第9話 狂人ランキング

僕は同じクラスの山君と話の続きをしていた。


「 そういえば山君も愛宮さんに告白された事があるの?」


「 ええ、もちろん何度もあります。初めて告白された時なんて、僕に春が来たと本気で思って即OKしちゃいましたよ……。そしてボコボコにされました……」


「 マジか……」


山君も僕と同じ目にあってたんだな……。

まあ僕の場合はOKの返事をしたわけじゃ無いけど……。


「 それにしてもこの学校にはとんでもない奴がいるんだな」


僕の何気ないその発言に、山君は目の色を変えた。


「 はい……。ですがこの学校には愛宮泉菜だけじゃ無い……あれくらいイカれた奴らが何人もいるんですよ……」


「 えっ!?」


その言葉に僕は驚きを隠せなかった。


( 愛宮さんクラスにイカれた奴らが何人もいるなんて信じられないな……)


( やっぱこっちの世界おかしい奴らだらけじゃないか)


( それは違うよヨナさん。この学校が特殊なんだよ)


ヨナさんと会話していると、山君は口をゆっくり開き、話を始めた。


「 この黒月高校には "狂人ランキング" というものが存在します」


「 狂人ランキング?」

( 狂人ランキング?)


「 そうです。この学校でイカれた狂人をランキングにしているんです。もちろんそのランキングが高いほど狂人です……」


「 マジか……。そんなランキングが作られる程この学校には狂人がいるのか……」


狂人ランキング……。山君の発言に僕は驚かされてばかりだが、次の発言にさらに驚かされることになる。


「 いいですか龍美君……あの "告白中毒のイズナ" でさえ、狂人ランキング第5位なんです」


「 は!? あの愛宮さんが5位!? てことは更に狂った奴が4人もいるのか!?」


「 そういう事です」


( あれで5位か……。こっちの世界はマジでイカれてるな! いやー面白くなってきたな大和!)


( 全然面白くないよ……)


ヨナさんと会話をしつつ、山君は話を続ける。


「 そしてそのランキングを決めるのが "狂力きょうりょく" です」


「 きょうりょく?」


「 はい。狂った力と書いて狂力と呼びます。狂力とは、その人物がどれだけ狂っているか、イカれているか、サイコパスかを数値化したものです。誰しも周りと違ったこだわりや価値観があり、他の人からしたらおかしいと思われる事があると思います。それが狂力に反映される事を加味して、普通の一般人を狂力 100としています」


「 なるほど、普通の人で狂力 100か……。それに思ったより狂力ってのも考えられてるんだな。それで? 愛宮さんの狂力はいくつなんだ?」


「 6800です」


「 は!? いきなりインフレしすぎだろ! てか狂力 6800で5位ってまじかよ!」


「 そうなんです。この学校にはまだまだイカれた奴らがいます。おそらくこの先、関わる事もあるでしょう……」


「 マジか……」


( 楽しみだな大和!)


( 全然楽しみじゃないよ!)


話を聞く限りこの学校はなかなかヤバそうだ。


「 てか、狂人ランキングとか狂力って誰が決めてるの?」


「 それは分かりません。それも不思議なんです。ランキングの変動や新たにランク入りした情報など、気が付けば広まってるんです……」


「 なるほど……。狂人ランキングの作成者さんは謎って事か……」


「 そうですね……」


狂人ランキングの作成者はともかく、愛宮さんの事やこの学校の事を知ることができたのはデカい。


「 山君、色々教えてくれてありがとう。これからもよろしく頼むよ」


「 こちらこそよろしくお願いします!」


「 じゃあ山君、今日はこの辺で。また明日」


「 はい! 明日からもよろしくお願いします!」


僕と山君は教室で別れ、家へと帰宅する。


( 今日は凄い一日だったな〜)


( こっちの世界の授業は退屈だが、狂人が沢山いて楽しそうじゃないか!)


( どこがだよ。僕は絶対に関わりたくないな)


僕はヨナさんと会話しながら家へと帰った。

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