第8話 なんてこったい!

8話 なんてこったい!



 なんてこったい!


 まったく、相棒を迎えてここ数日いろいろ事件が起きて大変な目に会って2日程学校を休んだ。


 まあ親友の工藤久安とスマブラしたりちょっと遠くのブックオフにプラモ探訪に行ったりいろいろと楽しんで精神的な健康と平穏、いわゆるSAN値を回復させてたんだよな。


 極めつけは五良児凛ってヤツの存在だ。なんと彼女、俺たちの通う学校の1年、つまり1個下の後輩らしくてな。まあ学校で絡まれる可能性を考えて逃げてたんだよな。


「今日こそ学校に来なさい!!女の子にグイグイ来られて尻込みして!それで学校を休むなんて情けない!それでも男ですか!」


 窓の外から蓮見妙子の声がする。こういう時お隣さんってのは厄介だよな。


「わかったよ!わかった!今行く!」


 学校指定の制服に着替えて学校を出る。朝飯はコンビニでチキン買ってパンに挟むかな。


「この2日間、アンタが来なくて大変だったんだから」


「大変って何がさ」


 隣の久安が首を傾げる。コイツも2日間一緒に騒いで遊んだから学校の状況を知らないんだろうが、学校で何かあったんだろうか?


 コンビニが見えて来たから入店して炭酸水と素バンズを買う。最近チキン挟む用のパン売ってるの便利だよね。


ヒソヒソ

(おい、あのお方って……)

(あぁ、間違いない。あのお方だ。隣に蓮見妙子先輩が居るからな)

(炭酸水とバンズ……至高の相棒を呼び出す秘訣はアレか)

(キャッ!あの物腰、あの視線、どうにかなりそうだわ!)

(あんな奴が至高の相棒に選ばれし求道者なのか?)




 なんかすげぇ俺を見てヒソヒソしてて居心地悪いんだが、俺また何かやっちゃいました?


 いやまあ、コールプローラーで2回も暴れたら噂になるか。


 コンビニを出てチキンをバンズに挟み一口齧る。片手でペットボトルの蓋を開けて炭酸水を流し込むと寝起きの頭がやっとシャッキリし始めた。



「夜波奥渡!我輩と勝負するでござる!ただしコールプローラーは無し、相棒と探索者だけのガチンコ勝負でござるよ!」


 朝食にありついたと思ったら目の前にメガネ、ハチマキ、指ぬきグローブの香ばしい姿をした小太りの男が現れた。


「えっと……いま喰ってるからちょい待ち」


「あ、そうでござるか。申し訳ない。食事は大事ですからな。ごゆるりと」


 話が分かんじゃん。さてふた口めを口に


 ドガァァァン!!!


 爆風が巻き上がり衝撃で手からチキンバーガーが飛んで行く。


「ギャハハハハハハハ!てめぇをやれば大金をくれるって話なんだ!悪く思うなよ!」


 土煙の向こうから下卑た笑い声が聞こえる。俺のバーガーが………土煙の向こうから伸びてきた足がグシャリとバーガーを踏みにじる。


「てめぇ、俺の朝飯を……何のつもりだ?」


「何のつもりだ?だとぉ?凄んでもてめぇみたいな奴は意味ねぇだろ!もっと強そうな奴がやるから凄むってのは効果があギャバッ!!」


 なんかチンピラみたいな奴が太ったオタクくんの腰の入ったパンチで吹き飛ばされ壁にめり込み沈黙する。


「まったく、食事中の相手に一言掛ける事も無く奇襲をしかける。貴様には恥はないのですかな?」


「ヒュー!やるじゃないかアンタ。俺が手を下す手間が省けた」


「いやなに、これしきの事。誇るほどの事では無いでござるよ。」


「で、アンタの目的もさっきのアホと同じく俺なんだよな。何か俺を狙ってる奴が居たりするのか?」


「アンタに個人的な恨みがある人間がおりましてな。連れて行くとかつてイベント展示品として作られた非売品の鬼心奉公デロンベリンに出てくるハルちゃんの等身大フィギュアが頂けるそうでして。貴方に恨みはありませぬがボコボコにさせて頂きたく」


「なるほど………ハルちゃんか。個人的には博士の作る方の娘のが好きなんだが……しかしそうか。同志であるか……名は?」


「出臼柄楠間。相棒の名はキナ」


「いざ」「尋常に………」「「勝負ッッッ!」」


 俺が拳を握り腰を落とした瞬間、まるで砲弾の様に丸い巨体が加速する。


 弾かれた様に向かってくる楠間。四肢に銀色を纏い鉄塊の様な拳を突き出して来る!


「メンダコッッッ!」


 触手を両腕に巻きつけ一回り太くなった腕で受け止める!!クソッウエイトが違い過ぎて弾き飛ばされる!!


「キナッ!貼付レート!」


 弾き飛ばされた所に上からさらに銀色を纏う拳が振り下ろされる!クソッ!喰らえ、ファンブル!!


 俺の触手を幾重にも巻いて太くなった拳が拳を迎え打つ。


「ぬおっ!!そのパワー、流石ですな。キナも震えておりますぞ」


「てめぇもな。良いパンチしてるじゃないか。」


 今度はこちらから、触手を楠間に巻きつけると高速で縮めて距離を詰める。


「縮!ファンブル!!」


 バチィン!!と硬いモノに触手を叩きつけた様な音が響く。銀色はヒビ割れしたの地肌が見えていた。


「なかなか硬かったが、勝負はついたな。相棒がもう力尽きてるんじゃないのか?」


「フフッそれはこちらのセリフでござるよ。腕の触手、ほとんどほどけて垂れてますぞ。もう力が入らないのでござろう?」



「「フフッ……アハハハハハ!」」


「お前面白いな!」「こちらのセリフでござる!」



──────



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