第20話: 黒いスライムとの戦い

レンは広間の中央に不気味に輝く黒いスライムたちを見据えた。その闇のように濁った体は、これまでに遭遇したどのスライムとも異なる。普通の剣技では太刀打ちできないことを感じ取ったレンは、一瞬迷いを抱きながらも、前進することを決意した。


「……やるしかない」


黒いスライムたちはその場でゆっくりと蠢き、レンに向かって移動を始めた。まるで彼の気配に反応するかのように、すべての個体が一斉に動き出し、じわじわと距離を詰めてくる。レンは剣を構え、スライムの動きに合わせて後退した。


「普通のスライムと違って、体が強固だ……斬撃じゃ、なかなか効かないか」


彼は素早く体を回し、スライムたちの攻撃をかわしながら戦略を練った。通常のスライムであれば、コアを破壊することが倒す鍵だったが、この黒いスライムにはそれすら通用しないかもしれない。


「まずは試してみるか」


レンは一匹のスライムに狙いを定め、剣を振り下ろした。剣はスライムの体に深く刺さるが、その硬い外殻が剣を弾き返す。スライムの体がまるで金属のような硬さを持っていることに驚いたレンは、すぐに体を引き戻した。


「くそっ……これはやっかいだな」


スライムたちは依然としてレンを包囲しようとする。彼は一度距離を取り、再度攻撃の方法を考えた。攻撃が効かないなら、別の方法を試すしかない。


「無限成長の力を使えば、突破口が見えるはずだ……!」


レンは心を落ち着け、無限成長の力が彼を助けることを信じた。戦闘の中で彼は、少しずつ敵の動きや弱点を見極めることができる。スライムたちの動きを観察する中で、彼は何か異変を感じ取った。


「……もしかして、こいつらもコアを持っているのか?」


レンはスライムたちの中心にかすかに光る小さな部分があることに気づいた。それは黒い体の中に隠れているが、一定のタイミングで光が漏れ出している。彼はその瞬間を狙い、もう一度攻撃を仕掛ける決意をした。


スライムが再び距離を詰めてきた。レンは冷静にその動きを見定め、次の攻撃のチャンスを待った。スライムたちは体をくねらせながら、一気にレンを包囲しようとしてくる。彼はその瞬間、ランタンの光に反射する小さな光点を捉えた。


「今だ!」


レンは素早く動き、一匹のスライムの中心部分を狙って剣を突き刺した。鋭い一撃がスライムのコアに命中し、その体が一瞬硬直した。続いて、スライムの体が崩れ落ち、消滅していった。


「……効いた!やはりコアが弱点だ」


確信を得たレンは、次々と黒いスライムたちのコアを狙い撃っていった。これまでのスライムよりも動きが速く、攻撃の隙をつくるのは難しいが、彼の成長した反射神経と判断力がそれを可能にしていた。無限成長のスキルが彼の動きをさらに鋭くし、戦闘の中での判断を迅速にしていた。


「この力があれば……!」


レンは次々とスライムを倒していき、やがて広間にいた全てのスライムが消え去った。彼は剣を振り、スライムの体液が付着した剣を拭き取った。


広間には再び静寂が訪れた。黒いスライムたちとの戦いは厳しかったが、無限成長の力によって乗り越えることができた。


「ここまで来たか……でも、まだ終わりじゃない」


レンは周囲を見渡し、次の道を探した。広間の中央にあった祭壇のような場所には、不自然に配置された石碑が立っていた。その石碑には、古代文字が刻まれており、レンはそれを見つめた。


「これは……?」


石碑には、ダンジョン内での次の試練を示すような言葉が書かれていた。しかし、全てを読み取ることはできなかったが、そこには「深き眠りの番人」という言葉がかすかに浮かび上がっていた。


「次に待っているのは……『深き眠りの番人』か」


レンは剣を再び腰に納め、覚悟を決めた。これまでの戦いでスキルを駆使してきたが、この番人がどれほどの強さを持っているのかはわからない。しかし、進むしかないという強い決意が彼の中で燃え上がっていた。


「もう一歩進めば……次の試練が待っている」


彼は石碑を後にし、ダンジョンのさらに奥深くへと足を進めていった。次に待ち受けるのは、一体どのような敵なのか。レンはその答えを求めて、闇の中へと進んでいった。



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本日5話更新となります。


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