!うまくできるといいですねぇ」
「そうやねぇ。あぁそうだ。この前ウチが焼いたおせんべい、母が作ったやつと食べ比べしてみてくれへん?」
「いいんですか!きになります!」
「いま持ってくるわぁ」
◇
「どうやろか」
さくさく。さくさく。おいしい。
さくさく。さくさく。おいしい。
……どうしよう。違いがわかりません。
あせあせ。あせあせ。
本当に。ソックリです。どうしましょう。なにかいわないと……
「全然ちゃうやろ?何か足りんのやろか」
「ええと……ええと………」
「ごめんなぁ。ウチ、郵便屋さんを困らせとるなぁ」
「ち!ちがうんです!そうじゃなくて!」
「?」
「そ、ソックリです。このおせんべい」
「全然、似ても似つかないと思うんやけどなぁ。」
さくさく。
「あれ?」
さくさく。
「同じやわぁ」
「ソックリだとおもいます!」
「これな、一昨日焼いたんよ」
「おととい」
◇
「……ちょっとだけ、ねかせたほうが、よかったみたいですね」
「そう、みたいやねぇ」
なんだか解決しました!多分良かったと思います!多分!
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