#6 トキさんにおとどけものです

これは小さな郵便屋さんの物語。


「おーい!」

「おーーい!」

「トキさーん!おて!おてがみでーす!あと!おにもつ!おにもつもありまーす!」


「こんにちは、郵便屋さん。そんなに慌てなさんな。今そっちに行くよ」


バササッバササッ


「わぷ!」

風圧で、転んでしまいました……


「おやおや、すまないねぇ」

「いえいえ!これぐらいへっちゃらです!」


「それより、きょうはとってもたくさんおとどけものがありますよ!」

「ああ、そろそろ在庫が底をつきそうでね。助かったよ」


トキさんはお医者さん!普段は里の方に住んでいるんですが、森のみんなの診察もしてくれる、とっても凄い方なんですよ!


「いやぁ、みんなには定期的に健康診断を受けてもらいたいんだけどねぇ。森の子たちはどうにも医者が嫌いみたいで、どうしたもんだか。困ってしまうよ」


ぼくも、病院はちょっと嫌ですねぇ。


「あ!」

「何かいいアイディアでも思いついたかな?」


「はい!モグラさんにけんこうしんだんのチラシをつくってもらったら、どうでしょう!」

「そうかそうか!彼女は広告屋だったね。どれ、みんなが診察を受けたくなるようなチラシをお願いしようかな?」


「郵便屋さん、今からモグラさんに依頼のお手紙を書くから、少し手伝ってくれるかい?」

「はい!おまかせください!」


 ◇

かきかき。かきかき。



「そういえば少し前にフクロウさんが風邪を引いていたね。もう治った頃かな?」

「すっかりなおって、げんきそうでしたよ!」


「それはよかった」



かきかき。かきかき。



「そういえばこの前タヌキさんがキツネさんに引きずられてやって来てねぇ。足を怪我しているのに放置してしまっていたんだよ。薬を渡しておいたけど大丈夫かねぇ」

「キツネさんが、めをひからせているので、だいじょうぶだとおもいます!」



かきかき。かきかき。



 ◇


「こんなものだろうか、伝わるかな?ううむ」

「モグラさんならきっとわかってくれますよ!」


「では、これを届けてくれるかな?」

「おまかせください!いってきますね!」


そういえばモグラさんは朝が苦手でしたねぇ。まだ日が昇ったばかりなので、これは夕方にお届けしましょう。

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