ミア・ソルバルト

「今回はどれだけ殺しあっても構わない。どんな死も超えられる結界を張っている。」


アーニアとソルバルトは距離を取る。


丸い眼鏡をかけた大人しい様子のソルバルトがアーニアに話しかける。

「久しぶり!と言っても降参しちゃったんだよね、、アハハ!!」

「あの時は緊張しちゃって...間違えてカインズさんの腕切っちゃったから...」

「あれはドン引きだよぉ〜。誰狙ってんだよって感じで〜。」

「でも今日はちゃんとソルっちに当てるよ。」

2人は見合う。


「はじめ。」


「一閃」


例のごとく、誰の目にも追えない刀を振るう。

が、その刀をソルバルトは噛んで受け止めた。


「燕返し」

刀は逆方向へと高速で動かし瞬時に切りつける業で、刀はソルバルトの口から離れる。

アーニアは体勢を立て直し、目を瞑る。


「明鏡止水一閃」

音をも置き去りにする斬撃が放たれ、ソルバルトの右手が宙を舞う。


その瞬間、アーニアの視界は赤に染まった。

右手からの出血がアーニアの顔にかかっていた。


「刀、もらっちゃうよぉ〜!」

ソルバルトはそのまま刀を奪い、アーニアの構えを真似る。


「一閃」


カインズの腕が落ちる。

「っ...!またかよっ...!」


「間違えちゃった...えへへ!」

そうして刀をアーニアに向かって投げる。


聴覚を頼りに刀をキャッチしたアーニアは、納刀する。

「あれぇ?もう終わりなの?つまんないの...」

目を瞑ったまま、アーニアが構える。


「首提灯」


走り出したソルバルトを目の前にアーニアは再び納刀する。

と同時に、ソルバルトの四肢が地面に落ちた。


「そこまで。」


「うわぁぁ血でベトベト...」

ショックな様子で観客席へと上がるアーニアを直視する者はいなかった。


あまりにも衝撃的な最初の戦いは、戦場の清掃に予想以上に時間がかかっていた。


「ミア・ソルバルト。どんな能力なのか全くわからなかった。」

リックは静かに分析する。

「遊び心ある戦い方だったよね。」

クラバはつぶやいた。


「次、ニガ・ドラム、トン・グラム」

「よぉし、おいらの番だ!」

「ドラっち、頑張ってね!」


会場には、雨が降り始めていた。

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