第7話 高校へ初登校

時刻は午後11時。


「 ねぇみんな、これいつまでやるの?」


僕はソファに座って、4人がプレイしているゲーム画面を見つめていた。


「 もちろんクリアするまでだ!!!」 


「 レッド君、そうは言ってもまだ4面じゃん。マリコは8面あるからまだ半分だよ」


4人で協力プレイのはずが、4人で殺し合いながらゲームをしているため、全然先へ進まない。


「 うるさいぞ大和!! 俺たちはこのゲームをクリアするまで帰らないからな!!」


まじかよ……。


「 でも、もう夜の11時だし、帰った方がいいんじゃない?」


「 いや、帰らん!!」


レッド君の言葉に他の4人も頷く。

どうやら4人の決意は固いようだ。


「 はぁ。僕はもう寝るからね。明日は学校だし、今度こそ寝坊するわけにはいかないんだよ」


そう、僕は入学式を寝坊して休んでしまった。

明日からはしっかり登校しなければいけない。


「 こっちの世界の学校ですか!? 興味あります!」


イヴローラさんが一瞬興味を見せたが……。


「 ですが今はマリコを何としてもクリアしたいので、また今度話を聞かせてください!」


そう言うとテレビ画面へ振り返り、みんなマリコをやりはじめた。


「 分かったよ。じゃあ寝るからね、おやすみ」


「「「「 おやすみーー!!」」」」


僕は2階へ上がり、自分の部屋のベッドに入り眠りについた。



「 はぁ〜よく寝た。時間は7時半。よし、寝坊してない」


目覚まし時計が鳴り、時間通り起きることができた。


今日から僕も高校生だ。昨日は寝坊してやらかしたけど、今日からは真面目に学校生活を送ろう。


僕は階段を降りてリビングに向かう。

リビングの方から何やら声がする。


おいおい嘘だろ……。まさか……。


僕がリビングの扉を開けると、4人はまだゲームをやっていた。


「 あ、おはよう大和」


「 あ、おはよう、じゃないでしょレナンさん! いやレナンさんだけじゃなくて他の3人も! いつまでやってるんだよ! てか、異世界人の体力ハンパないな! いや、体力の問題なのかな……」


「 朝から元気だな大和」

( 朝から元気だな大和)


レッド君とヨナさんがハモった。


「 いや元気っていうか、さすがに驚いて……。てかあれ、今やってるの『マリコファミリーズ2』じゃん」


テレビ画面を見ると、昨日までやっていた無印のマリコファミリーズではなく、続編の2をやっている。


「 そうだ大和! 俺たちはマリコをクリアしたんだ!! 凄いだろ!! でもそれだけじゃ物足りなかったから勝手に2をやらせてもらってるぞ!」


どんだけやるんだよ……。


「 やるのは構わないんだけどさ、僕もうそろそろ学校へ行かないといけないんだけど……」


「「「「 おっけー!!!」」」」


「 いやおっけーて……」


4人はまだまだやる気のようだ。


僕は顔を洗って歯を磨き、制服に着替えて適当にパンを食べた。


「 じゃあ僕本当に学校行ってくるけど、くれぐれも家から出るなよ? 4人は異世界人なんだから」


「「「「 はーい」」」」


僕の方を見ないでゲームをしながら心無い返事をしてきた。


心配だなこいつら。でもまあ、今日は新学期始まって2日目だから午前授業だし、学校終わったらすぐ帰ってこよう。


僕は家の玄関を開け、学校へ向かった。



色々あったが今日から僕も高校生だ。

自宅から高校へは歩いて30分程度。近くも遠くもない距離だ。


僕は学校へ向かい歩いているのだが……。


( おい! 何だあれは! よく分からないものがいくつも走っているぞ!)


( ああ、あれは車)


( おい! あっちのやつは何だ!?)


( あれバイク)


( おい! 人間が何かを連れているぞ!)


(それ犬)


……。


ヨナさんがめちゃくちゃうるさい。家を出てからずっとこの調子だ。


まあ、ヨナさんにとって日本は別の世界だから驚くのも当然か。


ヨナさんの相手をしながら歩いていたら、いつの間にか学校へ着いた。


( ここが大和の通う学校か!)


( ああ、黒月くろつき高校だ)


黒月高校。それが僕の通う高校だ。


「 よし、今日から高校生活頑張ろう!」


僕は学校の校門をくぐった。

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