第19話: 6級ダンジョン - さらなる試練

広間を抜けたレンは、足早に次の階層へと進んでいた。スライムたちとの戦いを経て、彼の体は少しずつ成長していたが、まだダンジョンの奥深くには何が待っているかわからない。不安はあるが、無限成長の力を信じ、彼はさらに慎重に進んでいく。


次の通路は、さらに狭く、湿った空気が重く感じられた。ランタンの光が石壁に反射し、ところどころ苔むした部分が光を受けてぼんやりと輝いている。足元にはぬかるみができており、滑らないように気をつけながら進まなければならない。


「ここまででスライムが何体も出てきた……次はどうなるんだ?」


レンは歩を進めながら、ダンジョンの深部に近づいている感覚を感じていた。さらに進むにつれ、遠くからかすかな振動と、何かが移動する音が聞こえてくる。彼は立ち止まり、慎重に耳を澄ませた。


「この音……何か大きなものが近づいてきているのか?」


レンは剣の柄をしっかりと握りしめ、いつでも戦闘に入れるように構えた。次に現れる敵は、スライムよりも手ごわい存在である可能性が高い。


不意に、レンの足元から奇妙な感触が伝わった。前回のスライムとは異なり、足元に広がる水たまりが異様に動き出しているようだ。レンはその場から飛びのいて、ランタンを足元に向けて照らした。


「これは……!」


水たまりだと思っていた場所が、実は巨大なスライムの群れであることに気づいた。そのスライムは、先ほどのものとは明らかに異なり、サイズも大きく、動きが異常に活発だ。まるで一つの意志を持つかのように、レンに向かって襲いかかってくる。


「大きすぎる……!」


レンはすぐに剣を構え、スライムの動きを観察した。通常のスライムとは違い、この巨大スライムはより複雑な動きを見せ、体の一部を分裂させながら攻撃を繰り出してくる。レンはその粘着質な体に触れることを避けながら、素早く後退して間合いを取った。


「ここが正念場だな……無限成長を信じて、やってやる!」


レンは覚悟を決め、一気に前に出た。剣を振りかざし、スライムの表面を斬りつけるが、その体は再生し、再び彼に襲いかかってくる。だが、レンは焦らず、攻撃のパターンを見極めていった。


「このスライム……どうやらコアが一つじゃないな。複数あるのか」


彼はすぐにスライムの動きと再生の様子から、コアが複数存在することに気づいた。1つのコアを破壊しても、他のコアがすぐに再生を促している。全てのコアを破壊しなければ、この敵は倒せない。


「全部……見つけてやる!」


レンはスライムの粘着質な攻撃をかわしながら、少しずつその中心部分を狙い始めた。動きはゆっくりだが、体積が大きいため、攻撃を繰り出す範囲も広い。レンは剣を素早く振り抜き、次々とコアを狙い撃つ。


しばらくして、レンの攻撃は確実にスライムを弱らせていた。コアを次々と破壊することで、スライムの再生能力が徐々に失われ、攻撃の勢いも衰えてきた。


「このまま……全部破壊する!」


最後のコアを目視したレンは、そこに狙いを定め、全力で剣を振り下ろした。鋭い一閃がスライムの中心を貫き、その体が大きく震えた。次の瞬間、スライムはゆっくりと崩れ始め、ついに完全に消滅した。


「やった……! ついに……!」


息を整え、レンはその場にしばし立ち尽くした。巨大なスライムとの戦いは予想以上に消耗したが、無限成長のスキルのおかげで彼は確実に強くなっていた。


レンはしばらくその場で休息を取った後、さらにダンジョンの奥へと進むことを決めた。だが、次第にダンジョンの空気が変わり始めた。これまでの湿気や冷たさとは異なる、少し重苦しい雰囲気が漂い始めたのだ。


「次は……何が待っているんだ?」


レンは警戒を強めながら、ゆっくりと進み続けた。周囲の壁は次第に粗くなり、石の質感も変わってきた。ここがダンジョンの中でも、さらに深い場所であることが明らかだった。


彼は耳を澄ませた。かすかな音が、遠くの方から聞こえてくる。何かが動いている……しかも、かなりの数だ。レンは剣を再び握りしめ、気を引き締めて先へ進む。


次の大広間に入った時、レンは足を止めた。その広間はこれまでとは全く違う雰囲気を放っていた。中央には不自然に置かれた祭壇のようなものがあり、その周囲には複数のスライムが蠢いている。それらは明らかに、これまでのスライムよりも異質な存在だった。彼らの体は黒く濁り、闇の力が宿っているかのように不気味な光を放っている。


「何だ、これは……」


その黒いスライムたちは、まるでレンの侵入を待ち受けていたかのように動き出した。体は通常のスライムよりも強固で、攻撃を弾くような性質を持っている。レンはその場で身構えた。


「次の試練か……やってやる!」


黒いスライムたちが一斉に襲いかかってくる。レンは一瞬の隙を見つけ、すかさず反撃に転じた。だが、この黒いスライムたちはこれまでの敵とは異なり、単純な力では押し切れない。


レンは素早くスライムたちの攻撃をかわしながら、彼らの弱点を見極める必要があることを悟った。



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本日5話更新となります。


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