第3話疑惑
何者かが、ドアをノックした。
「どなた?」
「黒井川です」鳥井は舌打ちをチッと鳴らしながら、ドアを開いた。
「まだ、いらして良かったです。何をされていたんですか?」
「忘れ物」
「忘れ物とは?」
「明日の特集の台本。特集にはある程度知識が無いと行けなくてね。別に台詞か書いてあるわけじゃないんだけど」
「そうなんですね。キャスターは大変だ!その、台本ってのはあります?興味があって」
「あるよ」
と、鳥井は台本を手にして、黒井川の方を振り向くと、鳥井に戦慄が走った。
黒井川の座るソファーのすぐ後ろに、キーケースが落ちていた。
「あのぅ、野崎さん。11時前から死んでいた可能性が強いですよ」
「で、でも腕時計が」
「あんなの、針を動かして壊せば動にでもなります。よって、だれもアリバイはありませんよ」
「そ、そうですか?」
鳥井はとりあえず、目の前のソファーに腰掛けた。
「やはり、殺人の可能性が高いですね?誰だろ?その野崎ってヤツの交友関係は?」
黒井川は台本を読みながら、
「現在、洗っています」
「今、お茶を入れますね。黒井川さんは、ミルクと砂糖は?」
「私はブラックで」
鳥井は楽屋のポットが置いてある方に移動しながら、キーケースを拾いコーヒーを作った。
「すいません。私はアイスでお願い致します」
「アイス?良いですよ」
鳥井はキーケースは引き出しの中にしまった。
ホッとした。危なく黒井川にバレるとこだった。
2人でコーヒーをすすった。
「黒井川さん、難しい事件ですね?このテレビ局には相当人間がいます。その一人一人を調べなくては」
「いいえ、簡単に事件は解決すると想いますよ」
「エラい自信ですね」
「誰にも言わないで下さいよ」
「は、はい」
「実は、もう犯人の目星は付いているんです」
「ま、まさか」
「いえ、確定だと思いますよ」
「まだ、時間は4時じゃないですか。そんな早く解決しますかね。誰です犯人は?」
「それはちょっと」
「誰にも言いませんから。教えてよ」
と言うと、黒井川は鳥井を指差した。
「私?ちょっと冗談は辞めて下さいよ」
チリンチリン
楽屋の電話が鳴る。鳥井が出ると、
「黒井川さん。川崎と言う人があなたを探しているみだいですよ」
と言った。
電話を代わった。
「私だ。……うんうん。あっそう。じゃそっちに向かうわ」
と、行って電話を切った。
「何があったんですか?」
「キーケースが見つかったみたいです」
「どこで?」
「この裏の階段で」
黒井川は、
「おじゃましました」
「結局、何の用事だったんですか?」
「犯人の目星が付いたご報告でした」
「まさか、本気でわたしが犯人だと言うこたじゃないでしょ?」
黒井川は笑みを浮かべながら頷いた。
「あれっ、無い」
「何が無いんですか?」
「ここに、この懐中電灯と共に置いたキーケースが。あれっ?おかしいな。さっき置いたばかりなのに」
鳥井は引き出しの中から、キーケースを取りだした。
「あっ、それです。私のモノです。じゃ、ありがとうございました」
黒井川は鳥井の楽屋を去った。残された鳥井は嵌めらた事に腹が立った。
黒井川はわざとキーケースを置いたのだと思うと。鳥井は楽屋の椅子を蹴った。
黒井川は川崎の元に戻った。
「黒井川さん、どうでした?鳥井は焦ってました?」
「うん」
「見たかったなぁ。あ、交通課の人間もいますよ!鳥井、引き逃げしたらしいです」
「そうか」
「鳥井を逮捕しますか?交通課は逮捕すると言っていましたが。証拠が無い」
と、黒井川はタバコに火をつけた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます