第21話: 深き眠りの番人との対決

レンは石碑を後にし、ダンジョンの奥へと進んでいった。これまでのスライムとの戦いを経て、彼の体は疲労を感じ始めていたが、無限成長の力が彼を支え、精神的な強さを保ち続けていた。次に待っているのは「深き眠りの番人」。その言葉が何を意味しているのか、まだ彼にははっきりとわかっていなかった。


「これが……最後の試練かもしれない」


ダンジョンの道は、次第に広くなり、壁には奇妙な彫刻が刻まれていた。それらは古代の戦士たちや、巨大な怪物の姿を描いており、長い歴史の中で多くの戦いが繰り広げられてきたことを暗示しているかのようだった。


「この場所……まるで、何かを守るために作られたかのようだ」


レンは歩を進めるごとに、その不気味な雰囲気が体にまとわりついてくるのを感じた。ここで待ち受けている番人とは、果たしてどんな存在なのか。彼は剣の柄を強く握りしめ、決意を固めた。


ついに、レンは大きな扉の前にたどり着いた。その扉は、古代の彫刻で覆われており、中央には巨大な鍵穴があった。レンは扉の前でしばし立ち止まり、深呼吸をして気持ちを整えた。


「この先にいるのが……番人か」


扉を押し開けると、中には広大な広間が広がっていた。高い天井と広々とした空間は、まるで巨大な聖堂のような雰囲気を漂わせている。広間の中央には、石の台座があり、その上には巨大な棺が静かに横たわっていた。


「……あれが『番人』か」


レンはゆっくりと棺に近づいた。その瞬間、棺が鈍い音を立てて揺れ始めた。彼はすぐに剣を構え、いつでも戦闘に入れるように身構えた。次の瞬間、棺の蓋が重々しく開き、そこから巨大な影が姿を現した。


「こいつが……深き眠りの番人か!」


その姿は、人間のようでありながらも異形の存在だった。全身が黒い鎧で覆われ、その顔はまるで仮面のように無表情だ。手には巨大な大剣を持ち、その剣は闇の力を宿しているかのように黒いオーラを放っていた。


「これまでの敵とは、次元が違うな……」


レンはその強大な気配に圧倒されながらも、恐れを振り払った。ここで立ち止まるわけにはいかない。無限成長の力を信じ、この番人を倒すしか道は残されていない。


番人はレンの存在を確認すると、重々しく動き出した。大剣をゆっくりと持ち上げ、その姿は圧倒的な威圧感を放っていた。レンはすぐに間合いを詰め、素早い一撃を繰り出した。しかし、番人の反応は予想を超えて速く、その剣を軽々と弾き返してきた。


「くっ……!」


レンは攻撃の手を止めず、次々と斬りかかるが、番人の動きは無駄がなく、すべての攻撃を防がれてしまう。番人は剣を一度振り上げ、レンに向かって振り下ろした。その一撃は重く、床がひび割れるほどの威力を持っていた。


「なんて力だ……!」


レンはその攻撃をかろうじてかわしながら、再び距離を取った。通常の攻撃では通用しないことを悟った彼は、無限成長の力に頼りつつ、敵の動きを観察することに集中した。


「この番人には、何か弱点があるはずだ……!」


レンは番人の動きをじっくりと見極めながら、次の攻撃のチャンスをうかがった。番人の攻撃は大振りだが、その一撃一撃には尋常ではない破壊力がある。レンはその隙をつくために、慎重に間合いを取り続けた。


しばらく戦っているうちに、レンは番人の動きに規則性があることに気づいた。大剣を振り下ろす前に、わずかに動きが遅れる瞬間があるのだ。その瞬間こそが、レンにとって最大のチャンスとなる。


「次の攻撃で決める……!」


レンは再び番人に近づき、わざと攻撃を誘うような動きを見せた。番人はその動きに反応し、再び大剣を振り上げる。レンはその瞬間、番人の動きがわずかに鈍るのを見逃さなかった。


「今だ!」


レンは全力で剣を振り抜き、番人の隙をついて一気にその胸部を斬りつけた。番人はわずかに後退し、黒い鎧にひびが入る。だが、まだ倒れる様子はない。レンはそのまま攻撃を続け、何度も番人に斬りかかった。


「倒れろ……!」


レンの攻撃が次々と番人に命中し、ついにその巨大な体が崩れ落ちた。番人はその場にひざまずき、やがて完全に動きを止めた。


「やったか……!」


レンは息を整え、番人の倒れた姿を見つめた。彼の体は疲労で重く感じられたが、ついにこの試練を乗り越えたことを実感していた。


広間は静寂に包まれ、レンは番人が守っていたであろう棺に近づいた。その棺には、古代の文字が刻まれており、レンがこれまでに見たことのない紋章が描かれていた。これがダンジョンの謎の一部なのか、それともさらなる試練が待っているのか。


「ここには……まだ何か隠されているのか?」


レンは棺をじっくりと調べながら、ダンジョンの真の目的に思いを巡らせた。だが、今は疲れきっている。次の行動を決める前に、体を休める必要があった。


「まずは、戻るか……」


レンはダンジョンを後にし、アルヴァナの街へと帰還する決意を固めた。



ーーーーーーーーーーー

本日5話更新となります。


【応援のお願い】


いつもありがとうございます!

☆をいただけると大変助かります。皆さんの応援が大きな力になりますので、ぜひよろしくお願いします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る