王都ミドルニア

門番に合格証を見せたリックとアーニアは、ドミニオン学院に向かいながら散策をしていた。


王都ミドルニア

ドミニオン大陸にある最も大きな王国、ドミニオン王国の王都。大陸中から様々な分野のトップが集まり、あらゆる技術における最先端の技術力を誇る。大陸の中心部とも呼べ、太古の文献では未来都市と表現されていた。


隙間なく敷き詰められた石畳の道、碁盤の目のように整理された街並み。

人の往来も激しく、どこの通りも賑わっている。

街中に設置されている看板のおかげで迷うことなく、学院に到着した。


両手に食べ物を持ったアーニアが見上げる。

「#%$\€!@¥!!」

「飲み込んでから喋ってくれ...」

機嫌を直してくれるまで、随分と時間(とお金)がかかってしまった...


「やあ、入学前の入寮希望者かな?」

聞き覚えのある声に振り向くと、そこにはイルヴァン・シュタインが立っていた。


「ああ、君はカインズの腕を切り落とした子だね。」

「あああの時はすみませんでした!」

「気にしなくていいよ。むしろもっとやって欲しかったけどね。」

笑えない冗談だとリックは思った。


「寮を案内するよ。初めての学院なんだ、騒がしくついておいで。」

そう言ってシュタインは廊下を歩き始めた。


食堂、訓練場などの施設を通り過ぎながら寮へと近づいていく。


「わぁ」

リックは思わず声を漏らした。

「ふふ、ここがこの大陸で最も大きな図書館だよ。今日からいくらでも使えるし、静かだから昼寝にもピッタリだよ」

愛想笑いをしながら2人はシュタインについていく。


寮は思ったより広く、1階には共用スペースがあった。

至る所にテーブルと椅子が備え付けられ、学生が自習していた。


「右側が男子、左側が女子の寮だよ。空いてる部屋を使ってくれて構わない。」

「「ありがとうございます」」

「そうだ、早く入寮してくれた2人にこれをあげよう。」

そう言ってシュタインは2枚のチケットを渡した。


「食堂の裏メニューチケットだよ。見る限り君は食べ盛りなようだしね。」

口の周りにソースをつけたアーニアを見てシュタインは微笑んだ。

「ありがとうございます、シュタイン先生。」

「あと、廊下の反対側にはコロッセオと呼ばれる大きな訓練場がある。君たちの入学試験に使った大きな訓練場だ。テストの時も使うから、覚えておいてね。」

2人は大きく頷いた。


「では、アーマン・リック。お父さんによろしくね。」

そう言ってシュタインは校舎に戻って行った。


「やったぁ!裏メニューだって!リック!もうお腹空いてきたよ〜」

ソースをつけたままアーニアは喜ぶ。

「顔を洗ったら食堂へ行こうか。」

さっきまで食べてたのにと思いながら、リックは寮へと入った。



その夜、2人は夜ご飯に舌鼓を打った。

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