第11話 告白を邪魔した末路
翌朝、ヨナさんと話しながら学校へ向かう。
昨日と違って、今日は午前授業ではなく通常通り午後もある。
そして、19時からは異世界へ行き、4人と修行する。
学校の校門をくぐり、玄関へと向かって歩いていたのだが、校舎裏へ歩いて行く愛宮さんと山君が見えた。
( おい大和、あれって昨日の狂人女とオカッパじゃないか?)
( うん、そうだね……。これってもしかして、
愛宮さんが山君に告白するつもりなのかな)
( おそらくな。ついて行ってみよう!)
( えー嫌だよ。バレたらめんどそうじゃん)
( おい大和、お前に拒否権はない。昨日、レッドたちの修行の面倒を私が見てやる代わりに貸ひとつだったよな?)
( まさか……ここで使う気?)
( そうだ! さあ行け大和!)
( ……分かったよ……)
僕はバレないように2人の後をついて行った。
そして物陰から2人を覗くと、早速愛宮さんが口を開いた。
「 あ、あの…山君……。私、山君の事が好きなの! 私と付き合ってください! お願いします!」
愛宮さんが山君に告白した。
( 愛宮さん、なんでこんな告白で頬を赤らめたり恥ずかしそうに照れたりできるんだよ)
( 奴は狂人だからな)
ヨナさんと会話していると、山君が口を開いた。
「 ご、ごめん愛宮さん。愛宮さんの気持ちは嬉しいんですけど、僕には他に好きな人がいるんです……。だから君と付き合うことはできません……」
山君が愛宮さんを振った……。
( なんて茶番だ)
( ああ。本当に理解できないな)
山君はこうするしか無いのは分かるんだが、愛宮さんは何度この茶番を繰り返してきたのだろう。
そんな事を思っていたら、愛宮さんの表情がどんどん歪んでいく。
「 ふ、振られちゃった……。イヒ……イヒヒヒヒヒヒ……アハハハハ。この感覚……最っっっっっっっっ高だわ!!! アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」
その愛宮さんの表情は言葉では言い表せない程に歪んでおり、まさに快楽に溺れているかのようだった。
…………。
舐めていた……。
僕は完全に愛宮泉菜の事を舐めていた。
これが本物の狂人なのか……。
この世には本当にこんな奴が存在するんだな…………。
僕は愛宮泉菜に対して少しの恐怖を覚えた。
( ヨナさん、僕、愛宮さんの事めっちゃ怖いんだけど)
( そうか? 確かにイカれてるが見てる分には面白いじゃないか)
( ヨナさんって感覚おかしいよね)
( そんな事は無いぞ)
いや、完全におかしいです。
( それよりヨナさん、もう教室行っていいよね?)
僕はその場から立ち去ろうと、足を一歩踏み込んだ。
ジャリッ!
やばい! 地面の砂利のせいで、めっちゃ音立てちゃった!
その音に反応した愛宮さんが、こちらに声を掛けてきた。
「 ねえ、そこに誰かいるの?」
( どうする? どうしたらいい? ヨナさん助けて!)
( 頑張れ大和、応援してるぞ!)
( 何をだよ!)
ヨナさんは当てにならない。
ここで僕が取れる選択肢は二つ。
逃げるか素直に謝るかだ。
そして僕は決断した。
素直に謝る事を。
逃げるのに失敗したら後が怖そうだし、傷が浅いうちに謝っておくという作戦だ。
僕は物陰から姿を現し、愛宮さんの目の前に立った。
「 え!? 龍美君!? どうしてここにいるんですか!?」
山君が僕に声を掛けるが、とりあえず愛宮さんに謝った。
「 愛宮さんごめん! 2人の姿が見えてつい後をつけて……」
僕は正直に謝った。
さあ、愛宮さんの反応は……。
「 ……。あのさ龍美君、私今すごく快感を感じてたの。なのに君のせいで楽しい時間が一気に覚めちゃったよ……」
「 い、いや、僕は別に愛宮さんの邪魔をしようとした訳じゃなくて」
「 黙れゴミ野郎!!!」
「 !?」
僕は急に大声を出した愛宮さんに驚いた。
「 マジどうしてくれんの? 私は告白して振られたという快感を味わってたところを邪魔された事が気に食わないのよ!」
僕はようやく実感した。
この狂人に謝った程度で許されるなんて考えが甘すぎたと……。
今の愛宮さんからは昨日とは比にならないくらいの恐怖を感じる。
( 大和、お疲れした)
( ふざけんなヨナさん! 大体ヨナさんがついて行こうなんて言わなければこんな事にならなかったのに!)
( 音を立てたのは大和だろ。私は知りませーん)
くっそこの女マジでムカつくな。
そんな事を思っていると……。
「 龍美大和! 私はお前を絶対に許さない!! 殺してやる!!」
豹変した愛宮さんが僕の方へ駆け出し、襲ってきた。
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