第3話 異世界での出会い

「はぁ……疲れた。もう夜か。夢中になりすぎて時間を忘れてしまった……」


僕はヨナさんに【空間操作】能力でできる様々な技を叩き込まれた。

気が付けば辺りは真っ暗になっていた。


( ヨナさん、今日はもう家に帰って休もう。疲れたし……)


( そうだな。ずいぶん色々な技を覚える事ができたようだしな。また明日続きをしよう)


( そうだな……)


明日から高校だ。新学期初日だから午前中で終わりだし、午後から異世界に行こう。


( さてと、戻るか。《異門転移》!!)


僕は元の世界へと戻った。

異世界から戻ると、すぐお風呂へ入り夜ご飯を食べた。


「 今日は疲れたし、早めに寝ようかな」


時刻は午後10時。いつもより寝る時間が早いが、明日は高校の入学式だしな。


( じゃあヨナさん、おやすみ)


( ああ、おやすみ)


僕はベッドへ入り眠りについた。



「ふぁ〜。よく寝たー」


窓から陽が差し、とてもいい天気だ。


( 大和、起きたか。随分と眠っていたようだな)


( まあ、昨日は慣れない修行をしたし、当然でしょ)


僕はベッドから立ち上がる。


「 よし、今日から新たな学園生活の始まりだ! 早速準備するか」


時間を確認すると……。


「 午後12時半……」


時計壊れてるのかな?


僕は目を擦り、もう一度時計を確認する。


「 やっぱり……午後の12時半だ……」


どうやら僕は寝坊してしまったらしい。

そういえば昨日、目覚ましをセットするの忘れてた………。


今日は新学期初日で、学校は午前で終わる。

つまり、もう学校はは終わっているという事だ。


( ヨナさん! 何で起こしてくれなかったんだよ! 今日は転校初日なんだ!)


( いや、私が知るか!!)


( 僕、無断で欠席しちゃった……)


僕は今日から新たな高校生活を送る予定だったのに、初日から無断欠席とかあり得ない。


「 はぁ。とりあえずスマホ確認するか。先生から連絡が入ってるかもしれないし」


僕は机の上に置いてあるスマホを確認した。


「 誰かから連絡が入っている。高校の先生かも」


僕は折り返し電話をかけた。


電話の相手は高校の先生で、転校初日なのに僕が登校していなかったため連絡をくれたそうだ。


僕はとりあえず謝り、明日は必ず学校へ行くことを先生へ連絡し電話を切った。


「 はぁ。まさか初日からやらかすなんて……。まあ明日から真面目に登校すれば問題ないか」


( こっちの世界にも学校はあるんだな)


突然ヨナさんが話しかけてきた。


( ヨナさんの世界にも学校あるの?)


( ああ、もちろんある)


( へー。異世界の学校か。興味あるな……)


異世界にも学校あるのか。勝手なイメージだが、異世界なんて勇者が魔王と戦っているイメージしかない。


( ヨナさんの世界の学校って何を学ぶの?)


( 国の歴史とか、あとは戦闘訓練とかも習っていたな)


(なんか怖いな)


日本の学校とはかなり違うようだ。

まあ、異世界の学校なんて僕には無縁だろうし何でもいいか。


学校を欠席してしまったのは想定外だったが、明日から真面目に学校へ行けばいいだけだ。


修行は疲れたけど、新鮮で面白かった。


( 技はたくさん覚えたけど、こっちの世界ではできるだけ使わない方がいいよな……)


( 何故だ?)


( 当たり前だろ。こっちの世界で異能力を使って誰かにバレたら、ネットに晒されて、住所特定されて、人体実験とかされそう……)


考えただけで怖い……。


( そうなのか? よく分からんな。まあそんな事より大和! 早速セガルドへ行って修行だ!!)


( いや早いて。まだ起きたばっかだし……)


( まあそう言うなよ。私はお前が寝ている間、暇だったんだからな。何もしないでただ待っていてやったんだ。感謝しろ!)


( え、ヨナさんは寝ないの?)


( そうだ。私は今、魂だけの存在だ。眠くならないからな)


( そうなんだ……)


ヨナさんは数百年間ずっと眠りもせず、話し相手もいないでひとりだったんだ。

僕だったらきっと耐えられない……。


( 分かったよヨナさん、異世界へ行こう)


( 大和!! お前は分かってくれるって信じていたぞ!!)


僕はすぐに靴を履き、異世界へと向かった。


「《異門転移》!!」


僕は【空間操作】能力を使い、異世界に着いた……。


………。


「「 えっ??」」


ハモった。


場所はヨナさんと修行をした森の中。

異世界に着いたら目の前にいる金髪ツインテールの女性と目が合った。そしてハモった。


金髪の女性以外に、赤髪の男性、茶髪でドレッドヘアーの体格の良い男性、銀髪でロングヘアーの女性の4人が僕の目の前にいた。


全員、全身白色の制服のような姿で、腰には剣を装備している。


「 急に目の前に人が現れた……?」


金髪の女性が驚いた表情で呟いたが、驚いているのは僕も同じだ。


とりあえず、話でもして……。


それは一瞬だった。

赤髪の男性が一瞬で僕との距離を詰め、僕を押し倒した。僕はうつ伏せで倒れ込み、身動きが取れなかった。


「 おい皆、こいつを拘束するのを手伝ってくれ」


赤髪の男性が他の3人に指示を出し、4人がそれぞれ僕の両手足を押さえた。


「 急に目の前に現れ、こんな森に1人で……。怪しいやつめ、話はじっくり聞かせてもらう!」


このままじゃなんかやばそうだ……。


「《異門転移》!!」


僕は一度、自分の家に避難する事に決めた。


うつ伏せ状態だった僕は、自宅のリビングの床を目にして安堵した。


「「「「 えっ??」」」」


安堵したのも束の間、僕を押さえ込んでいた4人も一緒に転移してしまった。


( ヨナさん??)


( ああ。どうやら《異門転移》を発動した時、大和に触れている人も転移してしまうらしいな。新しい発見だ)


( そんな……)


異世界人を4人も自宅に転移させてしまった。


また面倒な事になりそうだ……。

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