第2話「転域とフレアミストの取得」

 俺のことは今度から師匠が面倒を見てくれる。それも全部両親が手配してくれたことで成り立ち、それによって親元を離れる要因にも繋がった。しかし、不思議と俺はそれでも良かった気がするのだ。それが俺にとって大きな成長を促すなら、それに越したことはないと思うからである。この経験を活かして師匠と魔法の取得に入りたいのだった。


「それじゃあ早速風呂に入るか? もしかして一人で入る派だったか?」


「はい。いつも一人で入ってました」


「まぁ、それでも良いんだ。今日はせっかくだから私と入りなさい。君もまだ五歳と言う年齢だし、私としても構わない年頃だ。良いだろ?」


「——えっ? そんなの無理ですよ!」


「良いから来なさい? そこで恥ずかしがっていたら私が困るよ」


「うわぁ⁉」


 そんな風に俺は無理に師匠との入浴を強いられた。師匠は平気で俺の前で裸になると、その後で無理にでも服を逃がせて来たのだ。確かに三歳まではお母さんとも入っていたが、それは自分を生んでくれた存在だったし、さらに拒むことが出来た年頃じゃないのである。今は言葉も自由に交わせるのだ。ここで拒否することぐらいは出来るのだから、俺は抵抗を見せた。しかし、師匠はそれを許さないのである。


 そして抵抗も虚しく敵わないと思った時だ。俺はそこで気が付いてしまったのである。俺はまだ五歳であり、生前と違って一度死んでいることをだった。それは師匠も知らないからこうして一緒に入浴しようと誘って来るのだ。そこで抵抗したところで意味があるのかと考えた時には、俺も観念して入浴を共にするのだった。


「やっと観念したか? 君はまだ子供だ。相手が異性であっても恥ずかしがることはない。それに私が君と一緒に入浴する理由もちゃんとあるんだ。な? そこで抵抗することはないんだよ?」


「はい……」


 俺は羞恥しながらも師匠と裸で向き合うと、彼女はそこで確かめるようにして全身を眺めて来る。本当に何か意図があって入っているようだ。しかし、裸になってまで何を確認したかったのかが未だに分からないままだった。すると、師匠は探していたものが見付かると、それを知らせるかのような声を上げる。そして俺に声を掛けるのだった。


「見付けた! 君にもあるんだな? これは将来が楽しみだ!」


「何があったんですか? 俺にさっぱり分かりません」


 そしたら、師匠が俺に向けて何を見付けたのかを教えてくれた。それも師匠の見付けたものがあるだけで、魔導士としての才能が秘められていると言うのだ。祖t例付いて師匠は俺にも分かるように解説を始めた。


「まず君の背中にはくっきり紋章が刻まれている。これは魔力の増量に関係して来ると言われていてな? これが刻まれているだけで、魔力が増えやすい体質を示しているのだ。多くはこれが示された魔導士には、将来に期待できる人材としても挙げられると言う」


「本当ですか! それって凄いですね!」


「あぁ。誇りに思うと良いよ。これは来して良いだろう」


「はい!」


 そうやって師匠と一緒に入浴したことは間違いじゃなかった。師匠の前で裸になった甲斐があったと言える。それに師匠は意識していないようだが、俺には彼女の覇高は刺激が強かった。師匠のバストはHカップはあるんじゃないかと思われる。それが目の前で拝めるのは罰が当たるかも知れないと思ったが、それでも師匠が自分から晒したのだ。そこで俺が責められるのは明らかに可笑しいのである。


 そんな風に得した気分が味わえたことは師匠には内緒だ。何せ俺に下心が生じていたなど知ったら弟子を津移譲され兼ねないからである。そうなってしまってはお父さんが雇ってくれた意味がなくなるのだ。それだけはあってはならないと思ってそう言った感情を表に出すことはなかった。


 そして俺らは入浴を済ませると、そこで師匠は夕食を自前で用意してくれる。師匠は手料理も出来てしまうみたいで、彼女が振舞ってくれたのはカレーライスだった。


「どうぞ召し上がれ。一応料理は出来るが、腕に自信はない。こうして自宅に弟子を招くのも初めてだ。だから、少しは気遣いもよろしくな?」


「はい。いただきます」


 そうやって俺が挨拶をしてから早速それを食べた。すると、それは口の中に美味しいと言える味わいが広がり、まさに絶品である。それを師匠に伝えると、彼女は恥ずかしがりながら嬉しそうにしていた。


「美味しいか? それは良かった。口に合わなかったらどうしようかと思ったよ」


「そんなに心配するほどまずくはないです。それどころかとても美味しいと思いますよ」


「ありがとう。これからはよろしくね?」


「こちらこそ! よろしくお願いします!」


 そうやって俺は師匠と同居生活が始まった。それが意味するのは、これから俺が魔導士として成り上がるために鍛えてもらうのだろう。俺にしたら彼女の弟子になれて良かった気がしていたのだ。なので、俺もこの先は師匠の指導を受けながら魔法の取得をして行きたかった。


 そして次の日を迎える。俺は早くから起床すると、すでに師匠が自分よりも先に目覚めており、コーヒーを飲んでいるように見えた。そこで俺が師匠に挨拶をすることで、自分の存在に彼女は気が付く。


