急襲

「全員、舞台へ降りてくるように。」

ぞろぞろと生徒が集まる舞台に、もう雨は降っていなかった。


「これにて今回のテストを終了する。」

シュタインの声とともに、コロッセオに張られた結界は解除された。

「みんなとても成長しているね。先生も治し甲斐があったよ!」


カインズはニヤリと笑い、声をあげる。

「野郎どもぉ!!出番だぁ!!」


声とともに舞台の上に真っ黒な円が5つ浮かぶ。


「一閃」

アーニアの声とともに黒い円はひとつ消え去った。


「あら?なんで4人しかいないのかしら?」

「おいおいおい!話が違ぇぞ、カインズ!」

「あの方が切ったのですわ。わたくし見たんですもの...」

「...腹減ったぁぁ。」


円から出てきた4人の会話を聞きながら、アーニアは言う。

「切らないほうが良かったのかな...?」

「むしろ逆だ。作戦が崩れたらしい。」

リックが答える。


「おいカインズ!お前もアルヴァンの面倒見ろ!あいつは1人じゃ無理だ!」

「どんなコと戦えるのかしら?」

「わたくし、怖いですわ...」

「...眠いぃぃ。」


それを聞いたリックはすぐさま3人に伝える。

「シュタイン先生を守るぞ。」

4人はシュタインの前に立つ。


「あらぁ?カインズちゃん、3人じゃなかったでしたっけ?」

「ドミニク、アーマン、ニガ」

カインズは指を指しながら名前を呼んでいく。

上の名前で呼んでいく様子はカインズを含めた5人が他の文化圏で育ったことを意味していた。


「僕は眼中にないらしいね。」

クラバは両手をあげてつぶやく。

「彗星の如く現れたんだよ。」

リックが答える。

「ものは言いようだね。」


「腹へったぁぁ。眠いぃぃ。コロすぅぅ。」

「分かった分かった。ライアンちゃんはあの彗星のコをお願いね。」

「俺はニガを潰す!」

「わたくし、ゲートを切ったあの方が許せません。」

「じゃあ私はアーマンちゃんかしら。」


「シュタイン先生はすぐに結界を張り直してください!」

「だが結界は等しく敵も癒すぞ!」

「これは上級訓練ですよね?」


シュタインは知っていた。

今生徒に襲い掛かろうとしている4人は魔族であることを。

相手は上級なんてレベルではない。


「分かった。5分、いや3分持ちこたえてくれ!」

「「「「はい!!」」」」

「他の生徒たちは集団を作って身を守れ!死ななければ必ず私が助ける!!」



「さあ!自主練の成果を見せてやるぞ!」

リックの掛け声とともに、4人は走り出した。

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