違和感
4人の先陣を切ったのは、アーニアだった。
「一閃」
謎の円を切った一太刀がリリシーを襲う。
「抜刀・薔薇」
細く短い刀を高速で動かすと、リリシーの前に薔薇の花が現れる。
小さな刃が集まってできた薔薇の花は、アーニアの一撃を受け止める。
「お嬢様、なかなかやるわね...」
リリシーの手入れの行き届いた金髪、ピンクと白の布をあしらったドレス。
それらの服装を見てアーニアはそう呟いた。
「以後、お見知りおきを。」
2人が再び距離を取ると、薔薇の花が散った。
散った小さな刃は形を残さず消えていく。
「抜刀・紫陽花」
細く短い刀を高速で動かすと、大きな刃の紫陽花がアーニアに飛ぶ。
正面から受け止めたアーニアの視界は紫陽花に遮られる。
「...っ...前が見えない...」
「抜刀・桜並木」
紫陽花の後ろでリリシーが詠唱をしながら細く短い刀を高速で動かすと、刃の桜並木がリリシーの周りに並ぶ。
紫陽花が散り始め、アーニアは桜並木を視認する。
「明鏡止水」
「納刀・散桜」
風が吹くとともに桜は散り、無数の小さな刃がアーニアを襲う。
アーニアは五感を研ぎ澄まし、刀を避け、いなし続ける。
最後のひとひらをいなし、そのままリリシーに一太刀を浴びせる。
避け損ねたリリシーのドレスの端が地面に落ちる。
「わ、わたくしのお気に入りのドレスが...」
「ダメージドレス?ってオシャレなのかな?」
リリシーの顔が真っ赤に、形相を変えていく。
「テメェェ、ぶっっ殺スゥゥゥ!!」
「...........こわ......。」
「抜刀・鳥兜!!」
細く短い刀は鳥兜の根を描き、毒の滴る刃が現れる。
アーニアは違和感を感じていた。
リリシーが詠唱するとき、2つ詠唱していたからだ。
そしてもうひとつ、アーニアのスキルは新たな業を発現していたが、その使い方が手に取るようにわかった。
小さな疑問を残しながらも、アーニアは刀を切り上げ、そのまま上へと投げる。
その後坐禅を組み、静かに目を閉じる。
「涅槃」
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