「おはよう。今日はまだ寝ていても良いんだぞ? 修行の時間はもっと先だし」


「良いんです。それよりも喉が渇いた時は何を飲めば良いですか?」


「それじゃあ君にもコーヒーを入れてやろう。美味しいぞ?」


「それなら頂きます」


 そうやって俺は師匠が注いでくれたコーヒーを頂いた。温めてあるのを冷ましながら飲むと、口内で多少の甘みが広がる。それは味で分かる通り微糖だ。きっと師匠の好みは甘い味わいのコーヒー飲料なんだんだろう。それをそこで初めて知った気がした。


 そしてしばらく師匠が用意してくれた部屋で過ごしていたら、そこでやっと朝食の時間になる。朝食が出来上がると、俺のことを呼びに来た師匠に付いて行き、食滞までやって来た。そこには焼きトーストにハムとチーズを乗っけられた上にケチャップが掛けてあったのである。それを有り難く頂くことにしたのだ。


 そんな感じで俺は朝食を終えると、師匠から修行の時間帯について知らされる。一時間ほど休憩を挟んだら、外でまずは完成度が中途半端になっている【転域】から完全取得して行くと言われた。俺にもいつか四人を一気に移動させることが出来るのが理想になっている。それを目指して俺は【転域】の取得に入ると、そこで師匠が工夫を凝らして扱えるように鍛える方法を教えてくれた。それは重りを持った上で移動することである。問題なのは移動させる対象者の重量によって負担が変わることだ。なので、重りを持ちながらの方が対象者を最大四人まで同時に移動する性能に近付きやすいと言う。その通りにやって見ると、確かに重りがないのと比較して負荷が加わっていた。それを踏まえると、この【転域】は対象者の重さで負担の掛かり方が違うのかも知れなかったのだ。


 そこで俺は重りで重量を加えた状態で移動を繰り返した。そうすることで自身に掛かる負担にも耐え得る身体になって行く。そこで俺の【転域】で移動させる魔法もかなり完成度にしては上等だと判断を受けた。なので、後は場所を把握しなければ移動できないのが欠点なので、あらかじめ移動するポイントは知っておく必要性があるのである。


 そして【転域】を完全取得させるまで何度も繰り返して行った。大分同時に移動させえる人数も増えたし、運び出せる一定の距離も長くなった気がする。師匠が言うにはこのぐらいで完成とするのも良いかも知れないそうだ。


「これで【転域】は完成だ。対象者を四人までに引き上げることも出来た。この調子で次の魔法も取得できるように頑張ってくれ」


「はい!」


 そんな風に俺が【転域】を完成させると、その後は結構魔力も消費したので、この先は休めるのが良いと判断が下された。俺は今日も師匠と風呂に入っては、身体の疲れを癒す。風呂に入ることでさっぱりすると、その後は部屋でゆっくりするのであった。


 そして次の日だ。今日は簡単な魔法から取得して行くのが良いと師匠の提案で決まった。今回は以前も取得しようと思っていたが、お母さんによって禁じられた【フレアミスト】を使えるようにするみたいだ。これは炎の霧を拡散させて周辺を燃やす魔法である。広範囲に渡るので、火力を上げればかなり強力な魔法になるのは間違いないらしい。なので、俺は【フレアミスト】の取得に入った。


「まずこの魔法は炎系統の中でも基本となっている。これが取得できなければ、他の炎魔法を扱うことは出来ないと思え。良いな!」


「はい!」


 そこで師匠は簡単に見本を見せると、それを真似るように指示が出た。俺がそtれを初見で発動させた時には、炎が小さすぎて魔法として成り立つほどにも至らなかったのである。それを見た師匠の問題視したところは火力にあると判断した。そこで師匠からもっと集中力を研ぎ澄ますことで火力を上昇させる手段に出る。


「うぉぉぉ!」


 声を上げながら火力の上昇を試みた。さっきよりかは火力も上がって来たが、それでも拡散させるには弱すぎると言う。しかし、それを続ければいつか火力は足りるまでに上昇するだろうと師匠は口にした。


 そしてついに火力が一定にまで上昇したら、それを師匠は広げる練習を施すように言って来る。拡散するように炎を放出させて範囲を広げて行くのが目的みたいだ。俺は試してみたところによると、良い具合に炎が広がり、完成するに至るまで慣れるだけだと言える。


 そして三日間ほどそれに明け暮れたところで、【フレアミスト】の取得が出来たと判断されるのであった。


「よし! よくやったな? これで【フレアミスト】も取得した訳だが、火力は無限に上昇させることが出来る。しかし、やたらと火力を上げれば良い訳じゃない。だから、一定の火力が保持できればそれで炎魔法は十分であると言えるんだ」


「分かりました。それじゃあ次は何を取得するんですか?」


「次は【ボルトブレット】だ。これは中級に当たる魔法になる。これは【電気を凝縮させて弾丸を生成する】と言った魔法である。強化すれば一度に十発を生成することも出来るし、さらに射出速度まで底上げさせられれば、それだけ戦闘に向いた魔法だと言えるだろう。より多くの弾丸を生成させて、なるべく速く撃ち込むことで、その魔法はかなり磨かれるのだ」


「なるほど。雷魔法ですね? 了解です!」


 こうして俺は【ボルトブレット】の取得に入ることになった。これが取得して強化させることで、戦闘にも大きく活用できるのは分かった通りだ。


 そうやって俺の修行は続いて行くのだった。

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無職だった俺は転生して世界最強の魔導士として成り上がってみせる。 源真 @mukuromukuromukuro

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