拡げる者
リックが訓練場に着くと、先に訓練している男がいた。
ニガ・ドラムだ。
リックが話しかける前に、ドラムは声を出した。
「お前!会いたかったぞ!」
「僕もだ。」
「オイラの本気が間違いだって言った!どういうことだ!」
リックは一息ついて、一言。
「君はもっと強くなれる。」
「だから...」
遮るようにリックは尋ねる。
「ニガ・ドラム。スキルは何かを拡大する。だろ?」
「そうだ!オイラのスキルは拡げる
「じゃあ、時間間隔を拡げたことはあるか?」
ドラムは首を傾げる。
「視認できる色の幅を拡げたことは?」
「...ない。」
「それが君の可能性だ。」
ドラムは驚いた表情でブツブツと独り言を言う。
「確かにオイラ、何かを大きくして戦うことしか考えてなかった...」
リックは少し距離を置き、臨戦体制に入る。
「試してみるか?」
ドラムはニヤリと笑った。
その瞬間、ドラムは姿を消す。
目の前で繰り出されるドラムのパンチを受け止め、リックは詠んだ。
難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花
リックの視界が戻ると、前には大きな両腕でパンチを受け止めるドラムがいた。
「できた!!」
ドラムが踊りながら喜ぶ。
だがリックはもっと驚いていた。
スキルが成長し、新たな業を習得していた。
秋の田の かりほの庵の 苫をあらみ わが衣手は 露に濡れつつ
またもや謎の17文字だと思いながら声に出して読もうとしたとき、
「こんなところにいた!!」
アーニアが大声を出して入ってくる。
「訓練するなら私も混ぜてよね!」
「この声は、試験の時にオイラを応援してくれた声だ!」
ドラムは目を輝かせている。
「あれ、確か...ドラムくん...だったっけ?」
「名前までぇぇ!」
ドラムが踊りながら喜ぶ。
「慌ただしい感じだけど、多分ドラムより強いよ。」
「今のオイラに勝てるかな?」
「私だって新しい業覚えたんだからね!」
いつの間にか3人で訓練をする流れになったが、リックにとっては好都合だった。
「じゃあまずはアーニアとドラムでやってみようか。」
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