#5 キツネさんにおとどけものです

これは小さな郵便屋さんの物語。


「キツネさん!おてがみ?でーす!」

「なんだい?チョット首をかしげて、普通の手紙とは違うのかい?」


「はたしじょうだ!っていってました!」

「フン!アタシに果し状だなんていい度胸してるじゃないの!どうせタヌキの奴だね!どれ、読んでみようかね。郵便屋、アンタも一緒に読むかい?」


「ちょっときになります!」

「アッハッハ。正直でイイねェ。ここに座りな」

「はい!」


―――――――――――

果シ状


明日、開ケタ広場、

化カシ合イ。勝負


タヌキ

―――――――――――


「やっぱりタヌキじゃないか!アイツもこりないねェ!」


キツネさんとタヌキさんはしょっちゅう開けた広場で化かし合い勝負をしている。そういえば、いつもタヌキさんが負けていたような……


「アイツはねぇ、いつも尻尾をしまい忘れるんだ!だからいつまで経ってもアタシに勝てないんだよ」

「なるほど。なるほど」


「それにさァ」

「なんでしょう?」


「タヌキの奴、少し前から右足を怪我してるんだよ。……まぁアタシに勝負をふっかけてくるぐらいなら、そこそこ元気ってことかねェ」


キツネさん……タヌキさんとはいつも衝突してるように見えますが、なんだかんだ心配みたいです。


何かいい方法はないですかねぇ。


「まぁ、なんにせよ、明日アイツと会うんだ。会ってから考えるとするかなァ。郵便屋、今日はわざわざありがとよ。暗くなる前に帰りな」


タヌキさんのことはキツネさんに任せてしまっても大丈夫そうですね!


「はい!ひがおちはじめたので、ぼくはそろそろかえりますね!」


ぼく、本当は真っ暗でも平気なんです。でも真っ暗だと大切なお手紙たちの宛名が読めなくなってしまうので今日はこの辺にしてお家に帰りましょう!

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