#4 ドジョウさんにおとどけものです

これは小さな郵便屋さんの物語。


「ドジョウさん!おハガキでーす」

「おっ?珍しいもんだ。俺に葉書かい?」

「はい!えーっと、トビウオさんからですよ!」

「あいつか!いやぁ久しいなぁ。元気にしているかな?」


「げんきそうでしたよ!このまえ、ちょっとだけ、とおくのうみにいってきたみたいです!ほら!」


葉書には写真が添えられていた。


「あいつは海に住んでるからなぁ!海ってモンはとんでもなく広いらしいな!それにピョンピョン飛んで遠くまで行けるのはいいねぇ!」

「ドジョウさんは、トビウオさんのところにあそびにいけないんですか?」


「いやぁダメだね!俺は淡水でしか生きられねぇんだ。海はほら、海水って言うだろ?塩をたんまり含んでいるからな。近くまで行ってみたこともあるが、いやぁいかんいかん。苦しくてたまらねぇ」


「ほうほう。なかなか難しいですねぇ」


海ですかぁ。ぼくは集荷の時に浜に行くだけですが、ずっと先まで広がっているあの光景は、きらきらしていて憧れです。


「郵便屋だって水の中には入れないだろ?それと一緒だ」

「そうですねぇ。あしを、ちょこっとつけるだけならいいですが、およいだりは、できないですねぇ」

「そうだろう。そうだろう」


お友達と一緒に遊べないのはなかなか寂しいですねぇ。


「それでも、郵便屋のお陰でトビウオと交流ができてる。ありがとよ」


「えぇっ。ぼく、なにもいってませんよぅ」

「顔に出てたぞ」


お顔に出てしまったようです。ちょっと恥ずかしいですねぇ。


「郵便屋、その葉書、他にも何か書いてあるだろう?渡してくれるか?」

「はい!ぼく、みずのなかにははいれないので、ここでおわたししますね!」

「はいよ!ありがとさん」


「俺もたまにはあいつに手紙でも出すか」

「いいですねぇ!しゅうかにいきますので、かきおわったら、いつでもよんでくださいね!」


「そうするよ、またな!郵便屋」

「はい!では、また」


遠くのお友達とも思い出が共有できるのは良いですねぇ。


さて、次の配達に行きますよ!

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