逸材たち

翌日、ドミニオン学院では合格者を決める会議が行われていた。


「まず、筆記試験は満点取得者が1名」

会議室がざわつく。

「名前は、アーマン・リック。出身はミルコ村です。」


ミルコ村

リックやアーニアの故郷で、王都からは遠くもなければ近くもない。ど田舎という訳でもない、これといった特徴のない村。


「アーマン...まさか、アーマン・シュリンクの息子か?」


またも会議室がざわつく。

「しかし、総じて今回の受験者は優秀です。筆記試験では1人を除いて合格と言って良いでしょう。1人を除いては。」


「誰だその1人は。」

「ニガ・ドラムです。なんでも試験当日は居眠りをしていたとか。いかがいたしましょう、学院長。」


「では、居眠りしていた者は不合格とする。異論のある者は?」


シュタインが手を挙げる。

「その者は実践試験にて相当な戦闘センスを見せていました。成長に期待できるかと。」


「では、今年度も受験者全員を合格とする。と言っても、また半数は途中で退学しそうじゃがの。」

学院長の一言に、出席者は再び気を引き締めた。


          *


「しっかし、また受験生に腕を落とされるとはな...」

カインズは肩を鳴らしながらつぶやく。

「もう少し派手にやられてもらう方が、治し甲斐はあるんですがね。」

シュタインは意地悪そうな笑みを浮かべながらカインズを見る。


過去にも一度、実践試験でカインズの腕を切り落とした受験生がいた。現七英雄の1人、バシアン・ロレーヌである。


「もうあんな痛い思いは二度とごめん、いや三度とごめんだな。ガハハハ!!!」


そんな会話を廊下でたまたま耳にしたロレーヌはハンカチを噛み締めた。

「誰よ!私だけの伝説をマネしたの!!」



その背中には、目を凝らしてやっと見えるほどの、細い剣が背負われていた。

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