第2話-スライム戦

 「おや〜もう初戦闘任務ですか?相手は、、、スライム!いいですね〜、でもスライムだからって舐めてかかってはいけないですよ〜。稀ですがスライム相手に油断した初心者の顔に飛び掛かって息ができずにそのまま死んでしまう事例もなくはないので。」

「そうなんですね、、、わかりました!全力で行きます!!」

「ふふっ、そのいきです!はい、任務の受領は完了いたしました〜、戦闘任務、頑張ってくださいね!」

「はい!ありがとうございます!」

そう言って協会を後にした。

 伝えられた情報によると、場所の指定は無く、スライムのドロップ素材を集めて協会へ提出するという任務だ。

「スライムが出現する場所は、、、と。」

そう言いつつ冒険者ライセンスを手に取り、マップを開く。

Eランクからは各冒険者の情報を元にそれぞれのモンスターが現れやすい場所がマッピングされる。

「ここからだと、一角山雨林が近いか。でもあそこはいろいろ危ないし、一応パーティー推奨だからなあ、、、あ、ステップ平原が良いかも、、よし、いくか!」

 過去の人間が力を合わせて作り上げた街を囲む防魔結界が貼られた人工の山を抜けてステップ平原が見えてくると、そこにはポツポツと数匹に固まって移動しているスライムや、一体で移動している大きな個体がいた。

よく見ると、その大きなスライムを避けるかのように小さなスライムが一生懸命走っているようだった。

大きなスライムに少し気押されるもしっかり武器を握り、近くの、かつ比較的小さなスライムに目を向けて歩き出す。

弱いものいじめのようで少し気が引けたが、きっと他の初心者もこうしてただろうと、スライムを目掛けて武器を振り下ろす。

「ふん!」

しかし、振り下ろした武器の切れ味が悪かったのか、単に力が足りないのか、スライムが断ち切られることはなく、ただ刃がスライムに沈んでいくだけだった。

スライムは危険を察知したのか、飛び跳ねて距離を取ろうとする。

が、個体によるとも思うが、正直言って歩きとそこまで速度は変わらなかった。

ダメージが入っているようには思えず、スライムをよく観察する。

するとスライムの中に浮かんでいる草や土などの中に一つだけ卵のような形状のスライムの色と似たものが入っていた。

おそらくあれが弱点だろうと考え、そこ目掛けてもう一度、前よりも強めに武器を振り下ろす。

「おりゃぁ!!」

すると卵の形をした弱点は砕け、スライムは形状を保てなくなり、水のように地面に染み込んで行った。そこに残ったのは弱点、つまりは核の残骸だった。

「これをあと19個集めて教会に持っていけばいいんだよな、、」

正直、簡単な作業ではあるが、核を見つけるのがなかなか難しい。

体の保護色になっていたり、土や草で隠れていたり、、、。

 核自体は小さいわけではないので、慣れてきたのもあって割とスムーズに進み、残りは3匹分の核となった。

「ちょっとあのでかいスライムに近づきすぎか、、、?」

と大きなスライムに目を向けると、ちょうど大きなスライムが小さなスライムを踏み潰していた。

共食いの瞬間を目にし、すこし気分が悪くなった。

早く片付けて帰ろうと思い、大きなスライムとは反対の方向にいるスライムに早歩きで近づく。

「ふっ!」

力の込め方のコツを掴んできたのか、大きく振りかざさなくても核を割れるようになってきた。


「あと二匹、、、」


『グシャ』


「ラスト。」


『グシャ』


テンポよく核を壊し、拾って支給された袋に入れた。

「これで20個ちょうどかぁ」

初めての戦闘を含む任務だったからか、身体的にも精神的にも疲れた。

スライムはスライムだが、命を奪っている感覚が少し罪悪感を抱かせた。

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