はじまり
入学前の2ヶ月はあっという間に過ぎた。
アーニアとドラムとの訓練、図書館での自習で技術と知識の両方を鍛錬した。
いつもの部屋から入学式の会場へと足を運ぶ。
「新入生、起立!」
司会者の声とともに、300人が立ち上がる。
「楽にしてよいぞ。」
舞台に立つ学院長、バニシア・ミラリオンが話し始める。
「新入生の諸君、入学おめでとう......?」
300人の顔に不安がよぎる。
「今日から3年後の卒業式。おそらく今立っている者の半分は参加しないだろう。それほど厳しい学習課程となるが、君たちが得るものは限りなく大きい。それらの課程を終了し、卒業式に立つ者に改めて、入学の祝いを伝えよう。」
ミラリオンは一息ついて言い放った。
「超えてきなさい。」
「学院長、なんだか焦ってるみたいだったね。」
「どこがだ?」
「オイラは、お腹が減ってるように見えたぞ。」
「それはドラムでしょ!」
3人で話をしながら寮に戻ると、この2ヶ月間では見たことがないほど賑やかだった。
ドミニオン王国には貴族が存在する。
彼らは入学が決まっても入寮することはなく、2ヶ月間は家で英才教育を受けるのが一般的だ。
しかし、入学式を終えると身分に関係なく寮での生活となる。
つまり入学式を終えた今、一斉に貴族たちが寮へと引っ越してきているのだ。
「オイラ、新しい友達いっぱい作るぞ!」
「私だって負けないよ!ドラム!」
「僕も頑張ろうかな。」
アーニアとドラムはぎょっとする。
「「な、なんで...?」」
貴族は子供の教育やコレクションなどさまざまな目的で本を集めているという。
それらは独自のルートを使って仕入れられており、中には他の大陸の本も混ざっているらしい。
「僕のスキルについて、もっと知りたいからね。」
アーニアとドラムは目を合わせて笑う。
「じゃあまずは腹ごしらえだね!」
「オイラ今日は大盛りにするぞ!」
「いつもだろ。」
リックはアーニアの言葉が引っかかったまま、静かに蓋をした。
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